2005年12月06日

パットンズベスト

日本を離れる直前に、学部時代の旧友たちと遊んだボードゲームである。
日本では、右翼に皆さんによる「自虐史観」攻撃が強くなってきているが、このゲームにおけるアメリカ人の自虐ぶりもなかなか堂に入っている。

ゲームのあらましを説明すると、
時は1944年6月。場所は北部フランスのノルマンディー。
プレイヤーは、米軍の第4機甲師団に属する、とある戦車1個中隊を指揮して、ドイツ軍と戦う。
ドイツ軍と遭遇すると、プレイヤーは担当するキャラクターが乗っているシャーマン戦車に指示を出しながら、目の前の敵軍と戦闘することになる。

patton.jpg

今回のプレイヤーは4人。
私こと、ケーニッヒ少佐は、現在退却中のドイツ軍歩兵大隊を担当する。
残る3人が米軍を担当。師団司令部直属P(パイナップル)中隊だ。
ヒスパニック系の新米中隊長・アドゥチ中尉(中隊長兼戦車長)。ベテランのアイルランド移民3世・オーウッキー軍曹(砲手)。イタリア移民2世のノーム上等兵(操縦手)。他2名だ。

夏のフランスの朝は早い。6時には動き出す。
オ軍曹「中尉、おはようございます!今日もヤーボ(航空機)日よりっすね。」
ア中尉「おう。斥候の報告では前方の村にドイツ兵が潜んでいるようだ。お前らはゆっくり朝食でもとっていてくれ。」
ノ上兵「え〜、そんなの迂回しましょうよ〜。」
ア中尉「朝一からワイン畑で戦車をエンコさせるわけにもいかんだろう。」
ノ上兵「ちぇ、これだから新米隊長は困るんだよなぁ。」

アドゥチ中尉は、電話にかじりついて一生懸命あちこちに連絡する。
航空支援と砲兵支援を取り付けるためである。
ドイツ軍が潜む場所に支援なくして飛び込むのは、即死を意味する。
アドゥチ中尉は、必死に交渉するも砲兵支援を得るにとどまった。
この間、約1時間半。すでに日が高くなってきている。

砲弾の大サービスを見届けた後、
ア中尉「よし、前進。」
ノ上兵「敵確認。前方の建物かげに、タイガー戦車。距離800。」
ア中尉「よ、よく見なさい!」
正確に確認できないドイツ軍は、対戦車砲ならすべて88ミリ。戦車なら実際には4号戦車でも、最初はタイガー戦車に見えてしまう。
帰還した米兵がみんな「俺はタイガー戦車をやっつけた」と言う妄想は、自分が見た戦車がことごとくタイガー戦車に見えてしまう幻覚から来ている。

オ軍曹「やっぱりタイガーです。」
ア中尉「ば、馬鹿野郎!そんな訳ないだろう。お、落ち着け。落ち着くんだ……」
ノ上兵「初弾来ます!パイナップル3(友軍戦車)、大破!」
確認できないドイツ軍戦車はみな、タイガー戦車として砲撃してくる。
もっとも、これが4号戦車だったとしても、米軍の初期型シャーマン戦車では、いとも簡単に貫通されてしまう。しかも、ドイツ軍の命中率はきわめて高い。優秀なのだ。

ケ少佐「やられはせん、やられはせんぞ〜!」

装填手「もうダメだ〜。ママ〜。」
ア中尉「見えたっ、なんだよ、4号戦車じゃねえか。よし、行けるぞ!狙え!」
オ軍曹「ピボット(車体隠蔽)した方がいいと思いますよ。勝ち目ないんだから。」
ア中尉「戦争は、先にやった方が勝ちなんだ。いいから狙え!」
ノ上兵「これだから新米隊長は…次弾来ます!パイナップル4、大破!」
ア中尉「なんで撃たないんだ!」
オ軍曹「狙わないで撃ったってあたりゃしませんよ。次狙われるだけっすよ。」

ケ少佐「ゲルマン魂見せてやる!パンツァーファウストくらえっ!」(はずれる)

副操手「ひ〜っ!神様〜!」
オ軍曹「隊長、退却しましょう。後で航空支援呼べば十分っすよ。」
ア中尉「お前らにはアメリカンスピリットはないのか!さっさと撃て!」
ノ上兵「死んじまったら意味ないっす。俺らどうせWASPじゃないし。」
オ軍曹「撃ちます!砲塔に命中!はじかれました!」
ア中尉「ちっ。次弾装填!よく狙え、車体だ!」
ノ上兵「敵砲塔回転、狙われています!来ます!」(はずれる)
装填手「もう終わりだ〜。許してくれ〜。」

と、その時、突如炎上する4号戦車。
ケ少佐「あれはいいものだ〜!」

ノ上兵「味方航空機ですっ。神様サンキュ!」
オ軍曹「助かった〜。う〜んプライベートライアン状態。」
ア中尉「ナッツ!俺の獲物とりやがって〜。」
ノ上兵「あり得ませんね。」
オ軍曹「彼我の性能、能力差はいかんともしがたいですから。」
ア中尉「………」

師団直属P中隊は、猛烈な砲撃支援の後、約1.5キロ進んだ。
が、早くも2輛のシャーマン戦車を失う。
時刻は朝9時を回ったばかり。
まだ日は長く、ベルリンははるか彼方だ。

このゲームで自分の戦車がドイツ軍の戦車を撃破することは、きわめて稀だ。
ドイツの戦車を倒すのはたいてい自軍の航空機なのだ。だから爽快感のかけらもない。
もっとも不可解なのは、これが一人用のゲームであると言うこと。
アメリカ人はこんな自虐的なゲームを一人でうちで黙々とプレイしているのだろうか?
確かにすっごく面白いんだけど、一人じゃ、絶対にやりたくないねぇ(しみじみ)。
posted by ケン at 01:36| Comment(2) | TrackBack(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
82.162.11.99
URL:
DATE: 12/15/2005 21:02:20
そうですねぇ。
無茶苦茶なところがPCゲームの良さなのですが、私はやっぱり仲間とワイワイやりながらプレイするボードゲームの方がいいですね。
特に外国に一人でいると、強く感じます。

もっとも、「Panzer Front」なんかは一人で盛り上がっていましたが……。
やっぱ、「ヴィレル・ヴォカージュ」のビットマンは最高ですね。
Posted by ケン at 1970年01月01日 00:00
220.22.168.63
URL:
DATE: 12/15/2005 11:06:36
おお、なつかしい!戦術級のウォーゲームですか!
わたしもコレとは違いますがやはりノルマンディ上陸直後をテーマにしたものを持っていました。
内容を詳しくは覚えていないのですがヴォカージュでバレンタイン戦車を装備した英国の機甲中隊(あれ、英国は「戦車」だったっけ...)を指揮してやけに装備のいいSS戦車中隊と戦った覚えがあります。
やはり決めてはハリケーン(またしてもうろおぼえ)による近接航空支援でした。とりあえずミッション(そのときは地図上の左から右へ通過すること)はクリアしましたが、中隊の戦車と半軌道装甲車の半分がパンターの餌食になってしまいました。
ヴィットマンと戦った連合軍将兵の気持ちがわかります。
ところで、最近スウェーデン製のPCゲーム(とはいっても日本語版)にはまっています。
コレがやはりWW2ものの戦略級でして、現在大日本帝国で思う存分、星条旗の方々に痛めつけられております、あはは。
もっとも、前回のプレイではユニオンジャックの方々と友好度を上げて同盟を結んだおかげで、大陸で大暴れしてもたっぷり資源をはずんでくれ、バルバロッサが始まったところで日ソ不可侵条約を破棄しノヴォシビルスクまで帝国陸軍が進出して、そこでドイツ軍と交戦(一応連合軍なので...)という暴走ぶりでした。

やっぱりPCゲームです。
Posted by winter_mute at 1970年01月01日 00:00
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック