2016年05月11日

米軍駐留費の妥当性について

【トランプ氏の駐留費発言、日本政府「非現実的」】
 米大統領選で共和党の指名候補となるドナルド・トランプ氏が日本など同盟国に米軍駐留経費の全額負担を要求したことを受け、日本政府には「非現実的な主張」(外務省幹部)に対する警戒感が改めて広がっている。日本政府高官は6日、トランプ氏の発言について「米軍駐留による米国の利益を理解していない」と語り、今後はトランプ陣営への働きかけを強め、軌道修正を促す意向を示した。一方で「同盟国の負担増にはこだわりが強く、引っ込みがつかない」(外務省関係者)との見方もあり、大統領に就任すれば、日本政府は難しい対応を迫られそうだ。日米安全保障条約では、5条で米国の対日防衛義務を定め、6条で米軍の日本駐留を規定しており、日本政府はこれに基づき米軍に基地を提供している。
(5月6日、読売新聞)

トランプ氏が米共和党の大統領候補となることが確実となり、外務省などの面々は岡本喜八『日本のいちばん長い日』の少壮将校たちのようにいきり立っているようだ。
確かゴルバチョフ氏の回顧だったと思うが、「外務省というのは、政府の中でも最も保守的な省庁」というものがあったが、まさにその通りで、「日米同盟」が永遠に続くと考えている時点で、日本の外務省の無能ぶりは突出している。古来、同盟関係というのは「数年保てば十分」というもので、十年以上続くものはすでにレアケースなのだ。それが60年も続いているのは、「同盟」ではなく、「従属・衛星」関係であることを示している。ソ連と東欧諸国の関係が40年も続いたのは、同盟では無く従属関係だったからで、ソ連と中国の同盟関係は20年で破綻している。
霞ヶ関官僚や自民党議員は血眼になって、トランプ氏の「妄言」を責め立てているが、氏からすれば、妄言を放っているのはむしろ日本人という話になる。

肝心の在日米軍駐留経費を見た場合、2016年度の米連邦予算における在日米軍駐留経費は55億ドル(約6千億円)。これに対し、日本側の「思いやり予算」は1900億円(約17億ドル)。日本の負担割合は、イタリアやドイツなどの欧州諸国と比べて非常に高いものになっているが、駐留規模そのものが大きいため、米側の負担も大きいものとなっている。
米国の国防予算は、国外作戦経費を含めて5853億ドル(提出段階、以下同)なので、これだけ見ると在日米軍経費など「微々たるもの」かもしれないが、連邦予算の歳出は3兆9990億ドルで国防費が占める割合は15%弱に上っている。一般的に国家予算に占める軍事費の割合は10%以下に抑えるのが妥当と言われており、20%を超えると危機的状況とされる。
1980年代後半におけるソ連の軍事費の割合は約16%で、その負担を減らすために軍縮と東欧諸国やアフガニスタンからの撤兵を進めたことを考えれば、全く楽観視できない状況にあることが分かる。

特に、アフガニスタン戦争以降、対テロ戦争を推進したことで、国防費が高止まりしていることは傾注されるべきだ。2001年に3160億ドルだった国防費は、2010年に6910億ドルをピークとし、今日に至っている。現行の対テロ戦争を推進するためには、同レベルかそれ以上の予算が必要になるが、果たして投入したコストに見合うだけの費用対効果を得られているのかと言えば、十分に検証されていないのが現状だ。
また、国防基本費5343億ドルのうち作戦費が2098億ドルを占めていることも、作戦行動の過多が戦費を圧迫していることを示している。

