2017年02月02日

トルコが首相位を廃止

【トルコ国会が改憲案承認、大統領権限を大幅に拡大 国民投票へ】
 トルコ国会(定数550)は21日未明、レジェプ・タイップ・エルドアン大統領の権限を大幅に拡大する憲法改正案を承認した。今年4月に改憲の是非を問う国民投票が行われる見通しとなった。深夜に開かれた議会で、改憲案は賛成339、反対142で承認された。賛成票は憲法改正を最終承認する国民投票を行うために必要とされている全議員の5分の3に当たる330票を上回った。
 トルコは大統領が国家元首だが議院内閣制を採用しており首相の権限が強い。改憲案は現代トルコで初めて大統領に行政権を持たせる内容で、広範囲に影響を及ぼすとして論争を呼んでいた。改憲案では大統領が閣僚任免権を持ち、トルコ史上初めて首相が廃止される代わりに1人以上の副大統領が置かれる。憲法が改正されれば議会選と大統領選が同時に行われることとなり、改憲案は最初の選挙の投票日を2019年11月3日と定めている。大統領が非常事態を宣言できる条件も緩和されるほか、当初宣言できる非常事態の期間も現行の12週間から6か月に延長される。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチのトルコ代表、エマ・シンクレアウェブ氏はトルコの改憲案は米国やフランスなどの憲法と異なり、大統領の権力をチェックする機能がないと指摘。トルコ弁護士連合会のメチン・フェイジオール会長はトルコをオスマン帝国時代に引き戻すものだとして改憲案を厳しく批判している。
(1月21日、AFP)

日本のマスゴミはあまり取り上げていないようだが、これは本来相当にセンセーショナルなニュースであるはず。これも同じ目標を持つと思われる安倍政権への配慮かもしれない。

トルコは大統領府を置いてはいるものの、基本的には議院内閣制で、2007年の憲法改正前は議会から選出されていた。その権限は、人事権と拒否権を有してはいるものの、行政権や立法権は極めて限定的なものとなっており、ドイツのような象徴大統領以上だが、ロシアやフランスのような半大統領以下という制度になっている。だが、07年の憲法改正を経て、国会議員20人以上の推薦を得た者が立候補して国民投票で選出される仕組みに変更された。
そして、行政権は大統領の指名と議会の承認を経て就任する首相が担うが、長いこと議会が安定しなかったこともあり、本来強固な首相の権限が十分に発揮されなかった。そのため2度の憲法改正を経て、大統領や司法の権限強化が図られてきた。

今回の改革案は、議院内閣制から完全な大統領制に移行させた上で、さらに非常に強い権限を付与するというもので、大統領というよりも「総統」を思い起こさせる制度になっている。本来、議院内閣制は議会による権力の統制と安定に重きを置き、大統領制は権力の分立とバランス機能に重きを置くシステムなのだが、トルコの場合、安定を求めるがあまり、権力を集中させたまま大統領制への移行が模索されており、非常に権威主義的なシステムになる可能性が高い。今後は、議会の立法権や司法の独立がどこまで担保されるかに焦点が当たりそうだ。

トルコは不安定さを抱えつつも、欧米化と近代化を追求してきた中東の「先進国」だったが、そのトルコがアジア・ロシア的な権威主義に傾倒することになれば、その影響は中東や中央アジアに拡大するものと思われる。
posted by ケン at 12:43| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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