2016年06月06日

問題先送りで後が苦しくなる

【安倍首相、任期後の増税を釈明=衆院解散「頭よぎった」】
 安倍晋三首相は1日の記者会見で、消費税増税の新たな実施時期を自民党総裁の任期後に設定したことについて、「単に私の任期の中で収める判断はしなかった。経済的に正しい時期を選んだ。総裁任期によって判断をゆがめてはならない」と説明した。経済状況を勘案した「最適のタイミング」と主張することで、増税時に責任を持たないことへの批判をかわす狙いがあるとみられる。2014年に衆院を解散する際、「17年4月に確実に引き上げる」と公約したものの実現できなかった政治責任については、「これまでの約束とは異なる新しい判断だ」と強調。「新しい判断をした以上、国民の声を聞かなくてはならない」と述べ、増税延期について参院選で信を問う考えを示した。
 一方、首相は衆参同日選を見送ったが、野党の内閣不信任決議案提出を理由として、「私の頭の中を解散がよぎったことは否定しない」と述べた。その上で、「いまだ被災地では多くの方々が避難生活を強いられている中で、参院選を行うだけでも大変なご苦労をお掛けしている」と述べ、同日選を見送った理由に熊本地震を挙げた。 
(6月1日、時事通信)

以前より「衆参同日選」と見ていた私の分析は外れたものの、「野党が不信任案を出したら解散しかねない」という見立ては当たっていたようだ。だが、いずれにしても、安倍氏にとっては衆参同日選こそが「正着」だったという、私の認識に変わりは無い。

私の構想は、「増税先送りについて国民に信を問う」ことを大義名分に衆議院を解散して総選挙を行う、というものだったが、安倍氏の決断は「増税は先送りするけど、衆院選は行わない」だった。
となると、今度は次に解散するときの大義名分が難しくなる。参院選は固定であるため、大義名分は不要だが、衆議院を解散するには不可欠だからだ。それを今表明してしまっては、秋や冬に衆議院を解散する大義名分にならない。現状、それに替わるものも見当たらない。
すると、任期満了近くまで解散を見送る公算が高まってくるが、時間が経てば経つほど経済情勢が悪化する可能性が高く、「アベノミクス」の失敗が表面化することはあっても、現状よりも良い戦況で自民党が選挙できる可能性は非常に低いと考えられる。
今回の増税先送りも、「リーマンショック級の経済危機」と言えば「アベノミクスは失敗」とされ、「リーマン級では無い」と言えば「先送りにする理由が無い」と批判されるだけで、いずれにしても説明責任が果たせず、首相としての指導力と内閣の求心力は今後低下してゆくものと見られる。

増税先送りで景気悪化は避けられるかもしれないが、自民党式の財政出動は赤字を増やすだけで景気には何の貢献もしないだろうし、むしろ将来世代に赤字と維持コスト増の二重の負担を負わせるだけの結果にしかならない。赤字は日銀が国債を引き受ける形で賄われ、株価は年金基金をつぎ込むことで維持されている。今すぐ危機に陥ることはないかもしれないが、中長期的には「詰んでいる」状態にあり、あとは「誰にどのタイミングでババを渡すか」という話になっている。リーマンショックの時は、ちょうどババだけ民主党に渡して危機をやり過ごしたが、今回はそうもいかないだろう。
posted by ケン at 13:07| Comment(0) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: