2016年01月28日

黒猫・白猫

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『黒猫・白猫』 エミール・クストリッツァ監督 セルビア(1998)

クストリッツァ映画祭に行く。3週間あると日程も調整しやすくて良い。観たのは『黒猫・白猫』。

名作『アンダーグラウンド』が、外国で絶賛を浴びたのに比して、旧ユーゴ国内では「プロパガンダ」などと批判を浴び、ショックを受けた監督が起死回生の一本として発表した作品。
ジプシーのチンピラ親子を主人公に、マフィアの親分との騙し合いを交えながら、そのいい加減な生き様と恋と結婚を描くドタバタ・コメディー。
相変わらずのハイテンションとブラスバンドで、ノリで一気に2時間が過ぎてしまう。ジプシーとマフィアという点で、暗いイメージを抱いてしまうが、全体の雰囲気は底抜けに明るく、どこまでも人間を肯定している。映画のセンスやノリの点で、日本の故・岡本喜八監督に近いイメージだが、岡本監督がニヒルなのに対して、クストリッツァ監督は悲劇を描いてすら最後には人間を肯定するところが決定的に異なる。かと言って、ハリウッド映画のような嘘くさいハッピーエンドでもないところが良い。
ジプシー音楽を基調としたブラスバンドが、ところかまわず(意味不明に)鳴りまくるのも監督の「仕様」のようだが、このハイテンションとスピードがたまらない魅力になっている。逆を言えば、そこがダメだと2時間見るのは厳しいかもしれない。
数人の役者を除いて、素人のジプシーを役者にしながらも、結婚式のシーンには一カ月もかけるなど、非常に強いこだわりがコメディー映画を超えた「厚み」を醸し出している。
ジプシーの人たちがしゃべるセルビア語はさすがに聞き取りにくかったなぁ。
『アンダーグラウンド』が名作すぎるので、比較は厳しいが、単体として十分高く評価できる作品である。
posted by ケン at 12:44| Comment(0) | サブカル、音楽、アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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