在日米軍についても同様で、本来、ソ連や中国などの共産圏と対峙するための前線基地として、日本を機能させてきたわけだが、いまや米国は経済も財政も中国に依存する形で成り立っており、中国と戦争するメリットは何一つ無い。それどころか、中国が米国債を一斉に売り出せば、米国債が暴落して、ロクに戦費も賄えない状況に陥るだけに、デメリットしか無い。ところが、「親の心子知らず」で、日本は「日米同盟強化」と称して対中強硬路線を突き進んでおり、米国のあずかり知らぬところで日中軍事衝突のリスクが高まってきている(米海軍が南シナ海で駆逐艦を航行させた際は、事前に中国側に通達していた)。この日本の対中強硬路線は、強大な米軍を頼みにしているだけに、米国側からすれば、在日米軍の存在が日本をして強硬路線に走らせ、軍事的緊張を高めていることになる。
つまり、在日米軍を撤退させれば、日本は自前で軍備を強化するか、対中宥和路線を採るか選択を迫られることになり、アメリカにとっては国防費を削減できると同時に、対中戦争のリスクを低減できるので、殆どメリットしか無い。

ここで日本の防衛費を見てみると、今年度の防衛予算は5兆500億円で、歳出の5%を占めるに過ぎない。対GDP比だと、昨年度で0.98%と「防衛費対GDP比1%枠」がきちんと守られている。宗主国のアメリカが、連邦予算の15%、対GDP比の3.5%を軍事費に投入しているのに、衛星国(自称同盟国)である日本は同5%と1%という有様であり、これでは「タダ乗り」と言われても仕方ないだろう。これは、NATOにも言えることで、NATOの加盟国は少なくともGDPの2%を軍事費に投じなければならないという取り決めがあるにもかかわらず、それを満たしているのは、2013年度でアメリカ、イギリス、ギリシア、エストニアの四カ国に過ぎなかった。つまり、「対ソ・対ロ集団安全保障」と言う割に、その軍事的責務を全うしているのはごく少数で、大多数はアメリカの軍事力に依存して、自国経済を優先していることが分かる。

例えば、日本がNATO並みの「防衛費対GDP比2%」を実現した場合、5兆円が増額されることになり、現在米国が負担している駐留経費の6千億円など余裕で支払えるのだ。また、トランプ氏が言うように、独自に核武装する場合も、もちろん規模によるが、英仏並みで考えた場合、開発費で3〜4兆円、維持費で年間3〜5千億円程度と見られるだけに、これも「お釣り」が来てしまう。対外リスクを全く考慮しなければ、実は核武装は費用対効果が高い。
現状、日本は「2千億円の思いやり予算」で、固定経費8千億円分の米軍を駐留させることで、自国の軍事費を大幅に低減させ、その分を自国経済に投じている。歳出の1%強を防衛費増額に充てれば(現状の5%を6%にする)、米側が負担している在日米軍駐留費の6千億円などすぐに手当できるにもかかわらず、それを拒否して「横暴、暴論」と騒いでいる。客観的に見て霞ヶ関や自民党議員らの主張は全く妥当性を欠いている。
もっとも、対GDP比2%を実現するとなると、税収が55兆円という現状では、防衛費5兆円の増額など夢の話に過ぎず、本気でやるなら大増税が必要となる。それが恐ろしいからこそ、自民党議員も霞ヶ関もトランプ氏を非難することしかできないのだろう。

繰り返しになってしまうが、日本政府が日米関係を維持するために2千億円の「思いやり予算」を計上しつつ、対中強硬路線を突き走っていることを考えれば、独自で核武装した上で在日米軍を撤退させ、さらに親中路線か独自路線に転じるという選択肢は、衰退の一途を辿る米国にとって十分に「現実的」なものと言える。核武装の対外リスクをどう評価するかについては、別途議論が必要なものの、少なくとも現行の日米安保体制が日米双方にとって限界に来ていることは間違いなく、ヤクニンどもは単にそれを認めたくないだけの話なのである。

【追記】
アメリカ人が「タダ乗り」論を猛烈に支持するのは感情的に良く理解できる。米国は連邦予算の15%もの軍事費をつぎ込んで、「対テロ戦争」を行っているにもかかわらず、これを支持すると言う日本は予算の5%、ドイツは3%、イタリアも3%しか軍事費に投じておらず、その上、海外派兵や米軍の後方支援にも非協力的なのだから、「誰のためにやってると思ってるんだ!」とブチ切れるのは当たり前だろう。喩えるなら、大坂の陣で外様大名が誰もやる気が無く、徳川の親藩と譜代が全面的に戦い、ボコボコにされた(小牧長久手戦以来、実戦の経験が無かったから)話に近い。それを理解せずに、トランプ氏を非難するのは筋違いも良いところだし、そのセンスで国際情勢を読めるワケが無い。
posted by ケン at 12:21| Comment(10) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
数字を交えて説明してくださると非常に説得力があって、勉強になりました。
日本では金正恩が「核保有国」宣言をした、などと今さら目新しくない話で騒いでる人もいますが、核に資金を重点投入することで軍事予算の爆発的増大を防ぎつつ経済の立て直しを図り、ついでに最高指導者の権威付けにも活用するのは北朝鮮なりのリアリズムであって、戦後の日本が採ってきた「経済建設と対米追従の並進路線」を将来的に北と同じ「経済建設(維持)と核武力建設の並進路線」に置き換えざるを得なくなる可能性はあるというのは誰もが認識しておくべきですよね(あの国を日々見てると日本ははるかにまともだと思うことも多いですが、その差は年々縮まっているような気もします。あの国はつい数十年前の日本が雛形なわけですし)。

仮にトランプが本当に大統領になった場合、急激な現状変更は無理なので「在日米軍は若干縮小、思いやり予算は若干増額、自衛隊は若干増強するけど、中国の脅威がさらに現実化してきたら対中融和派の主張も若干力を強める」あたりが予想される展開ですが、それだけでも戦後の日本外交を見直す契機にはなりそうですね。良くも悪くも。
Posted by am43 at 2016年05月11日 23:10
はい、おっしゃる通りです。北朝鮮の課題の一つは、過大な軍事力を民生転換することであり、特に労働力不足を兵力削減で補えるかに掛かっています。いくら外国資本を導入しても労働力が不足してはどうにもなりませんからね。

実は日本も急速な少子化の中で、必要な兵力と労働力のバランスをいかに取って行くかという課題があります。現状では、経済徴兵の方向で進んでいますが、それは質的劣化と階級化を招くことは間違いなく、大きな弊害を伴います。そこでどうするか、という時に、やはり核武装論が浮上してくるだろうと考えられます。

仮にヒラリー氏が大統領になった場合、対テロ戦争やアメリカの財政状況をより悪化させる可能性が高く、状況をさらに悪化させた形で次の大統領選が行われるわけで、実は放置すれば放置するほど、日本側に提示される条件も悪化してゆくと考えられます。それだけに、状況が危機的になる前に、先に手を打とうよ、と主張しているわけですが・・・・・・
Posted by ケン at 2016年05月12日 12:43
ポピュリズム政治家の危険性をあまりに甘く見ているように思えます。
トランプのその場しのぎのノリによって、彼の意図に関わらず、対テロ戦争が米国内にも拡大したり、より対中強硬政策が取られる恐れが否定できないからです。
彼は「専門家」も「ヤクニン」も嫌いですが(経営者らしく自分自身で全て理解・判断すると広言しています)「戦争経済を理解していない軍人」をなじったりや「軍人は陰謀を企てる」から三分の一以上を粛清した輩がどのような顔ぶれだったかを想えば、米国にも世界にも日本にも大いなる厄災をもたらしかねません。
Posted by 一読者 at 2016年05月12日 18:36
ポピュリズムというのは、政治的諸課題をエリートが解決できない時に、その不満を吸収するために起こる現象ですが、対テロ戦争や対ロシア新冷戦に十分対応できない、あるいは非常にコストパフォーマンスの悪い政策しか打ち出せない中、他の共和党候補やヒラリー氏などは従来路線を踏襲することしかできないため、トランプ氏が支持を集めているわけです。つまり、ポピュリズムの根源は、政治エリートの怠惰にあるわけで、単純にポピュリズムを非難するだけでは、問題は解決できないのです。
実はトランプ氏は帰還兵や傷病兵に対する待遇改善も掲げており、この点もポピュリズム批判が難しいことを示しています。

