2016年07月28日

千億ケチって汚染拡大・続

【東電「完全凍結は困難」 第一原発凍土遮水壁 規制委会合で見解】
 東京電力は19日、福島第一原発の凍土遮水壁について、完全に凍結させることは難しいとの見解を明らかにした。同日、都内で開かれた原子力規制委員会の有識者会合で東電の担当者が示した。東電はこれまで、最終的に100%凍結させる「完全閉合」を目指すとしていた。方針転換とも取れる内容で、県や地元市町村が反発している。会合で東電側は規制委側に凍土遮水壁の最終目標を問われ、「(地下水の流入量を)凍土壁で抑え込み、サブドレン(建屋周辺の井戸)でくみ上げながら流入水をコントロールする」と説明。その上で「完全に凍らせても地下水の流入を完全に止めるのは技術的に困難」「完全閉合は考えていない」と明言した。これに対し、オブザーバーとして出席した県の高坂潔原子力総括専門員は「完全閉合を考えていないというのは正式な場で聞いたことがない。方針転換に感じる」と指摘。東電側は「(凍土壁を)100%閉じたいのに変わりはないが、目的は流入量を減らすこと」と強調した。
 凍土壁は1〜4号機の周囲約1.5キロの地中を凍らせ、建屋への地下水の流入を抑え、汚染水の発生量を減らす計画。東電は3月末に一部で凍結を始めたが、一部で地中の温度が下がらず追加工事を実施した。東電によると、第一原発海側の1日当たりの地下水くみ上げ量は6月が平均321トン。5月の352トンに比べ31トン減少したが、凍土壁の十分な効果は確認できていない。
 東電が今年3月に特定原子力施設監視・評価検討会で公表した資料では凍土壁造成の最終の第3段階について「完全閉合する段階」と表記していた。経済産業省資源エネルギー庁も「凍土遮水壁は最終的には完全な凍結を目指す」(原子力発電所事故収束対応室)との認識だ。  規制委会合で東電が示した見解について、県の菅野信志原子力安全対策課長は「おそらく公の場では初めてではないか。汚染水の発生量を減らすという凍土遮水壁の目的を達成するため、当初の計画通り100%凍らせる努力が必要だ」と強調した。
 福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長も「公式の場で方針転換とも取られかねない発言を唐突にする東電の姿勢には、非常に違和感を感じる」と指摘した。双葉地方町村会長の馬場有浪江町長は「凍土壁で汚染水を完全に管理できるという説明だったはず。町民の帰還意欲にも影響しかねない問題だ」と批判した。一方、東電は「地下水流入量抑制が目的で、100%閉合を確実に実施するわけではない。目的は変わっておらず方針転換ではない」(本店広報室)としている。
(7月20日、福島民報社)

当初、民主党菅内閣の下につくられた「遮蔽プロジェクトチーム」(馬淵首相補佐官)では、いくつかの案の中から「鉛直バリア(ベントナイトスラリーウオール)方式」が採用された。これはヒビの入るコンクリートではなく、ベントナイトを使って地下30メートルの難浸透層まで掘り下げて壁をつくるというものだったが、仙谷官房長官を通じて東電から「その方式だと新たに一千億円かかり、(2011年)6月の株主総会を通らないから、待ってくれ」とストップがかかった。

そのPTの責任者だった馬淵氏が6月末に補佐官を解任され、この案自体が流れてしまい、東電は海側の一部にだけ遮蔽壁をつくっただけに終わり、安倍内閣下で「凍土壁」が採用された。だが、凍土壁は上のPTで「効果に疑問がある」として却下されたものだった。地下水を完全に遮断する効果は実証されておらず、不純物の混じった地中で凍結状態を継続できるのか、半永久的に冷却材を投入し続ける必要があるなどが理由だった。

東電側の言うがままに初期費用をケチった結果だが、今回もまた誰も責任を取らないで終わるのだろう。政治家が説明責任を果たさないから、政治不信とポピュリズムが蔓延していることを、もっと自覚すべきだ。
上の記事を読む限り、東電側の説明を聞いた福島県民は「凍土壁ができれば大丈夫」と認識しているが、東電側は「そんな説明はしていない」と主張し、平行線になっているようだ。実際、東電側が安全を100%保障するような説明はしていないのかもしれないが、その場凌ぎでそう思わせるようなテクニックを使った可能性があり、やはり無責任な官僚体質であることは否めない。

本件もまた地方紙が取り上げるだけで、全国紙やマスメディアは殆ど取り上げていない。政府や資本に依存する形でしか存在できないメディアは、「百害あって一利なし」である。
posted by ケン at 12:33| Comment(5) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
安もん買いの銭なくしですな

Posted by 石田博 at 2016年07月30日 06:47
しかしもう石棺処理間近なんでしょうね

この前石棺の話でましたし
Posted by 石田博 at 2016年07月30日 06:50
銭というには額が大きすぎですが。

彼らもホンネでは「もうムリ」と思っているみたいですけどね。世論の手前、そうは言えないのでしょう。これも大本営発表の一つですな。
Posted by ケン at 2016年07月31日 08:54
まさに、その癖は一つも変わってませんね、そもそも人間で制御不能な物質ですからね、まともに報道しませんから皆忘れたころにですね

しかしあれからうまい汁を吸っている輩からすると石棺はいやがるのかもとも思います、ひどい話になり申し訳ないのですが

Posted by 石田 博 at 2016年08月01日 06:30
業者からすると、公共事業は「そこそこの規模で、できるだけ長く」が美味しいだけに、「建てたら終わり」の石棺は嫌がるでしょうね。ただ、東電からすると、「サッサと無かったことにして、早く次の原発をつくりたい」がホンネでして。
Posted by ケン at 2016年08月01日 12:49
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