2016年06月14日

遠心力働く連合

【連合、比例選に危機感…野党協力進まず競合必至】
連合が参院選への危機感を募らせている。過去最多となる12人の組織内候補を擁立する参院選比例選で野党が選挙協力を実現できず、民進党の政党支持率も伸び悩んでいるためだ。神津里季生りきお会長が民進党や市民団体などに比例選での選挙協力を働きかけているが、候補者の競合は避けられない見通しだ。「『1強多弱』では政治は独断専行から脱却することができない」
神津氏は7日、広島市で開かれた決起集会でこう訴え、組合員らに参院選に向けた結束を呼びかけた。連合は、民進党から出馬する組織内候補が他の野党候補らと共倒れになることを防ぎたい考えだ。このため、神津氏が比例選での「統一名簿作成」を民進党の岡田代表らに進言したが、政党間協議などが調わず、実現は絶望的だ。神津氏は6日には政治団体「国民怒りの声」を率いる小林節・慶大名誉教授と都内のホテルで会談。「民進党とは別々に戦わないほうがいい」と要望したが、小林氏は独自に戦う方針を変えなかった。連合幹部は「選挙協力は難しくても、少なくとも選挙での批判合戦は避けたい」と話す。連合は参院選が近づいても民進党と自民党の政党支持率の差が縮まらないことに危機感を強めているほか、組合員の減少傾向が止まらないという不安材料もある。5月末には「全国化学労働組合総連合」(組合員約4万7000人)が脱退した。1989年の連合結成以来、産別労組が離脱するのは初めてだ。
 民進党前身の民主党政権時の2010年参院選では、連合組織内候補は11人中10人が当選したが、民主党が野党に転落した後の13年参院選では組織内候補9人のうち3人が落選した。連合内では「民進党には頼れない。候補個人の力で戦うしかない」(電力総連関係者)との声も出ている。
(6月8日、読売新聞)

化学総連の連合脱退は、連合内で密かに影響が広がっている。脱退の表向きの理由は、野党共闘における、特にNK党との連携に対する不満となっているが、実態としては連合に加盟していることのメリットが殆ど失われていることが大きいようだ。要は高い加盟費(上納費)を納めるほどメリットが無いのだろう。

地協レベルでは、さらに脱退が加速しているらしく、ここ20年ほどで加盟員は、800万人から680万人へと8割近くまで減らしてしまっている。
しかも、例えば2013年の参院選比例区の得票を見た場合、連合組織内候補は9名で160万票しか得ておらず、3名を落選させている。つまり、組合員の4人に1人しか「民主」も「連合」も支持していないことを示している。1991年の8月クーデター後にエリツィンが共産党の活動禁止令を出したとき、党員は誰も抵抗しなかったが、日本の最大のナショナルセンターも似たような状況に陥っていると見られる。
笑えることに、当の連合は「2020年までに加盟員1千万人をめざす」との方針を打ち出しているが、およそ現実性の無い方針を出してしまう辺りも、崩壊直前の社会主義国家を彷彿とさせる。

実際のところ連合系産別のやることは、春闘の賃上げ交渉くらいなもので、メーデーは形ばかりのものでしかなく、超長時間労働に対しては全く何もしておらず、むしろ三六協定を野放図に運用して超長時間労働を容認してきた側に立っている。実際、霞ヶ関・自民党が準備している労働基準法改正案についても、「超長時間労働の加速化」や「裁量労働の拡大」といった本質的な問題に目をつむり、「残業代ゼロ法案」などと言う始末。つまり、彼らの頭にあるのは、「残業代が出るかどうか」であって「残業を抑制する」という発想は全く無い。
ホワイトカラーエグゼンプションについても、形ばかりの反対だった。
また、非正規雇用労働者の加入を推進してはいるものの、正規労働者の待遇が非正規の低待遇によって実現しているという現状の前では全く無力で、ブラック企業やブラックバイト対策あるは求人詐欺といった課題に冷淡な連合は、殆ど支持されていない。欧州の労働組合の場合、リストラされたり、クビになった組合員に対し、組合のネットワークを通じて新しい職場を紹介したりしてくれるそうだが、日本ではそういう仕組みもない。
個人的な話から入るが、先日NHKのアナウンサーが危険ドラッグ保持(製造)で逮捕されて、懲戒免職になった折り、ちょうど日放労(NHK労組)の関係者とバッタリ顔を合わしたので、「ドラッグ所持なんて私事で、しかも裁判の結果を待たずに懲戒免職とか、あり得ないでしょ!労働組合として処分撤回を求めないんですか!」と詰め寄ったところ、「あれは脱法ドラッグじゃなくて危険ドラッグですし、しかも製造容疑ですから、救いようがありませんよ」と平然と返された。「それは管理側の論理であって、労働組合は何があろうと組合員を守らなければ、組織の正統性が失われるだろう、何のための労組だよ!」と思ったものの、相手があまりにも平然としているので、バカバカしくなってそれ以上は追及しなかった。だが、この一事をもってしても、改めて連合加盟の労働組合というものが、労働組合では無く、正社員互助会に過ぎないことが痛感された。つまり、労働者、組合員の幸福や利益よりも、組合組織の利益が優先される構図だ。
連合は誰のために?

前回の参院選で民主党は比例区で710万票だったが、今もなお支持率は低位推移しており、党名変更に伴う「書き損じ」(民主党は無効)もあって、600万票台であれば「御の字」という有様にある。下手すれば、NK党の方が票を上回ってしまうかもしれないくらいなのだ。仮にそうなった場合、加盟員80万人の全労連が支援するNK党が、同680万人の連合が支援する民進党を上回るという事態になり、連合の政治方針(支持政党)そのものが疑われることになるだろう。
もともと大企業の正規職員というエリート層の権益自体、55年体制の自民党一党優位体制下で構築され、その権益を維持するために、連合は1990年代のリストラの嵐の中で管理側に協力してきた経緯があるだけに、連合の権益は民主・民進党よりもむしろ自民党に親和的であるのは当然なのだ。実際、2013年の参院選で、民主党に投票しなかった連合加盟員は520万人に上り、そのうち4割が自民党に投じたと仮定しても、200万人と民主党を上回ることが推測される。

連合が従来の方針を維持する限り、加盟産別・加盟員の「連合離れ」がさらに加速するものと思われる。連合は、ナショナルセンターとしての在り方を含めて、政治方針の大転換を迫られている。
posted by ケン at 13:13| Comment(0) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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