2019年11月12日

医療無償化のツケ:徳島の場合

【徳島県立中央病院 来月から小児救急縮小 県内、24時間体制ゼロ】
 徳島県立中央病院(徳島市)の小児科の救急医療体制が、11月1日から縮小される。現在は24時間体制だが、小児科医1人が産休に入るため、維持が難しくなった。今後は徳島赤十字病院(小松島市)と交代で対応する。県内で24時間体制で小児科医が対応できる救急病院はゼロになる。
 県立中央病院の小児診療は11月以降、夜間(午後10時半〜翌日午前9時)の受け入れが火、木曜のほか、金、土、日曜を隔週で赤十字病院と交代で対応する。月、水曜の夜間は赤十字が受け入れる。両病院とも平日の日中の小児診療は通常通り行う。月曜から土曜の午後7時半〜同10時半、日曜・祝日の午前9時〜午後10時半は徳島市夜間休日急病診療所が対応する。
 小児科の救急医療体制は9月、赤十字病院の小児科医が産休に入るなどしたために見直され、赤十字病院が24時間体制でなくなっていた。県医療政策課は「元に戻せる時期は未定。医師の復帰の時期を見て、体制を戻せるよう協議を進めていく」としている。
(10月22日、徳島新聞)

何度も述べているように、ケン先生は社会主義者だが、持続不可能な制度は意味が無い。
医療費無料のことである。

徳島の場合、小児医療助成制度によって自己負担分も還元されるため、実質的な自己負担額はゼロとなっている。
日本全国で小児医療、特に小児救急システムが維持できなくなっているのは、小児医療のコストが高い割に診療報酬が低く抑えられている上、地方に行けば行くほど「少子化対策」として小児医療を無償にしていることが大きい。

小児医療の場合、患者が小さい子どもであるため、自分で病状や症状を説明することが難しく、同時に医者から見ても成人の場合より診断が難しいとされる。そもそも診察を怖がる子どももいたりして、診察自体、非常に多くの時間を要する。結果、看護師の人手も時間も多く取られる。つまり、「営業効率」が非常に悪いのだ。
このコスト高に比して、診療報酬は逆に「子どもだから」と低く抑えられているため、病院経営の面から言えば、小児科は「恒常赤字部門」でしかない。そのため、悪化した病院経営を改革する場合、真っ先に切られるのが小児科ということになる。

中小の病院で小児科がなくなると、大病院に集中することになるが、今度は医師の確保が難しくなる。
大病院の小児科は自然と激務になり、「権藤、権藤、雨、権藤」(古!)のように当直が強制され、小児医は疲弊、辞めるものが増える一方、不足分を募集しても人が確保できなくなっている。
また、医師はできるだけ早く開業しようとするため、常にベテランが不足し、新人を使い潰すような状態にもなっている。
ただでさえ、小児医は女性の比率が高いため、出産や育児によっても制限がかかり、ますます労働力が不足するという形だ。

これに対して、確かに少子化は進んでいるものの、地域小児科不足の進行の方が早い上、「小児医療無償化」もあって、ちょっとした風邪でも救急に行くということも常態化しており、小児医療は「薄い戦線でかろうじて持ちこたえている」状態となっている。

必要なのは、小児医療無償化の廃止と、小児医療の報酬の見直しだが、いずれも政治的理由から困難であり、現状では「薄い戦線」が自然消滅するのを、指をくわえて待っているだけのようなものとなっている。
posted by ケン at 12:00| Comment(3) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする