2017年01月12日

欧州難民問題の構図

【地中海経由の難民36万人=16年、前年の3分の1―欧州】
 欧州対外国境管理機関(FRONTEX)は6日、2016年に地中海を渡って欧州に到達した難民や移民の数が推計で36万4000人となり、15年の約3分の1に減少したと発表した。トルコからギリシャに入った難民らの数は18万2500人で、15年から約8割減少。欧州連合(EU)が16年3月にトルコと合意した難民流入抑制策が「大きな要因」となった。一方、北アフリカから主にイタリアに向けて地中海中部を渡った人の数は過去最多の18万1000人に上った。  国際移住機関(IOM)によると、16年に欧州を目指して地中海で死亡または行方不明になった人は少なくとも5079人で、過去最悪だった。 
(1月7日、時事通信)

【地中海経由の難民死者・不明者5079人…昨年】
 国際移住機関(IOM)は6日の記者会見で、2016年に中東やアフリカから船で地中海を渡って欧州に入ろうとした、難民の死者・行方不明者の数が5079人と最悪を更新したことを明らかにした。難民船の難破などによる16年の世界全体の難民・移民の死者・行方不明者は7495人。
(1月8日、読売新聞)

欧州における難民問題を調べているとリベラル派に対する疑念がわいてくる。
北アフリカの密航業者はジハーディストの資金で運営されており、その資金源は外国人拉致による身代金だという。密航業者は渡航希望者に「海を渡れば月2000ユーロの仕事に就ける」などと言って、1000ユーロ受け取ってゴムボートに乗せて地中海沖に放り出す。ボートは欧米の人道支援NGOが運用する船に「海難救助」され、渡航者はイタリアの港に連れて行かれて難民申請する。
これは、国際海洋法が海難救助を義務としていることを根拠に、言うなれば悪用する形を採っている。敢えてゴムボートにすることで海難救助を演出する仕組みで、これによりNGOは「人道援助」の実績を挙げ、密航業者は経費を削減して「楽な商売」になっている。

一昨年までは、欧州に流入する難民のうち地中海ルートを使う者は数パーセントでしかなかったが、去年から激増して今では40%に上るという。本来非常にリスクの高い渡海ルートが急に使われ出したというのは、何らかの意図と背景があると見て良い。

そのボートには麻薬を始め多くの密輸品も積まれている。人道支援NGOは、不法労働で収益を上げる企業や、麻薬・盗品売買に従事するマフィアのフロント企業からの献金で運営されている。同NGOは、ボートの積荷は「財産」として保護し、内容には一切関知しないというスタンスを採っている。

「難民」とはいえ、内戦が起きているのはリビアとマリ、アルジェリアくらいで、それ以外のアフリカ諸国からも続々と「難民希望者」がリビアに集まっている。それは、密航業者がジハーディストを通じて「海を渡れば月2000ユーロの仕事に就ける」を宣伝しているためだ。そして、リビアが出港地に選ばれるのは、一部をジハーディストが占領していること、破綻国家であるため領海警備がなされておらず、違法な出航が横行しているためで、これらは全て「リベラル」な欧米諸国がカダフィ政権を打倒したことに起因している。

そして、密航業者の収益はジハーディストに還元されて、テロと戦争の資金になる。ジハーディストが勢力を増すと、欧米が反撃し、空爆したり、現地の腐敗国家を支援するわけだが、そのどちらも欧州を目指す「難民」を増やす結果になっており、全く何の解決にもなっていない。

笑えないことに、難民を目指して北上するアフリカ人たちは、ジハーディストの占領地を通過することを望むという。これは、破綻国家や腐敗国家では山賊や腐敗警官が横行し、一々車を止められて通行料やワイロがせびられるのに対し、ジハーディストの占領地では「国境」の検問所で通行料を払うのみで後は安心して通行できるためだ。
この構図は、シリア・イラクでも同じで、アサド政権や自由シリア軍やイラク政府の支配地では山賊に捕まって身代金を要求されたり、あるいは警官に捕まって法外なワイロを要求されたりするのに対し、イスラム国支配地には山賊も腐敗警官もおらず、領域の入口と出口で通行料を払うだけで済むという。
この点、1990年代のロシアが少し似ているので、私的にはよく理解できる。

難民は一度欧州に入ってシェンゲン圏で難民登録を済ませると、後は同圏内のどこにでも行けるようになる。難民希望者がシェンゲン圏外での難民登録を頑なに拒むのはこのためで、逆にEUはシェンゲン圏内への流入を「水際阻止」したいわけだが、これがシェンゲン圏と圏外の抜き差しならぬ対立を生んでいる。
このシェンゲン圏というルールが、いかにジハーディストを有利にしているかはGMT「ラビリンス−テロ戦争」をプレイすれば、痛いほどよく分かるはずだ。だが、現在のEUの繁栄は欧州内での「移動(労働力移転)の自由」を認めたことによるものであるだけに、自由民主主義の旗印と共に、それを降ろすときはEUの理念の否定を意味する。

現実の欧州では、難民による不法労働が蔓延し、労賃が低下、雇用も減少し、同時に治安も悪化している。そもそも「移動の自由」は、東欧の安価な労働力を一手に引き受けたドイツの「一人勝ち」になっている状態にあり、離脱を決めた英国を筆頭に南欧では「何も良いことが無かった」という気運が高まっている。
メルケルのリベラル路線は早晩瓦解し、EUは分裂含みになりそうだ。そして、ジハーディストは戦場で敗北したとしても、欧米が勝手に自滅するので、勝利宣言するという流れにある。

【参考】
『人質の経済学』 ロレッタ ナポリオーニ 文藝春秋社(2016)
posted by ケン at 13:12| Comment(2) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>欧州を目指す「難民」を増やす結果になっており、全く何の解決にもなっていない。

資本家にとっては、低賃金労働者(もしくは現代の奴隷)の供給が続くということで、慶事では。
Posted by 極貧労働者 at 2017年01月13日 16:34
好況のドイツやスウェーデンが難民受け入れに積極的なのはそういう理由でしょう。
Posted by ケン at 2017年01月16日 13:00
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