2016年07月27日

南シナ海で過熱する日中対立

【南シナ海で日中「痛み分け」…声明巡り駆け引き】
 16日に閉幕したアジア欧州会議(ASEM)首脳会議は、中国の南シナ海での主権主張を否定する仲裁裁判所の判決が出てから初めての首脳級国際会議となった。日本は判決受け入れを中国に促す国際包囲網の構築を図り、中国側はそれを切り崩そうと外交攻勢を強めた。議長声明の文言を巡っては双方、「痛み分け」の形となった。安倍首相は16日午前の首脳会議で、南シナ海問題について「法の支配は国際社会が堅持していかなくてはならない普遍的原則だ」と切り出し、判決受け入れを中国に迫った。会議では他にも数か国の首脳が仲裁裁判の結果に言及したといい、日本政府高官は「会議の中身は満足のいくものだった。包囲網作りはうまくいった」と語った。
(7月17日、読売新聞)

【仲裁判決、無力化に焦り=政府、包囲網づくりは継続】
 岸田文雄外相はラオスで開かれた一連の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で、南シナ海をめぐる仲裁裁判所判決を中国に受け入れさせるため、国際的な包囲網構築を試みた。しかし、ASEANの足並みの乱れから、共同声明で仲裁判決への言及が見送られるなど中国への配慮が目立ち、岸田氏の狙いは不発となった。「仲裁裁判は紛争当事国を法的に拘束する。両当事国がこの判断に従うことで問題の平和的解決につながることを期待する」。岸田外相は26日の東アジアサミット外相会議で、王毅中国外相の眼前で、仲裁判決の受け入れを重ねて迫った。
 外務省によると、12日の仲裁判決後、判決について「法的に拘束する」などと明確に順守を求めたのは、日米豪など少数の国にとどまる。このため日本政府は、関連外相会議の声明などに判決を明確に位置付けることで、中国に圧力をかけることを目指した。だが、ASEANが25日の外相会議で合意した共同声明が仲裁判決に触れなかったことで、議論は中国に有利に展開。26日の東アジアサミット会議でも仲裁判決については「法的、外交的なプロセスの尊重」など間接的な言及が多かったという。
 今後、判決無視を決め込む中国の主張が勢いづくことも予想される。外務省幹部は「無理が通れば道理が引っ込むとなってはならない。法的規範を外交力で示さなければならない」と焦りを募らせる。南シナ海問題は、9月上旬に中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議や、それに続くラオスでのASEAN首脳会議でも取り上げられる見通し。王毅外相が25日に南シナ海の秩序維持のための「行動規範」の策定時期に言及するなど、「中国もプレッシャーを感じ始めている」(外務省関係者)との見方もあり、政府は粘り強く働き掛けを続ける方針だ。
(7月26日、時事通信)

国連の仲裁裁判所の裁定を受けて、外務省がすっかりヒートアップしているが、まるで日本が「対中包囲網の主宰者」みたいになってしまっており、冒険主義もいいところだ。
聞くところによれば、日本は米国と共謀して同裁判所の人事にかなりクビを突っ込んでおり、その策謀が成功して判事を反中派で固められた結果、今回の一方的な裁定となったという。本来、同裁判所は、領有権や国家間紛争には関わらず、今回の裁定も直接的には踏み込んでいないものの、実質的には中国側の主張を全否定して、フィリピン側を全面勝訴としたが、国家間を調停する国際裁判でここまで一方的な裁定がなされるのは珍しく、確かに陰謀臭は否めない。もっとも、アメリカは海洋法条約に加盟しておらず、適用外になっている。

いずれにせよ、同裁判所には強制執行権が無いため、中国側が受け入れを拒否すれば終わりになるが、日本はそれを理由に対中非難を強め、東アジアの対立を煽っている。外務省は、配下のマスゴミを使って、反中宣伝に勤しんでいるが、盧溝橋事件や上海事変の前後を彷彿とさせるマッチポンプぶりだ。
これは、やはり米大統領選挙が近づくにつれて、トランプ氏当選に伴う日米安保体制への危機感と、対中強硬派であるクリントン氏に対する応援メッセージなのかもしれない。

だが、フィリピンで政権が反中親米のアキノ氏から、親中派のドテルテ氏に移り、中比交渉が再開される見込みとなっており、今回の裁定自体が無意味なものになる可能性が高く、そうなれば「対中包囲網」など空に帰してしまうだろう。
そもそも、米大統領選でトランプ氏が勝利して、外交方針の転換が図られた場合、反中路線に突き進んできた日本は、外交カードがなくなってしまう。
外務省は、自らの謀略に酔っているようなところがあるが、戦前の「革新官僚」並みの危うさを伴っている。今回の判決だけでも十分な成果であるのに、反中スタンスを明確にして「対中包囲網」の強化に邁進するのは、過剰である。

なお、同判決の原文(英語)には日本の沖ノ鳥島の問題点に関する言及が数カ所あるが、外務省がマスゴミに提供した日本語訳ではその部分が削除されており、日本国内では一切報道されていない。情報統制の一環と、マスゴミの無能を示す例と言える。
また、日本は捕鯨やマグロ漁に関する国際司法裁判所などの判決を無視しており、外務省のダブルスタンダードは否めない。
posted by ケン at 12:58| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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