2020年01月11日

ソレイマニ司令官殺害で中東に火の手?

【トランプ氏、イラン政府転覆の意図否定 司令官殺害で声明】
 ドナルド・トランプ米大統領は3日、米軍の空爆により死亡したイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のガセム・ソレイマニ司令官について、米外交官を攻撃しようとしていたところを殺害されたと表明した一方で、米国はイラン政府転覆を画策してはいないと強調した。
 トランプ氏はフロリダ州で報道陣を前に声明を読み上げ、「ソレイマニは、米外交官・軍人に対して差し迫った邪悪な攻撃を画策していたが、われわれはその現場を押さえ、彼を殺害した」と述べた。ただ、トランプ氏はソレイマニ司令官を「病的」と非難した一方で、イランとの戦争は望んでいないと強調し、緊張の緩和を試みた。トランプ氏は「われわれは昨夜、戦争を止める措置を取った。戦争を始める措置ではない」と説明。「われわれは政権交代を求めてはいない」と述べた。
(1月4日、AFP)

「テロリストのリーダーを殺害しただけで、体制転換までやる予定はない」とか、完全にGMT「ラビリンス」の世界である。
「ラビリンス」では、ジハーディスト勢力の伸張を抑え、時には軍事力を用いて武力行使しつつ、中東の政治的安定を実現することが、USの勝利目標となる。実際には、武力行使と支援活動(民生安定)はトレードオフの関係にあり、米軍がどれだけ頑張って「お掃除」しても、それだけでは勝てない。
一方、ジハーディストは「中東がダメなら、アフリカもあるし、フィリピンもあるし」「ヨーロッパでテロやって一儲けしておくか」など、手段はいくらでもあって、大して痛くない。アメリカばかりが「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と胃が痛くなるゲームなのだ。

実際の展開は、ゲームほどにはジハーディストに有利な展開になっていないものの、「アメリカが全然勝てていない」情勢にあることだけは間違いない。
事実、ビン=ラディン師もバグダーディー師も米軍によって殺害されたものの、その効果は一時的、限定的なものでしかなく、アメリカの勝利に貢献していない。

他方、ゲームプレイヤーとしてUSを見た場合、大統領はどうしても国内向けに宣伝できる「明確な成果」が欲しくなる。特にトランプ氏の場合、再選の選挙を控えており、「ポイント」を稼いでおきたい気持ちがどうしても強くなるだろう。人間が政治をやっている以上、避けられない話だ。そして、「最も低コストで最も効果が高い」方法が、今回の無人機による現地司令官殺害だったのだろう。
とはいえ、無人機によるテロリスト攻撃を最も好んだのは、オバマ前大統領だと言われており、その頻度は凄まじく高かったとされる。彼らにとっては「自軍兵士を危険にさらさずに、ポイントだけ稼げる効率的な方法」なのだ。

イランの自重した「報復」により、破滅的な結末は避けられたものの、イラクや中東におけるアメリカの地位はむしろ悪化していくと考えられる。アメリカは一時的なポイントは稼いだものの、全体情勢は一層不利になっていきそうな感じだ。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする