2020年10月31日

無人機で圧倒するアゼル軍

【ナゴルノカラバフ、紛争再燃】
 アルメニアの野党政治家だったパシニャン首相は18年、大統領から首相に転じて権力を握り続けようとしたサルキシャン氏をデモで打倒し、国家指導者の座に就いた。旧ソ連圏の「カラー革命」とは異なり、欧米に傾斜することなく、親ロシア路線を維持。「国是」として係争地を死守するに当たり、さすがに弱腰は見せられないようだ。
 パシニャン首相は、アゼルバイジャンのアリエフ大統領と19年3月にウィーンで初会談し、今年2月のミュンヘン安全保障会議でも議論を交わした。ただ、政変を経てもアルメニアが強硬姿勢を崩すことはなく、16年の前回の大規模衝突時から何ら変化がないと、アゼルバイジャン側の目に映ったとみられている。
 「トルコの軍事顧問らがアゼルバイジャンの司令部に入り、作戦を指揮している」。パシニャン首相は9月29日、ロシア国営テレビでこう非難するに至った。
 翻ってアゼルバイジャンは、オイルマネーを元手に軍備の近代化を進めてきた。一例を挙げると、イスラエル(対イランの観点でアゼルバイジャンを重視している)から無人機を調達したほか、トルコ製の攻撃用無人機の導入にも動いた。
 今夏には自国領内でトルコと合同軍事演習を実施していた。アルメニアは同盟国ロシアが9月下旬に行った大規模軍事演習「カフカス2020」に参加しており、この直後にナゴルノカラバフで衝突が起きた。緊張が高まっていたことは確かだ。
(10月6日、時事通信)

百年戦争の様相を呈している「ア・ア戦争」。
これまでは、アゼルバイジャン軍が圧倒的な兵力を動員してアルメニア軍に襲いかかるも、少数精鋭(60代までいる)のアルメニア軍が手練手管を使って孤軍奮闘、撃退し、米欧に強力なロビイ勢力を有するアルメニアが国際世論を制してアゼルバイジャンを一方的に非難し、諦めさせるという流れが延々と繰り返されてきた。
アゼル軍は一見、やる気満々に見えるも、撃たれるとすぐに逃げ散ってしまい、背景には腐敗による軍紀の弛緩や給与未払いの蔓延などがあった。

ところが、今回は大動員した軍は前に出さず、トルコやイスラエルなどから調達した攻撃用無人機を大量に使って、アルメニア側の戦車と長距離砲、さらに兵器・弾薬庫を破壊して、先に継戦能力を奪ってしまった模様。

まったく、これではゲームにもなりませんな。どうやら私も長生きしすぎてしまったようで。。。
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2020年10月30日

菅首相の初外遊

【菅首相、初の外国訪問から帰国】
 総理大臣としての初めての外国訪問でベトナムとインドネシアを訪れた菅総理は、一連の外交日程を終え、21日夜、帰国しました。
 「日本は南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対をします。すべての当事者が、力や威圧によるのではなく、国際法に基づき、紛争の平和的解決に向けて努力することの重要性を改めて強調をいたします」(菅義偉首相)
 ベトナムとインドネシアを訪問した菅総理は21日、会見で中国の南シナ海への進出を念頭にASEAN諸国と協力し、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現に取り組む考えを示しました。
 また、徴用工訴訟をめぐり、韓国側が差し押さえた日本企業の資産の現金化に向け準備を進めていることについては、“現金化されれば日韓関係に極めて深刻な状況を招く、絶対に避けなければならない”と牽制しました。
 一連の外交日程を終えた菅総理は21日午後10時ごろ、政府専用機で帰国しました。初外遊の成果については、来週26日から始まる臨時国会でも議論されることになります。
(10月22日、TBS)

結局のところ、米中どちらに行ってもカドが立つということで、東南アジアに初外遊という選択。
まぁ「決められない人間の常套手段」と言える。
とはいえ、これは安倍路線の継承であり、外務省の意向(親米)とは異なるので、そこは評価すべきだろう。
アメリカが大統領選の真っ最中で、誰も相手にしてくれないという事情も幸いしたと言える。

「対中包囲網を作る」という外務省の狙いも的中せず、インドネシアには500億円を提供しただけに終わったように見える。
対インドネシアODAは累計で6兆円に達しようとしており、すでに対中国の3.6兆円を大きく上回る。
ところが、インドネシア外交は中国と日本がBEDを続けているような有様にあり、すでに日本に勝ち目はなくなっている。

ベトナムにしても、「反中同盟」の提案に易々と乗るようなマネはしない。
ベトナム自体は歴史的に反中国であり、対モンゴル戦に象徴されるように、日本と利害が一致することは少なくないが、あちらは陸続きであり、正面から中国と敵対するリスクは日本の比ではない。
また、ベトナム経済も中国市場なくしては成り立たず、安保と経済は両にらみで行くほか無い。

まぁ結局のところ、やはり「やった感」を見せただけというところなのではなかろうか。
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2020年10月29日

菅総理の著書、版改訂で検閲か?

【菅首相の著書、改訂版が発売 公文書管理の記述消える】
 菅義偉首相の著書「政治家の覚悟」(文芸春秋)が20日に発売される。野党議員時代の2012年に刊行した単行本を改訂した新書で、全244ページ。官房長官時代のインタビューが追加収録される一方、「公文書の管理の重要性」を訴える記述があった章は削除された。
 12年の単行本「政治家の覚悟 官僚を動かせ」は首相の就任後、ネット上で高額で取引されていた。
 今回の改訂版で削除されたのは、旧民主党の政権運営などを批判した章。この中で、東日本大震災後の民主党政権の議事録の保存状態を問題視し、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と公文書管理の重要性を訴えていた。
(10月19日、朝日新聞)

版や刊行時期によって内容や検閲対象が異なるのは権威主義国家の伝統芸。
版ごとの違いを見て、「何が変化して、その理由は何か」を考えるのが、ソヴィエト学徒の「修業」だったが、そうした訓練を受けたのは我々が最後の世代だった。

例えば、『ジューコフ元帥回顧録』の場合、1969年初版の752ページに対して、1983年版は第5版は984ページ、1992年発行の第11版は1159ページもあったが、2010年第14版は出版社が「完全版」としているも960ページしかない。
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2020年10月28日

料金徴収経費が高いから法律で市民のテレビ保有を管理しろだと

【NHK、テレビ設置の届け出義務化を要望 総務省会議に】
 NHKは16日、総務省の有識者会議で、テレビなどの受信機を設置した場合、同局への届け出を義務化するよう制度改正することを要望した。テレビがない場合の届け出や未契約者の氏名、転居先の住所を公的機関などに照会できる制度の導入も求めた。不払い対策などとみられ、有識者からは慎重な対応を求める意見が相次いだ。
 NHKによると、全国の世帯の約2割は受信契約を結んでいない。受信者情報が把握できないことから、未契約世帯への訪問のための人件費などに年間約300億円がかかり、繰り返し訪問することでクレームやトラブルも発生しているという。NHKの松坂千尋専務理事は「人海戦術による極めて不本意な経費がかかっている」と述べた。
 一方、有識者からは「氏名照会は適切な方法なのか」「NHKに届けなければならないという心理的苦痛が生じる」などの慎重な対応を求める意見が相次いだ。
(10月16日、朝日新聞)

「料金徴収経費が高いから法律で市民のテレビ保有を管理しろ」だと?!

「料金徴収経費が高いから法律で市民のテレビ保有を管理しろ」とのたまうNHK。契約の自由やプライバシーといった市民的自由、基本的人権について全く理解しようともしない連中が、「公共放送」を僭称している。

この問題は過去に何度も触れているが、過去ログから引用しておく。
NHK受信料について、放送法第64条は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と規定しているのみであり、実質的な契約義務こそ記されているが、実のところ支払い義務までは規定していない。これは本来「契約は双方の意思の合致によってのみ成立する」(契約の自由)という近代私法や憲法の理念にそぐわないシステムを合法化させるためのギリギリの妥協であり、受信料支払いの義務化が実現してこなかった所以である。
その唯一の例外が税金であり、その例外性故に憲法に「納税の義務」が記されている。

危険物の取引を行政が管理下に置くのは、公共の福祉と安全を脅かす恐れがあるためであり、これは正当なものだ。
しかし、テレビの保有は公共の福祉と安全に影響するものではなく、いかなる理由があっても行政が管理すべきものではない。
まして、「料金徴収のコストが高いから」など一企業の自己都合によって、国民の権利に重大な侵害を与えることなどあってはならない。

NHKは国営放送とスクランブルのかかる民営放送に分割するほかないだろう。

なお、立憲民主党は日放労の支援を受けているため、これを批判できない。

【参考】
・NHK受信料をめぐる決定的課題
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月27日

デマはデマ故に

【学術会議元会長、対中協力を否定 「悪質なデマ」、野党ヒアリング】
 日本学術会議の大西隆元会長は15日、中国政府の海外人材支援プログラム「千人計画」に学術会議が協力しているとの見方を否定した。立憲民主党など野党が国会内で開いた合同ヒアリングに出席し「全く関わりがない。悪質なデマが流されている」と反論した。プログラムは中国による軍事利用が指摘されている。自民党内から、学術会議と中国科学技術協会の協力覚書を挙げ「間接的に協力していることになりはしないか」(甘利明税制調査会長)との声が上がっていた。大西氏は、覚書の存在を認めた上で「活動実績はない」と強調した。
(10月15日、共同通信)

