2019年09月11日

日本企業の現金準備が過去最高

20190906SS00002.jpg
ブルームバーグの記事によれば、
最新の届け出に基づく日本の上場企業の手元現金は506兆4000億円と、ブルームバーグのデータによれば過去最高。安倍晋三首相が企業の現金保有を減らすと公約し第2次政権を発足させた数カ月後の2013年3月に比べ、3倍余りに膨らんでいる。

ジェフリーズ証券の調査責任者、ズヘール・カーン氏は、企業が利益の70%を株主に還元できるところを、実際には40%しか還元していないと言い

ゼロ金利の世界で巨額現金を手元に置くことは、株主資本利益率(ROE)低下につながると指摘するのは、クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部CIOジャパンの松本聡一郎氏だ。
今後は投資家還元が少ない企業を標的とする物言う株主が増える中、日本企業ももっと変わっていくかもしれない。しかし、利益から株主に回る部分は緩やかにしか増えず、企業の手元現金は増え続けると大半が予想している。

資本側が常に主張していた「内部留保は換金可能なものとは限らない」が「ウソではないが、事実でもない」ものだったことが判明している。

安倍政権が法人税を実質的に下げて、企業優遇を進めたのは、企業に(特に国内への)投資を促すためだったが、現実には全くそうならず、利益の一部は株主に還元しているものの、それはステークホルダーが株を買い戻して自分たちの中で利益を回しているに過ぎない。それ自体は、通常の企業活動の範疇ではあるが、問題は投資が進まないことにある。

企業が国内投資に消極的なのは、少子高齢化と過疎化・都市集中によって投資効果が大きく減退している点にある。投資するとすれば、いまだ人口が増加し続けている首都圏であるが、東京都ですら2025年には人口減少が始まるとされており、投資欲がわかないのは当然だろう。
さらに言えば、政府の宣伝とは真逆に一部の大企業を除いて大半の労働者は実質的に収入を減らしつつあり、10月からは消費増税もあって、今後はさらに購買力が低下してゆく蓋然性が高い。

これは少なくとも従来型の投資(生産力増強)は殆ど成算が無いことを意味しており、投資するとすれば、将来性のある未開拓分野に対する新規投資であるわけだが、体力のある大企業ほど「日本型組織=日本型経営」にどっぷりはまっており、リスクを取るような決断ができなくなっている。

企業が自己防衛に走る場合、借入金をできるだけ減らし、人員と固定経費を抑えつつ、現金を貯め込むことになるわけだが、これは現金の価値が高いデフレだからできることであって、同時にデフレを促進してしまう(皆で現金の価値を高めるから)。
日本の場合、最低保障年金が非常に低いため、金融庁が(間違ってらしいが)「老後に最低二千万円必要」と言うほど老後の資金が必要とされる。高齢化率が二割を超え、三割に迫る場合、ますます高齢層の現金需要(貯め込み)が高まって、消費はますます減退するだろう。

ソ連学徒的には、「みんな現金はジャブジャブあるけど、誰も使わない」状態は1980年代のソ連を思わせる。
当時のソ連も、西側の宣伝とは異なり、それなりに豊かだったが(技術レベルやサービスは劣悪だったが)、市民の目からすると、突然大インフレが襲ってきて、一夜にして貯金がパーになり、全員頓死してしまった観がある。
意外と日本もそれに近い形で頓死しそうなイメージだ。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする