2013年06月20日

高齢出産は意外にフツー

インリン様ご懐妊の報に接し、心よりお慶び申し上げます!

順調に経過すれば37歳での「高齢出産」となる。他方、日本政府は「女性手帳」なるものを女性に配布し、高齢出産のリスクを訴え、若年出産の推奨を行おうとしたところ、世論の強い反発を浴びて断念するに至っている。その一方で未成年者の性交渉や恋愛に強い規制がかけられ、女性の労働環境は悪化の一途を辿っているのだから、「産む機会(自由)」そのものが脅かされているのが現状なのだが、保守的な議員やヤクニンどもは自己個人の責任(問題)にすり替えるばかりだ。が、それは主題ではない。

保守連中は高齢出産がさも悪いことのように言い立て、近代特有の現象であるかのように吹聴しているが、決してそのようなことはない。全体的に出産の高齢化が進行していることは確かであるものの、それは何よりも寿命そのものが長くなっていること、そして教育、特に高等教育が普及して女性の社会進出が進めば避けようがないことでもある。
現実には、「人生五十年」と謳われた中世にあっても「高齢出産」は稀少例ではなかったと推察される。ただ、いかんせん女性側の生年月日が不詳なケースが多いため、データベース化するのは難しい。それでもいくつか例を挙げてみたい。

上杉清子が室町幕府初代将軍となる足利尊氏を生んだのは36歳の時、弟の直義を生んだのは38歳の時だった。その尊氏の妻である赤橋(北条)登子が基氏(二代将軍義詮の弟)を生んだのは34歳の時だった。その義詮の室である紀良子が義満の弟となる満詮を生んだのは28歳の時だった。もちろん夫婦別姓は基本。
時代は下って、甲斐の武田信虎の妻である大井の方が晴信(信玄)の弟である信繁を生んだのは28歳、次いで信廉(逍遙軒)を生んだのは35歳の時だった。また、長尾為景娘(仙桃院)が上杉景勝を生んだのは32歳の時だった。
浅井長政娘の「江(ごう)」は徳川家光を31歳、忠長を33歳の時に出産している。有栖川吉子が徳川慶喜を生んだのも33歳だった。
40歳で「初老」と言われ、50前後までに隠居(定年)した時代にあっても、30代での出産は意外とフツーのことだったのだ。

なお、近代の有名どころだと、夏目漱石は母・千枝が41歳で生んだ子で、千枝は「こんな年齢をして懐妊するのは面目ない」と周囲に語り、漱石は千枝を祖母と思って育ってしまったらしい。また、山本五十六は父親が56歳、母親が45歳の時の子で、本人は名の由来を聞かれると不機嫌になったという。大叔父も母33歳の時の子で、兵学校受験時に家族構成を問われ「(前妻から数えて)11男です」と答えたところ、面接官に「ふざけた返事をするな!」と一喝されたそうだ。

まぁ年齢と出産を結びつけて政府がコントロールしようなどと考えない方が良い。
むしろ小児科医たちの話を聞いていると、未熟児の増加こそが問題であり、その背景には生活環境や出産環境のストレス、あるいいは「小さく生んで大きく育てる」といった幻想こそ解決しなければならない課題であるという。
posted by ケン at 12:27| Comment(7) | 恋愛、結婚、魔術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まったくその通りで高齢出産よりも未熟児の方が問題です
私も未熟児で生まれて体が弱く、苦労してきました
未熟児は本当に大変です
それと高齢出産を批判する連中の中には若い娘と性交したい奴もいると思います(性奴隷にしようとする魂胆丸出し)
Posted by ドーベン・ウルフ at 2013年06月20日 20:27
高齢での「出産」なら、確かに昔も多かったでしょう。戦前で35才以上の出産が約2割と、今とそれほどは変わりません。

ただ、高齢での「初産」となると、さすがに珍しかったと思いますよ。今、問題となっているのはもっぱら初産についてが多いわけで、挙げられている例示はややピントはずれではないでしょうか。
Posted by M at 2013年06月20日 21:00
Mさんの指摘はもっともなことではありますが、本稿の主旨は「ただでさえ母になる人へのストレスが多い社会なのだから、あまり高齢高齢言い過ぎなさんな」ということなので、そこはまぁ大目に見てもらえると有り難いです。
ただでさえ日本の女性は「勉強しろ」「不純異性交遊はダメだ」「もっと働け」「20代(出来れば前半)で出産しろ」「もっと子を産め」とストレスがかかり過ぎているとしか思えません。結果として、生まれてくる子どもにも影響していると思うのです。
「もっとおおらかな社会を」が私の主張です。
Posted by ケン at 2013年06月21日 12:49
・年齢は「数え年」でしょうか?
・Mさん指摘の「初産」かどうかは結構大きな違いになるかと
・女性は満16歳で婚姻可能になるのに「淫行条例」で満18歳になるまでの『婚姻可能年齢との矛盾』が生じておりダブルスタンダードになっている。

三点目は最高裁では性行為だけを指さないとされているようですが、児ポ法と同じで取り締まる側の裁量が大きいですね。

同級生に中学卒とほぼ同時に結婚、出産した女の子がいましたが、すでに孫までいるんだそうで、確かに計算すればその通りなんですけど、知ったときは驚きました。
Posted by TI at 2013年06月22日 01:52
年齢は数えではありませんが、日付までは正確には分かりませんので、一年程度の誤差はあるでしょう。
淫行条例は完全に矛盾した存在である上に、当局の裁量が大きすぎます。私としては「淫行」も「児童ポルノ」の定義もどちらも「16歳未満」で十分だろうと考えておりますが。
そもそも「淫行条例」という名称自体が差別臭がしますね。

私がロシアで教えていたとき、大学生の親たちに自分と同年齢に近い人たちが少なくなかったことに驚きを禁じ得ませんでした。
Posted by ケン at 2013年06月23日 08:35
・年齢の「誤差」は仕方無いですね。
・「淫行条例」は同感です。
民法を無視した内容で、何を規制したいのかわからなくなっています。(有名俳優の娘という肩書き芸能人に16歳の誕生日に結婚届けを出した方がいらっしゃいますが、その相手は24歳年上で『美談』とされてるのが不思議)

国の政策とは別にして、ますます若くして結婚してもやっていけない社会になっているのが実情です。
上場企業とはいえ、福利厚生はどんどんカット。
「社宅」はもちろん、「社宅とみなす家賃補助」もどんどんカットされ、地方は家賃が安いとはいえ結婚して子供が生まれてとなれば大きな負担。

職場結婚し、両方が社員のまま「ダブルインカムノーキッズ」(懐かしい)なのが一番「おいしい生活」でしたけど、その後は非正規雇用比率が高まり、収入や身分が不安定だから男性の場合、なかなか結婚できないし、結婚しても子供は無理となってしまっていますね。
Posted by TI at 2013年06月23日 17:53
結局のところ政府は言っていること(少子化)とやっていること(若年層の貧困促進)が全くかみあっていないので、今後も少子化が改善される見通しはありません。だったら最初から騒がなけりゃいいのにと思うんですけどね。
野党としては、教育費負担の軽減、第二子以下の子どもに対する子ども手当の増額、全体的な労働時間の短縮などを明確に主張しなければなりませんが、せいぜいのところNK党くらいしかできていません。
Posted by ケン at 2013年06月24日 12:59
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