2010年06月07日

鳩山総理辞任劇の裏話

そろそろ記しておいて良いだろう。
鳩山総理辞任に関して得られた情報を整理しておきたい。

どうも直接のきっかけは、「社民切り」にあったらしい。
一部報道の通り、幹事長に何の相談もないまま、社民党に対して無茶な要求を突きつけて、連立離脱を半ば強要した結果、小沢氏の忍耐も切れてしまい、「小鳩」体制の崩壊に至ったという。

もともと鳩山氏は、辺野古移設については、「閣議決定に不記載」とか「総理談話で処理」とかの代案を示し、社民党との連立維持を考慮していた。
それを手のひらを返したかのように、社民党の福島党首に対して、閣議決定の署名を強要する形になった。
私は当初、「さすがに温厚な鳩山氏も社民党の頑迷さに耐えられなくなったか」ぐらいに考えていたが、そうではなかったようだ。
鳩山氏の方針転換は、側近の進言によるものだったという。
官房や補佐官クラスの連中が、

「ここは日米合意を軸に社民党を切って、右転回すれば、支持率が回復する」

と言い含めてしまった、というのが真相らしい。
つまり、日米合意という現実路線と、社民切りという果断を示せば、それまでの「非現実的」「優柔不断」といった非難を打ち消せるはず、という判断だったのだろう。

しかし、それは周囲を顧みない独りよがりの発想だった。
それまでに小沢氏は、「社民との連立は不可欠」と何度も唱えており、鳩山氏もそれを知らなかったわけがない。
すでに参院選は社民党との選挙協力を前提に準備が進められており、参議院のギリギリの議席数を考えれば、少なくとも民主党側から社民を切るという選択肢はなかった。
実際、私のように「社民切り」に諸手を挙げて賛成したのはごく少数に留まり、否定的な見解を示すものの方が多かった。側近が予測したような支持率の回復もなかった。
小沢氏的には、自分の戦略が根底から覆された形となり、支持率の圧倒的低下も相まって、
「これでは参院選を戦えない」という判断に至った。
小沢氏の価値基準は明確で、「選挙に勝てるか否か」しかない。

奇策が完全に裏目に出た鳩山総理は、幹事長に辞任を突きつけられ、もはや如何ともし難かった。
ただ鳩山氏的には、自分が一番困っている時に、助け船を出さず、やりたい放題に党内を牛耳っていた小沢氏に、一矢報いてやりたかったのだろう。
「死なばもろとも」で、自身の辞任の条件に、幹事長辞任を要求した。
当初、小沢氏は「何で自分が辞任しなければならないんだ!」と突っぱねたらしいが、鳩山氏の強硬姿勢に同意せざるを得なかったという。
一部ちまたに伝えられる「実は小沢氏が『ボクも辞任するからあなたも辞任して下さい』と言ったのであって、刺し違えは鳩山氏に華を持たるための話だ」という噂は、小沢派が流したカウンターインテリジェンスの類らしい。

社民党は社民党で、最終決定を下した全国幹事長会議において、執行部から連立維持に可能性を残す穏健策が提示され、最初はパラパラと無難な意見が続いた。
しかし、沖縄県連が立ち上がって、執行部を批判し、基地問題をブチ上げて、連立離脱を強硬に主張すると、会議の空気が一転、強硬策を支持する意見が続出し、ヒートアップした挙げ句、穏健派は沈黙、ついには執行部も穏健策を撤回、連立離脱を確約させられる格好となった。
もちろん、そこは執行部の中でも、福島党首自身が連立離脱派であったことも大きく影響したと思われる。
社民党は、中央集権的な政党が多い日本では珍しく、党員や地方支部の発言力が大きい政党で、その悪い面が出てしまった格好だった。
この点、同志の中にも否定的に見る人が少なくないが、私的には党員である意味が何もない民主党や自民党よりも、よほど民主主義社会の政党に相応しいと考えている(政策は別)。

情報を収集し、整理してみると、どうやら鳩山内閣が社民党に対して、「署名か離脱か」という無理な二者択一を強要したことに、最終的な原因があったようだ。
そして、その要求は、追い込まれた鳩山氏の情勢誤認と判断ミスによってもたらされた。
鳩山氏の判断ミスを笑うのは簡単だ。しかし、総理をあそこまで追いつめた原因は、一義的には鳩山氏自身にあるとはいえ、二義的には非現実的な主張ばかりで現実的な妥協を拒む社民党の姿勢に求められる。
いずれにしても最終的には、社民党との手切れは不可避であったと思われることからも、ここはむしろ、社民党を切って後顧の憂いを無くした鳩山氏の「果断」こそを評価すべきだろう。

しかし、鳩山氏は早々に次期総選挙への不出馬を表明した。となると、鳩山派がリーダーを失って迷走、小沢派に取り込まれていく可能性があり、これも憂慮すべき事態になるだろう。
また、しばらくは鳩山派の議員たちは小沢憎しから沈黙を守ると思われるが、菅・前原派を「裏切り者」と逆恨みしており、小沢派と鳩山派で党内の過半数を制していることを鑑みても、菅新体制はよほど難しい党運営を余儀なくされるだろう。
まったく、一難去ってまた一難である。

【追記】
鳩山氏が小沢氏に同時辞任を迫るのは理解できるが、その他の人が幹事長辞任を求めるのは筋違いも良いところ。小沢氏の政治資金問題は、すでに検察の不起訴によって「クロではない」ことが明らかにされており、イメージでもって「悪」と決めつけるのは、自由と民主主義に反するものであり、厳に戒められるべきである。小沢氏といえども、岩手の選挙区の有権者の圧倒的支持を得て、国会に議席を有していることを忘れてはならない。
posted by ケン at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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