2017年01月30日

自由主義外交を放棄する日本

【対中国「もっと強硬に」55% 本社世論調査】
 日本経済新聞社の世論調査で、中国やロシアとの首脳会談を控える安倍晋三首相の外交姿勢について聞いた。中国公船の相次ぐ領海侵入を踏まえ、中国に「もっと強い姿勢で臨むべきだ」が55%に上った。韓国ソウルの日本大使館前の少女像移転が進まない中、元慰安婦支援を決めたことには異論がくすぶる。秋の安倍外交は国内世論をにらみながらのかじ取りになる。
(2016/8/28 日本経済新聞抜粋)

韓国釜山領事館前の少女像設置に対する駐韓日本大使の本国召還に対する支持は74%に及ぶという。
フィリピンでは、麻薬マフィアや反政府運動家(テロリスト)に対する無法な殺害が続いているが、そのフィリピンに対し、安倍政権はミサイルの供与や旧式武器の無償提供
を申し出ている。
また、国内で様々な人権問題が取り沙汰されているトルコとは原子力協定を結び、同じく国内外の行動で人道上の疑義が呈せられているロシアにも超接近を試みている。

これらは中国、朝鮮、韓国を一つのブロックと考え、これを包囲して封じ込めようとする冷戦期に似た思考、戦略に基づいているが、冷戦期と異なるのは、封じ込め戦略が優先されるため、自由や民主主義といったイデオロギーの前提を排除することを躊躇しないスタンスにある。
例えばトルコは、一時期は議院内閣制で政治体制的にモデル国とすら言えたものが、自ら首相位を廃し、象徴でしか無かった大統領に全権を委任しつつある。先のクーデター未遂事件に起因する粛清では、法律に基づかない捜査や裁きが横行しているとされる。

「理想よりも実利」と言えば聞こえが良いが、現実には日本自身が民主主義から距離を置き、権威主義に傾きつつある。
安倍政権は、中国ブロックと全面対峙し、権威主義国と連携強化を図りつつ、自国軍事権の拡大(海外展開のフリーハンド化)に努めている。国内政策では、秘密保護法、盗聴・監視の大幅強化、教育(思想)の中央統制、メディア統制、犯罪を検討しただけで検挙できる予備(共謀)罪の創設が進められている。
列挙してみると、昭和初期の日本と大差ないレベルでリベラリズムの放棄が進んでいることが分かる。にもかかわらず、国内の支持率は7割に達しようというレベルにある。

あとは一度傾き始めた傾斜がどこまで行くのかという話で、どこかのタイミングで戦争や大規模テロが起きた場合、それを理由にして戦時体制に移行、自由や民主主義など跡形も無く消去されるかもしれない。日本にしてもドイツにしても、1930年の段階で数年後に自国がファッショとミリタリズムに染まると考えていたものなど殆どいなかったのだから。
posted by ケン at 13:08| Comment(2) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
権威主義的な中国に対抗して、自ら権威主義的になっていくところとか、むオーウェルな世界ですな。
Posted by ケンケン at 2017年02月14日 13:18
戦前もソ連への対抗と戦時体制へ移行という点から権威主義化が進んだことを考えれば、状況は全く異なれども、理解はできます。
ただ戦前の場合、アメリカやフランスでは民主的手法による解決が支持されたのに対し、今日ではアメリカでもフランスでも権威主義的解決が望まれ、日本はいうまでも無く国民の大半が支持している点が救いが無いように思われます。
Posted by ケン at 2017年02月15日 12:09
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