2015年08月28日

ナゾ過ぎる塾講師検定

【塾講師を国家検定に 信頼性向上狙い17年にも】
 塾講師の検定を「国家検定」にする準備が進んでいる。指導力を保証して信頼性を高めたい塾業界と、サービス業の質を上げたい国の思惑が背景にある。2017年にも実現する見込みだが、受検はあくまで希望者のみ。どこまで普及するかは不透明だ。「中国の主な工業製品はどんなものですか?」。社会科を教える塾講師が生徒に尋ねるこのシーン。塾講師検定(塾検)の受検者向けDVDでは、良くない例として示される。「中国の工業製品についてクイズをやります。五つ書くので、世界一がいくつあるか予想して下さい」という問い方が「正解」。塾検を手がけ、DVDをつくった全国学習塾協会(東京都)によると、「生徒の興味を引き出す工夫をしている」という。
塾検は、08年に業界独自の検定として始まった。1〜3級に分かれ、最もやさしい3級の試験は、担当教科の公立高校入試水準の学力やマナーをみる筆記。1〜2級は模擬授業を録画し、協会が選んだベテラン講師らが審査する。受検料は3級が6200円。DVDは模擬授業の解説としてつくられた。検定の目的を「基本技能のある講師の育成」に置くため、1級の想定水準は「授業を1人で任せられる3〜4年目レベル」で、いわゆる「スーパー講師」ではない。協会の稲葉秀雄専務理事は「塾によっては未訓練の学生アルバイトが指導するケースもある。少子化も見据え、基本的な技量を担保して業界の信頼を高める狙いだった」と話す。
(朝日新聞、8月26日)

笑えすぎ、ネタかと思ったけど、事実らしい。
縮小再生産されるだけの市場で競争力が無くなっているだけに、国家検定化で権威付けをしようという話なのだろうが、「わが塾の講師はみな国家検定を取っています」などという宣伝に「じゃあ安心だ」などと思う保護者が何人いるか、という話である。
実際、現行の塾講師検定も一般的な2級を見た場合、過去7年間の受験者総数は924人で、合格者数は合計708人と年間100人余りの有様。漢字検定などと比べても比較にならないほど「無用」と見なされている。そもそも需要がなく、今後も需要減が見込まれるのだから、検定として殆ど魅力が無いのは当然だろう。

さらにナゾなのは、塾検定の所管が文科省ではなく、厚生労働省であるということ。つまり、文科省が定める学習要領のような学習者が目指すべき到達基準とは関係なく、「教育サービス業として適切なサービスを提供できているか」を見ることが前提らしい。
この辺になると、聞いたことも無いような国家資格が乱立して、その資格ごとに特殊法人が設立されてヤクニンの天下り先になっていることが思い出される。つまり、権威付けを図りたい塾業界と、天下り先を増やしたい官界の思惑が一致した可能性が高い。

一般的に資格や検定は市場における需要があり、一定のサービス水準を維持する社会的必要性があるからこそ、認知される。例えば、以前私は犬猫の葬祭業(火葬)に免許制を導入して欲しいという陳情を受けたことがあるが、これは動物葬祭の需要が増え、同業が乱立してサービスの質的低下が業界の信頼を脅かしていたからだ。実際、「まとめて一括焼却」や「山林への廃棄」などの事例が散見されている。このケースでは、私も理解を示したわけだが、上記の塾講師の検定にはいかなる社会的必要性も見出せない。
posted by ケン at 12:15| Comment(2) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
K産省は省庁再編後産業構造の変化についていけず何をしていいか迷走していると聞いたことがありますが、このあたりもそうなんでしょうね。
Posted by 3110 at 2015年08月31日 22:12
文科省で無く厚労省という辺りが、ますますなりふり構わぬ利権漁りの迷走ぶりを示しているかと。
Posted by ケン at 2015年09月01日 12:22
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