2016年02月16日

ロパートキナ−孤高の白鳥

lopatkinafilm.bmp
『ロパートキナ−孤高の白鳥』 マレーネ・イヨネスコ監督 フランス(2014)

ウリヤーナ・ロパートキナは、ロシア帝国の宮廷バレエ団が起源であるバレエ団マリインスキー・バレエの伝説のプリンシパル。母校ワガノワ・バレエ・アカデミーを訪れた彼女が、少女時代と向き合い、踊り始めた理由を語る。さらには、代表作「瀕死の白鳥」などで見せる素晴らしいパフォーマンスのほか、稽古場でのリハーサル風景やまな娘と過ごすプライベートにも密着する。

フランス人、どんだけロパ様好きなんだよ、というくらい「好き好きオーラ」にあふれているため、ドキュメンタリーとしては及第点は出せないものの、悪い印象は無く、バレエファンなら十分に楽しめるのでは無いかと。

ロパートキナ女史は、本作でも名だたる舞踏家や振付師が絶賛しているように「生きた伝説」であるのは間違いない。私は「白鳥の湖」も観たが、伝説を確信したのは「瀕死の白鳥」を観た時だった。世界バレエフェスタで2回連続して演じるくらいだから、一般的にもそういう評価で固まっているのだろう。
基本的には古典のイメージが強いものの、モダン作品も超絶クオリティで幅も広い。

ロパ様は、指の動き一つにも意味を見いださないと納得しないという求道家だった。一つ一つの踊りや動きに「意味」を見いだし、表現を重視するという点で、オールド・タイプのダンサーに分類されるのだろうが、その究極進化形態なのだと言える。ピアノなどのクラシック音楽もそうだが、ロシア芸術はテクニックを支える表現の厚みが段違いなのが魅力。
私は映像で舞踏を見るのは好きでは無いのだが、本作は稽古シーンだけでなく、舞踏シーンもそれなりに多いのだが、飽きずに見ることが出来た。

それにしてもロパ様の身長は公称で175cmとなっていたけど、絶対それ以上あるように思える。自分のパートナーが179cmだけに。バレリーナの上にそれだけの身長がありながら、普段から高いヒールの靴を履いているのにまたビックリ。映像で見ると、あらためて身体の細さと手足の長さにため息が出てしまう。あの細さのどこに筋肉がついているのかもナゾだ。しかも赤髪のベリーショートで、存在感がハンパ無い。
クリミアのケルチ生まれで、母親に連れられてワガノワを受験しにレニングラードまで出てきたというのも、ソ連好きには萌え萌えなエピソード。まぁケルチなんて、ゲーマーしか知らない地名だろうけど。

補足していくと、日本では「ワガノワ・バレエ学校」として知られているものの、実際には「職業学校」であり、日本人がイメージするバレエ教室とは全く異なる。要はバレエダンサー養成コースに特化した初中等学校なので、普通に国語(ロシア語)や数学、理科社会などの授業があり、教科が不合格だと進級できず、普通に授業の課題・宿題も課されている。つまり、「文舞両道」を実現できるものにしかワガノワは卒業できないわけで、日本の高校野球のような「バレエ・バカ」は自然淘汰されるエリート教育なのだ。そして、きちんとした基礎教育と「自分で理解し考えて行動する」校風が、ロシアのバレエダンサーの表現力をも支えている。
本作でもロパートキナ氏の言葉の端端にその辺が感じられるに違いない。
posted by ケン at 12:07| Comment(0) | バレエ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: