2020年07月02日

専守防衛から攻勢防御へ

【自民、週内に敵基地攻撃能力の議論開始 検討チーム設置へ】
 自民党は22日、敵の発射基地を攻撃することで発射をためらわせる「敵基地攻撃能力」の保有を含むミサイル防衛に関して検討チームを立ち上げ、週内に初会合を開き、議論を始める方向で調整に入った。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画の事実上の撤回を受け、安倍晋三首相は18日の記者会見で能力保有を検討する意思を示していた。
 検討チームは党の安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)と国防部会(会長・原田憲治前防衛副大臣)を中心に構成する。北朝鮮が昨年以降、17回の弾道ミサイル発射を繰り返し、技術を高度化するなど周辺国の脅威が増す中、能力保有の是非や技術的課題などを検討する。夏までに政府への提言をまとめたい考えだ。
 政府は従来、敵基地攻撃能力について「他に手段がなければ法理的には自衛の範囲で、憲法上許されるが、政策上保有しない」と解釈している。連立政権を組む公明党には反対論が多く、与党内の調整も課題となる。
(6月22日、産経新聞)

「イージス・アショア」配備計画の撤回は、戦略的には「対米自立(独自路線)への一歩」、軍事的には「先制攻撃能力の保有へ」という意味を持つ。だが、戦略的にも軍事的にも現行憲法第九条が障壁となっているため、憲法改正を経ない実務的な議論は、ますます憲法の空文化を促進するところとなる。

大臣は自ら「システム改修に10年程度かかる」旨を理由に挙げており、それまでにシステムが陳腐化してしまうリスクを考えてのことと考えられる。それに、北朝鮮を相手にするだけならともかく、中国を考えた場合、2030年には米中の勢力バランスが完全に拮抗すると見られるだけに、「他の方法」を検討した方が良いと判断したのかもしれない。
とはいえ、五月には防衛省内では結論が定まっていたにもかかわらず、発表が遅れたのは、国会での議論を避けたかったことと、安倍政権の中にあって、河野大臣は最も親米寄りなので、抵抗した可能性もある。また。中止を発表した瞬間に自民党が動くというのは、党内での調整があったものと見て良いだろう。

確かに政府は現状でも先制攻撃能力について、「自衛の範囲で、憲法上許されるが、政策上保有しない」と説明しているが、他国領土に対する先制攻撃を「憲法上許される」とするのは、無理筋も良いところであり、だからこそ「政策上保有しない」と留保せざるを得ない。
北朝鮮に限って言えば、「米軍がやられる前にやってくれるはず」という前提の上に成り立っていたが、米軍による朝鮮侵攻どころか、半島からの撤退が視野に入っている今となっては、「親分がやらないなら、自分でやらせていただきます」という議論を勝手に始めようとしているのが、今の自民党であると言える。
安保や憲法関係の議論そのものを拒否する主要野党の姿勢に問題があることも指摘しておきたい。

政府がF-35の導入に固執し、「いずも」の空母改修を進めているのも、空母搭載のF-35による先制攻撃を想定していると見て良い。
もっとも、これも「敵基地」が1、2カ所の話で、その場所を事前に探知できるという前提であり、「やらないよりはマシ?」というレベルの机上の空論感は否めない。

【参考】
中道左派ライトウイング視点による憲法9条と日米安保のおさらい
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする