2017年01月24日

そもそも島嶼は適用外デス

【尖閣へ安保条約適用、継承を=菅官房長官】
 菅義偉官房長官は12日午前の記者会見で、次期米国務長官に指名されたティラーソン氏が上院外交委員会公聴会で、沖縄県・尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象との認識を示したことに関し、「米国とは累次の機会に尖閣諸島はわが国の施政下にあり、日米安保条約5条が適用されることを確認している。次期国務長官にもこうした立場を取ってほしいとの思いだ」と述べた。 
(1月12日、時事通信)

相変わらず役にも立たないことを言っているが、まぁ国内向けのプロパガンダなのだろう。こんなものを垂れ流すマスコミだから「マスゴミ」呼ばわりされるのだ。米国側が「尖閣は安保の適用内」と言おうが言うまいが、全く意味が無い。一応説明しておこう。
まず日米防衛ガイドラインから。
2.日本に対する武力攻撃が発生した場合
b.作戦構想
C.陸上攻撃に対処するための作戦

自衛隊及び米軍は、日本に対する陸上攻撃に対処するため、陸、海、空又は水陸両用部隊を用いて、共同作戦を実施する。

自衛隊は、島嶼に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するための作戦を実施する。このため、自衛隊は、着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦、水陸両用作戦及び迅速な部隊展開を含むが、これに限られない必要な行動をとる。

自衛隊はまた、関係機関と協力しつつ、潜入を伴うものを含め、日本における特殊作戦部隊による攻撃等の不正規型の攻撃を主体的に撃破する。

米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。

つまり、島嶼防衛についてはあくまでも自衛隊が担うものであり、米軍は自衛隊の作戦を「支援」するだけでしかないことが明確に規定されている。
そして、日米安保第5条。
各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。

このキモは「日本の施政権下にある領域」にある。北方四島に対して日米安保が適用されないのは、「施政権下に無い」からで、このことは従来政府も認めている。
問題は、島嶼の場合、敵国が占領してしまった場合、一時的であれ日本は施政権を失ってしまうため、「施政権下にある領域」でなくなってしまう点にある。少なくとも、米国側はそういう主張ができるので、仮に尖閣が他国に占領された場合、米政府が手のひらを返して「もうそこは日本の施政権下に無いから安保の適用外」と主張を一変させたところで、日本政府としては返す言葉も無い。

いずれにせよアメリカがアジアから手を引くのは時間の問題ではあるものの、当面は日本人をあやしてなだめすかして時間を稼ぐために「尖閣は安保の適用対象」と言っておく可能性が高いものの、あくまでもリップサービスであり、中身的には意味が無い。
posted by ケン at 12:46| Comment(10) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そういう含みとオプションはあるのでしょうが、それを言い立てたらアメリカとの同盟の意義と威信は地に落ちます。
別段、尖閣をうしなっても日本にとって致命的でもありませんし、ここは尖閣をエサに中国の侵略的傾向の有無、アメリカさんの誠意をじっくり観察させてもらおうではありませんか。

その結論が自主防衛というなら、それもやむを得ません。日本を舐めたらどうなるかを世界に知らしめるまでです。

ところで、加須市課長白タク容疑逮捕事件、別件逮捕にも程があります。民主党で追及できないもんでしょうか?
Posted by taka at 2017年01月24日 13:54
失礼ながら「島嶼防衛については」ではなく、
「島嶼に対するものを含む」とあるので、
本土も島嶼も同様に、「自衛隊は、」「主体的に実施する」
ということでしょう。

北大西洋条約5条は「締約国に対する」となっているのに、
日米安保5条は「施政の下にある領域」となっている。
日米安保は元来、その発動が米国1国の恣意で左右される
シロモノということです。
Posted by 5条のキモ(揚げ足取りではございません) at 2017年01月24日 15:11
北方四島への武力攻撃は日米安保条約締結以前に行われたものだと思いますので、対象外なのは仕方ないんじゃないかなぁという気がします。

トランプさんはカネさえ払えば日韓に米軍を置くと言ってるわけですし、米軍は置くが軍事同盟なんざ知らんということもないでしょう。JSDFが頑張るって言うなら支援くらいはしてくれるんじゃないんですかね。
後払いの有償サービスになるんだろうとは思いますが。

米軍が代わりに戦ってくれるなんてコトはあり得ないし、もちろんタダで手伝ってくれるわけでもない、その辺りを常識として弁えておけばいいんじゃないでしょうか。
その利用料がおいくら億(兆?)円になるのか私には見当もつきませんが。

権利は戦って勝ち取るものである、という考え方はUS独立戦争にも見られるものですし、逆に虎の威を借りて北京を牽制しようというやり方は米国民の共感を得られないのではないか、ことある毎にそこに触れるのはあまりいいやり方ではないのではないかという気がします。
まぁ少なくとも、トランプさんには「これは高く売れる」と思われたに違いないのではないか、と。
Posted by とよたつ at 2017年01月24日 20:25
NATOと違って、裁量や解釈の余地が非常に大きいのが日米安保の特徴でして、だからこそ日本政府も今ごろになって「日米安保の深化」などと言って、現実には同盟の強制力が担保されるように自らが全世界で米軍の支援をできるように集団的自衛権の解禁を行ったわけです。霞ヶ関や自民党は、その辺の説明を敢えて行わずに美辞麗句で誤魔化すから、非常に分かりづらい構図になっているのです。

また、国家予算に占める軍事費の割合は、アメリカの15%に対し日本は5%でしかなく、「おいこら、何お前だけ楽してんの、衛星国の分際で!」と言われてしまうのは当然では無いかと。この点も政府もマスコミも言論人も指摘せず、非常によろしくないことです。
詳細はブログ内の「米軍駐留費の妥当性について」を読んで欲しいですが、連邦予算における沖縄基地費は55億ドル、約6千億円で、1990年代から「ハワイかグアムに移転すれば削減可能な予算」と指摘されているわけです。これをどう解釈するのか、ですね。

揚げ足取りなんて全く思いませんので、どんどんコメントしてください。
Posted by ケン at 2017年01月25日 12:44
前進拠点としての嘉手納の価値は相当に高いと思いますが、六千億円はかなりの額ですね。
米軍予算60兆のわずか1%ではありますが。
Posted by o-tsuka at 2017年01月30日 18:47
それは米国の安全保障戦略次第です。アメリカが、中国とロシアに対して「封じ込め戦略」を採っているからこそ、前線基地に価値が生じるわけですが、冷戦の終了でその必要が無くなったにもかかわらず、ずっと維持していたこと自体、経済合理性に欠いていたわけです。

沖縄基地も同じで、日本政府は引き続きの封じ込め戦略を懇願する一方、アメリカは90年代からずっと「もうムリだから」と言い続け、今回トランプ氏が「じゃあ全額払えよ」という話になっているのです。
この点をなぜ誰も言わないのか、見たくないものを見ないフリしているだけなのか、非常に疑問です。
Posted by ケン at 2017年01月31日 12:19
2001・9・11移行の、アフガン・中東戦域に対する戦力投射においても、嘉手納はかなり回転していたのでは?
まぁ、ディエゴガルシアさえあれば用は足りるのかも知れませんが…
あと、海兵隊のアメリカ政界における(大統領の私兵としての)独自の政治力が、海兵隊の聖地としての沖縄を維持する力の源泉のひとつかと思います。
トランプは海兵隊の大軍拡も公約しているので、ますます沖縄は必要としている気がします。
Posted by o-tsuka at 2017年02月01日 18:12
それも戦略次第かと。現在の覇権国家を維持するなら沖縄基地は必要でしょうが、「覇権体制はもはや維持できない」という理解が広がっていることが、今回の大統領選にも影響しているわけで、沖縄の基地が維持されているのは、日本側の懇願とアメリカ側の覇権派が手を組んで必死の抵抗をしているからです。

ちょうど手元にベトナム戦争の資料があるので少し紹介します。ベトナム戦争で、米軍がベトコン一人を殺害するために掛かったコストは30万ドルで、これも低く見積もられていると見られます。北爆の経費は1日150万ドル、北ベトナム軍兵士1人殺害するのに必要な爆弾は300発、14万ドルに及びました。ベトナム戦争に掛かる経費一カ月分は、当時の米国の社会保障費1年分に相当しました。

そして、現状、米国は6千万人からのフードスタンプ利用者を抱えており、覇権国家を続けることは財政的にも、国民の支持という点でもムリなのです。今回、トランプ氏が当選したのは、「自由主義覇権からの撤退」「イデオロギー外交の放棄」を求める米国民の声を反映したものであり、クリントン氏が健闘したのは貧困層が有権者登録していなかったためと考えられます。
Posted by ケン at 2017年02月02日 13:55
全体的には米軍の総撤退は不可避と思いますが、沖縄基地については、当面は中国との関係次第であり、アメリカ的には重要な「対中カード」なので、日本云々よりもむしろ「どのタイミングで中国に対し最も高く売りつけられるか」が判断基準になると考えられます。
Posted by ケン at 2017年02月03日 09:09
トランプ政権の初陣でも、14名(41名説もある模様)のジハーディストとそれ以上?の民間人を殺すのに、4名死傷者を出したうえ、「米国防総省によると、負傷者を避難させるために派遣された米軍機が砲撃に遭い、さらに2人の米兵が負傷した」とのことなので、オスプレイを撃破されたみたいですね(砲撃というので、おそらくRPGかと)。
オスプレイの値段だけで70億が吹っ飛んだと。

第二次大戦以来の軍産複合政治が、ようやく終わる時代が来たのでしょうか。
Posted by o-tsuka at 2017年02月03日 13:00
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