デマに対して「デマだ」と言ってみたところで、火事になっている家をバケツの水で消そうとする程度にしか効果は無い。
デマはデマが持つ暴力こそが目的であって、それが真実かどうかは全く重要でないからだ。デマは批判的な知識人や政敵を攻撃するために、大衆の不満をあおって攻撃の矛先を向けるために利用されるが、これはナチスやボリシェヴィキが多用した伝統的手法である。

問題は自民党が率先してやっていることだが、ナチスの支持率は独裁前は3〜4割程度だったし、ボリシェヴィキに至っては3割も無かったことを考えれば、自民党は支持率が3〜4割程度だからこそ、デマによる大衆動員を進めていると考える方が自然だろう。

これからの時代はやはり全体主義の知識が無いと、政治社会を理解するのは難しいのではないか。
そうだ、ソヴィエト学を学ぼう!
posted by ケン at 12:00| Comment(4) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月26日

「国民のために働く」新総理ポスター

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【自民が新ポスター「国民のために働く」菅首相は満足げ】
自民党は13日、菅義偉総裁が首相となったことを受け、新ポスターを発表した。キャッチフレーズは「国民のために働く。」。赤を背景に「情熱」を表したという。10月下旬には街頭に貼られる見通し。会見を開いた丸川珠代広報本部長によると、菅首相は「これが全国に貼られるんですね」と満足げだったという。
(10月13日、朝日新聞)

日本もいい感じに香ってまいりました。

しかし、わざわざ「国民のために働く」と宣言するあたりが。。。お口チャック!

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ソ連学徒としての学習がいよいよ役立ちそうです。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月24日

大学院の博士課程学生数 ピーク時の半分に

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【科学技術立国支える 大学院の博士課程学生数 ピーク時の半分に】
5日からことしのノーベル賞の受賞者の発表が始まります。3年連続での日本人の受賞となるか注目されますが、科学技術立国を支えると言われる日本の大学院の博士課程の学生の数は、修士課程から進学する人の数がピーク時の平成15年度から減り続け、昨年度はほぼ半分となっていて、ノーベル賞の受賞者からも対策を求める声があがっています。
日本は、おととしの本庶佑さんの医学・生理学賞に続き、去年は吉野彰さんが化学賞を受賞し、3年連続で日本人の受賞となるのか、5日からのノーベル賞の発表が注目されています。
しかし、受賞者が相次ぐ一方で、科学技術立国を支えると言われる日本の大学院の博士課程の学生の数は、修士課程から進学する学生が減り続け、文部科学省によりますと、ピーク時の平成15年度のおよそ1万2千人から、昨年度はほぼ半分の5963人まで減りました。
また、人口100万人当たりの博士号取得者の数も、欧米が増加傾向にあるのに対し、日本は2008年度の131人から減少し、2017年度には119人と、アメリカ、ドイツ、韓国の半分以下の水準にまで落ち込んでいます。
これについて、ノーベル化学賞を受賞した、大手化学メーカー旭化成の吉野彰さんは、博士号を取得しても将来のキャリアが不透明なままというのが重要な課題だと指摘しています。
吉野さんは、欧米諸国などでは博士号を取得すると企業などでの就職が優位になる側面があるのに、日本では処遇がほぼ変わらないと指摘します。
そのうえで「企業は博士という学位を考慮し、それなりの待遇や給与で優遇することなどが必要ではないか。産業界が博士課程を出た人をどう処遇するかが、これからの問題だ」と訴えます。
また大学の環境についても、若手が長期的に研究に打ち込めるようになっていないと指摘します。
吉野さんがノーベル賞を受賞したリチウムイオン電池の研究を始めたのは吉野さんが33歳の時で、腰を据えて1つの研究を続けられたからこそ、30年後に世界で評価される結果が出せたといいます。
吉野さんは「大学の研究は、真理の探究、あるいは研究者自身の好奇心に基づきひたすら追い求めるもので、1つのミッションとして絶対必要だと思います。そういった意味で、博士課程を経た人が10年間程度は安心して研究できる環境は、日本にとって非常に重要だ」と指摘しています。
(10月4日、NHKより抜粋)

ニッポン、スゴイデスネ〜〜

「選択と集中」の結果ですな!
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 学問、文学、教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする