2019年11月08日

日露協商の目は失われた

【ロシアと中国、軍事同盟検討か】
 ロシアが中国に対し、ミサイル攻撃の早期警戒システムの構築を支援していることが判明、両国が事実上の軍事同盟締結を検討しているとの見方が強まっている。ロシアと中国を敵視する米国が中距離ミサイルのアジア配備を検討する中で、軍事協力強化を急ぐ。両国が同盟関係を結べば北東アジアで日米韓との対立が深まり、日本との関係にも影響が出るのは必至。日ロ平和条約交渉が一層難航するのは避けられない。
 中ロはこれまで「同盟関係」を否定している。しかし、中ロ関係に詳しいロシア国立高等経済学院のマスロフ教授によると、両国指導部は「軍事同盟締結」の方針を決定済みという。
(10月29日、共同通信)

中露同盟をもって日露協商の目は失われるだろう。
日本では報道されていないが、安倍首相は昨年十月の訪中時に中国側から日中協商を打診され、これを黙殺したという(香港メディア)。それ自体は「はい、わかりました」と言えるものではないが、中露同盟の成立という背景を考えれば、中国側の申し出を「無視」したことの意味は大きい。要は「ポツダム宣言の黙殺」と同様、敵対関係を選択したようなものだからだ。

ケン先生は中国に来てまだ一年ちょっとであるが、知日派中国人は概ね日本に対する理解が深く、権威主義的かつ右翼的(南京事件や東京裁判の否定など)な安倍政権に対しても好意的であると同時に、「日中連携こそが両国にとってプラスであり、敵対はマイナスでしかない」という認識を持っている。
だが、知日派以外になると、「日本何するものぞ」「しょせん前世紀の遺物」「衰退の一途を辿る旧帝国」といった意識を持つ者もおり、どうやらこうした層が少しずつ増えているようにも見える。
幸いにして、習近平政権は日本に対して比較的好意的であり、だからこそ裏で日中協商を持ちかけたものと見て良い。

これに対して、日本側は政府、政権党、世論のどのレベルで見ても、いまだに中国を下等視する向きが強い。
例えば、先の夏期休暇に際してケン先生は中国の政府関係者の依頼を受けて、自民党に交流の打診を行ったが、「全く興味ない」という身も蓋もない回答で中国側のメンツを丸潰しにしてしまった。
どこまでも愚かである。

確かに中国と直接連携するのは、日米安保の手前、まず無理なのはわかる。が、「そこはそれ」として裏で伏線を描くのが権力者の務めではないか。冷戦期のハンガリーや大戦期のイタリアを少しは見習っても良さそうなものだ。

現実に日中協商は難しいからこそ、安倍政権が始めたのが日露交渉だったわけだが、ケン先生はかねてより「時間が経つほど交渉は日本に不利になる」と主張していたが、まさにその通りになった。もともと日本は自国とアメリカの衰退もあって中露に「押し込まれる」側にあり、交渉に時間をかける余裕などなかったはずだが、歴史認識(ソ連による千島・南樺太の領有を認める)のような比較的妥協可能な要求すらのまずに強硬姿勢を貫いた結果だった。
まぁゲーム的には、アメリカの広告塔である外務省が万事について妨害する中で、「良くやった」とは言えるものの、敗北は敗北である。

今後、日本政府はさらに対米傾斜を深めていくことになるだろう。つまり、アメリカの対外戦争により積極的に参加し、貿易などの交渉もさらに妥協することになる蓋然性が高い。

【追記】
もっとも、この件について中国側は一切反応を示しておらず、「中露同盟」には触れないようにしている。報道も全くない。ロシアによるプロパガンダ的要素が強いことは確かなのだが、中国側が否定しないということは、黙認していると見て良いだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(4) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする