2015年04月27日

「戦争法制」は一括審議

【安保関連法案は11本=改正案、一括提出―政府】
 政府は23日午前、新たな安全保障関連法案の要綱案を自民党に提示した。それによると、関連法案は武力攻撃事態対処法や周辺事態法などの改正案10本と、自衛隊の海外派遣を随時可能にする新法「国際平和支援法」の計11本。改正案は一括して国会提出する。改正案の一括提出には、国会審議を急ぐ狙いがある。政府は、自民党の安保関連の非公式会合で要綱案を説明、出席者から異論は出なかった。同日午後には公明党にも提示する。両党は27日に開く与党安保法制協議会で正式に了承する見通しだ。 
(4月23日、時事通信)

自民党によって法案の呼び方まで決められそうな平成時代。
いわゆる「戦争法制」は法案11本分をまとめて審議することになった。記事には「改正案は一括して国会提出」とあるが、これはあくまでの政府側の要望であって、法案をどのように(一括か個別か)審議するかは本来、立法府の所管で基本的には与野党の国対で調整される。
政府が何でもかんでも一括審議を求めるのは根源的には議会軽視・蔑視の視点に起因するが、審議時間を可能な限り短縮して成立させたいがためである。その背景には会期制の高い壁がある。今国会の場合、会期末は6月24日で、法案の審議入りが5月後半にずれ込みそうなことを考えると、衆参各院で2週間程度しか審議時間が無い。そのため、自民党はお盆前までの会期延長を考えているという。その場合、各院で最大一カ月超の審議時間が確保される。だが、それも11本の法案を一括審議するという前提だ。法案の重要性と分量を考えた場合、一カ月程度の審議時間は非常に短い。一カ月と言っても、他の法案審議も併行しているため、必要な委員会は毎日開会されるわけではなく、土日はもちろん開かれないから、実質的にはフル回転しても15〜20日程度になってしまうだろう。海外派兵を恒常化し、交戦のハードルを大幅に下げ、他国軍支援の定義を大幅に拡大するなどの法案の重要性を考えると、いかにも議論する時間が足りない。

また、日本の国会は、有司専制以来の伝統から議会で法案を修正する慣習・ルールがなく、基本的には議会(委員会)は賛成か反対かを主張し、政府・政権党のスキャンダルを追及するだけの場になってしまっている。この根源には、「官僚無謬論」に起因する霞ヶ関の法案修正を絶対忌避する姿勢がある。自民党が霞ヶ関と争うのは自分たちの権益が脅かされるときのみだ。
その結果、11本もの法案を「一括審議」にするという、霞ヶ関官僚の議会蔑視と自民党の「お前らどうせ反対するだけなんだろ!」という嘲弄が透けて見えてしまっている。会期制と法案を修正しない慣例の悪弊が際立っているのだ。やはり会期制を廃止して個別審議を基本とし、与野党で法案修正ルールを確立せねばなるまい。その上で法案を一本ずつ吟味して、可能な限り複数の政党が賛成できる内容に法案を修正していくべきだろう。

他方、民主党は民主党でこの決定に胸をなで下ろしている。というのも、個別審議になると「全部に反対するのは無責任」という意見が増えてしまい、今度は「どれに賛成してどれに反対するか」でまたぞろ内部分裂を起こしてしまう危険性をはらんでいたためだ。これが、一括審議となったため、「色々な意見があるけど、一括審議だから一応反対ということで(どうせ反対しても成立するから賛成者は我慢してよ)」みたいな話になっている。これはこれで一括審議に救われた形だが、もはや野党としての存在意義は地に墜ちていると言えよう。
posted by ケン at 12:42| Comment(3) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わざわざUSで期限を含めて明言してしまいましたね。
海外で饒舌になってしまうのは暴走老人こと石原氏と同類のようです。(尖閣諸島を都が買うってのもUSでの発言でしたね)

演説全文を読みつつ、宗主国への「おべっか」が続き、キャロル・キングの歌→311への流れ、最後の「希望の同盟」を絶叫するところなど、どん引きしてしまいました。
Posted by TI at 2015年05月01日 14:45
 安倍首相がアメリカで今年夏までの安保法制成立を約束したのは、民主党にとっては僥倖では?ただでさえ、夏までの安保法制成立は困難とされているのに、安部首相がアメリカでの公約実現を強行しようとすれば、国会運営は立ち往生するはずです。野党は安保法制の中身ではなく、「本来、国民に先に約束すべき内容を海外の議会で先に約束した。属国根性だ」の一点で批判できます。世論調査でも日米ガイドラインへの支持は低く、自民党は国民の支持も集められそうにありません。
 アイゼンハワー訪日のために強行採決を繰り返した祖父の轍を安部首相も踏むかもしれません。
Posted by hanamaru at 2015年05月01日 23:00
NK党以外の野党が安保法制でどこまで政権を追い詰められるのか非常に疑問に思っています。なにせ民主党内は一応立場上、反対でまとまったものの、賛成派の不満は強く、質問に立ったものが何を言い出すかわからない状況にあります。
世論調査は確かに慎重派が強いものの、それはTPPや秘密保護法も同じで、安倍一派は「そんなの関係ない」と思っていそうですし、マスゴミは追従するだけ、国民的にも無関心層が多く、すでに「気持ち的には反対だけど、声を上げては言いづらい」雰囲気になっているのでは無いでしょうか。
Posted by ケン at 2015年05月05日 12:04
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