あとオバマ氏を見れば分かるとおり、米大統領の権限は大きいですが、万能ではありません。トランプ氏が仮に当選しても、実際には漸進的な改革しかできないでしょう。ペレストロイカの失敗を見れば、トランプ氏の改革も既得権益層の猛反発を受ける可能性が高く、厳しい道のりになると思われます。
Posted by ケン at 2016年05月13日 12:47
諸氏の議論、非常に説得力を感じます。ただ自分はケン氏と違って、安倍政権が能動的に対中強硬策を取っているようには思いません。むしろ習近平が力を背景にした強硬策で日本を脅かしているという状況認識は、野党側も共有しておいた方が間違いないのではないかと思います。もっとも「善悪」の決定権は常に強者にあるのは歴史の常ですが。
同時にアメリカが撤退した場合に日印豪を軸とした連合で中国に対抗するなどという構想は机上の空論に過ぎないことは、ケン氏のご指摘の通りと考えます。いずれにせよアメリカの撤退が明らかになった場合は中国に屈服するしか選択肢が無くなるであろうことは容易に想像できますが、その場合に中国と交渉して、旧東側の東ドイツぐらいの扱いは獲得できるのでしょうか。日本の反米親中派の人々は、そのあたりの覚悟が全く準備できていないように見えます。日本の国内政治への干渉という問題も含めて。
トランプ氏に関しては、最終的に軍産複合体と妥協する可能性が高く、極東や欧州と中東では関与の度合いを使い分けてくる可能性も考えられるのでは。
Posted by 犬公方 at 2016年05月14日 17:43
日中対立というのは、もともと両国が異なる勢力圏にあり、勢力バランスが崩れてきたからこそ起きている現象なので、日本が中国の影響圏入りを認めてしまえば、中国側はさほど従属を強要してこないだろうとみています。やはり海の向こうとこちらでは距離がありますから。その場合、尖閣は諦めざるを得ないかもしれませんが、対立が続けば、中国側は琉球独立に手を貸してくるかもしれず、より事態を悪化させてしまう恐れがあります。
やはりパワーバランスに対する厳しい現状認識と現実に即した対応が必要となってくるでしょう。

ただ、確かに日本の親中派には「覚悟」が足りていない気はします。

トランプ氏も最終的には漸進的な改革しかできないでしょうが、大きな流れは変わらないと思います。
Posted by ケン at 2016年05月16日 12:52
 こんにちは。SLG思考では相手の状況と論理への想像力と理解が大切なのでこうした記事はありがたいです。
 とはいえ、日本側については疑問もあります。
 
 日本側の対米軍経費として「オモイヤリ予算」2000億円/年のみに注目していますが、現金と国有地のタダ貸・受信料踏み倒し・タダで電波などを使用などのサービスで全部で七千数百億円/年を米軍に使っています。これ以外にも航空法や電波法の適用除外やら、騒音や人身事故の賠償の踏み倒し、水などのライフラインの優先供給、将校の飲酒運転は公務扱いなどの刑事・司法における特権、全土基地方式・自由使用など多くの在日特権を有しています。
 こうしたことは敗戦による占領軍へ占領経費を払ってきたことや占領軍こそ日本の主権を有していたこと、片面講和で米・軍側の権利を維持することを前提にして「日米地位協定>安保条約>サ条約」>日本国憲法体制が出来ているからです。
 在日米軍なり安保なりはプラモのように箱は変わっていますが中身は占領期の米のご都合主義の残滓でしょう。
 金を出せば米軍は番犬・傭兵にという言い方をする向きがいますけど、沖縄で露骨に見えるように彼らは日本に対して責任がなく日本は彼らに対して義務だけがあるといういわば「占領軍」のままです。

 また、法的枠組みとしてはそもそも米軍には日本防衛の義務はありません。日米ガイドラインには”自衛隊は、防空、ミサイル防衛、日本周辺での船舶の保護、地上攻撃の阻止、撃退などで一義的責任を負い、「必要があれば自衛隊が島の奪回作戦を行う」としている。自衛隊が「一義的責任を負う」と明記しておけば、米軍は何もしなくても責任を問われない仕組み”が規定されています。米軍のプレゼンスで反射的に、結果として抑止されるということはあり得ますけど、ディプロマシーやマキャベリのレベルのMPGをやりこんだSLG思考があれば、米軍・安保に重心を掛けられないでしょう。アメリカはその場のご都合で動き、超大国らしく開き直り、だれも鈴を付けようともしないからです。アメリカが「そもそも義務がないから同盟国を裏切ったというご批判は当たらない」と言ってピーメを突き付ければ他国もひれ伏すしかありません。日本の場合、国連加盟国なら敵国条項を発動できますが、これを加盟国は邪魔立てしてはいけないそうですから、アメリカは、中国が使うとして、「国連憲章に従った」というでしょう。歴史戦とこれまでの振る舞いから、日本への諸国の同情と行動を集めることは難しそうです。

 ”トランプ政権が、「もっと金を出さないと米軍は撤退する」と言うなら、「結構なお話ですな」と応じるべきだ。もしそうなれば沖縄の基地問題は解消し、約6千億円の米軍関係経費の支出もなくなる。北朝鮮の核・ミサイル開発は、第2次朝鮮戦争がもし起こった際、もっぱら韓国軍、米軍の基地を狙うためと見られ、米軍が日本から去れば、限られた数の核弾頭を日本に向けて使う意味はなくなる。”という田岡将軍の見立ての方が適当と思います。

 日本の名目上の軍事力は世界屈指で、超大国との対決を選ばなければ十分以上です。アメリカは依存する中国とやるわけにはいかないし、やるとしたら日本会議政権に引きずり込まれる場合位でしょう。それなら、日本会議政権が虎の威を借りて暴発しないように、米軍に出て行ってもらえば、彼ら以外のすべての利益にかないます。

 核武装ですが、SLG思考から言えば(1)中露米印などと違って核攻撃にも核軍備にも脆弱(2)邪悪な枢軸国の代表で国連の規定する「敵国」たるそこそこ大国の日本が、イスラエルや南ア、印パのように核武装を「しょうがない」と黙認されうるのか、それとも、北朝鮮、イラク、イラン、リビア、シリアなどのように軍事ないし、経済で締め上げられるのかを考えれば、妄想レベルでしょう。大体、準備できるのは今更なちゃちい原爆で戦略級の水爆じゃないし。重水を大量に準備できない模様。実験はともかくどこに配備するのかを考えたらすぐに詰んでしまいます。海にも山にも隠し切れないです。核を持った国は核攻撃されるので無理でしょう。この辺りが過去の研究の成果では?
 さいわい、米国債の証紙はアメリカ様がなぜか預かっていてくれていて財務省にはないそうです。また、日本の金持ちのお金はタックスヘブンのアメリカに集まっているとか。これで安心して日本に水爆を落とせますね。
Posted by L at 2017年01月01日 15:53
基本的に米国側は90年代から「グアムに退去したい」と言い続けておりまして、日本側が裾をつかんで放さない状態にあります。米軍としても、今のこの時勢に最前線の外国に基地を置いておくのは嫌なのです。だからこそ、「出て行って欲しくないのは日本側でしょ」と横暴にもなるのです。
私は、日英同盟を失った日本が孤立主義に陥ったまま、軍拡に軍拡を重ね、挙げ句の果てに中国を手始めに全世界と交戦するに至った経緯を重く見ているので、どのようなかたちであれ同盟国は持つべきであり、少なくとも90年代までは米国で良かったと思っています。ただ、アメリカにその力も意思もなくなっている以上、強度は別にして中国かロシアと手を組む以外に選択肢は無く、それができない場合、またぞろ際限なき軍拡と軍国主義に傾いてゆく恐れがあると警鐘を鳴らしています。

核については、独自路線を行く場合、核武装しかねないという意味で警鐘を鳴らしているのであって、私個人は「止めた方が良い」と考えています。
Posted by ケン at 2017年01月03日 09:51
>米国側は90年代から「グアムに退去したい」と言い続けておりまして、日本側が裾をつかんで放さない状態にあります。米軍としても、今のこの時勢に最前線の外国に基地を置いておくのは嫌なのです。だからこそ、「出て行って欲しくないのは日本側でしょ」と横暴にもなる

 ケンさまのご主旨、同意です。

>日英同盟を失った日本が孤立主義に陥ったまま、軍拡に軍拡を重ね、挙げ句の果てに中国を手始めに全世界と交戦するに至った経緯を重く見ているので、どのようなかたちであれ同盟国は持つべき

 同盟は、敵国を持つことを前提し、同盟国の数だけ敵国をN点買いし、自国の外交を制約しますし、まして日米安保のように包装紙を変えた占領の継続とあればどうかな?と。中南米や東欧のように同盟を口実に大国が軍事介入する口実にさえ使われます。
 また、日英同盟は日露戦争の後押しとなり、借金完済は、すべてを失った後の80年後の80年代のことでした。安倍の米議会演説にはしなくも露呈しているように日露戦争の勝利がその後の40年の侵略戦争を用意し破滅を導いたわけで。日本の破滅を導く夜郎自大な対外侵略思想は幕末からあり、それを受け継いだのが明治の偉い人たちですから、日英同盟を続けようが、失効後も孤立を避けようとしても結局は夜郎自大な対外侵略思想と偉い人を免責する日本システムを走らせれば、時期や規模、内容はズレるにせよ、破滅は避けられなかったでしょう。
 もっとも、日英同盟を選ばない選択について論評できるほどの勉強はないのですが。
 私が鈴木銀一郎さんよりも高梨先生を高く評価するのは、歴史の見立てに対してです。鈴木さんはノー天気に特攻隊を礼賛しちゃうような方です。柄沢英一郎さんや安東亜音人さんのような戦争を知る趣味人は「モデラーが”英霊の声”を語るようになったらおしまい」などと戒めていましたが鈴木さんはこの辺りが薄い気がします。
 高梨さんのゲーム論壇の最初期の露出は「マキャベリやディプロをやればわかるが、”非武装中立”は戯言」という投稿への反論でした。若き日の高梨さんは「これらのゲームにおけるゲームデザインの枠組み・捨象を理解できない者の戯言。”非武装中立”という選択肢が試せるほど広いデザイン・ルール体系になっていないので、ナンセンスで批判にさえならない。(後付け批判はあろうが)日本の戦後史を振り返れば”非武装中立”は実行可能。俺ならできたね」と啖呵を切り、実際に(どこまでできたかはともかくとして)”非武装中立”を組み入れた「ルール・ザ・ワールド」をデザインして見せました。
 で、鈴木さんは再(々?)出発版のシミュレイターで、「マキャベリやディプロをやればわかるが、”非武装中立”は戯言」の投稿を何のエクスキューズもなしに載せていて驚愕しました。鈴木さんは面白くていい人なんでしょうが、研究者というわけではないので、情に負けるところを曝してしまうんだなと。ゲーム性は大切なので、いいっちゃいいんですけど”SL”Gデザイナーとしてはどうかなと。
Posted by L at 2017年01月04日 12:14
私は「日露開戦の代償」に記したように、日本政府は殆ど合意できていた日露協商を破棄して、日英同盟を結び、韓半島以上の利益を求めてロシアに宣戦布告したと考えており、「日露協商の何が不満だったのか」というスタンスです。
同盟というとどうしても軍事的負担の大きい相互条約をイメージしてしまいますが、今日の日本に必要なのもまた「日米同盟」ではなく、より共存関係を重視する「日中協商」や「日露協商」であろうと考えています。

銀一郎先生は昔からその気がありましたが、ここ10年くらいはすっかり耄碌されて「老害」と化してしまっているように見えます。これは先生に限ったことではなく、社会的要因と高齢のダブルパンチでこれまで抑えてきた物が亡霊のように蘇っているのでしょう。
おっしゃる通り、ゲーム性は重要ですが、あまりにもリアリティの無いSLGはそれはそれで評価されないのが普通だと思います。この点については、今のところはまだゲーマーの理性を信じたいです。
Posted by ケン at 2017年01月05日 13:47
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