2017年02月16日

赤い貴族は自民党支持

【<次期衆院選>民進に危機感 基幹労連の組合員支持逆転】
 民進党を支持する産業別労組「基幹労連」が昨年4、5月に組合員を対象に実施したアンケートで、自民党支持率が民進党支持率を初めて上回った。民進党関係者は「こうした傾向は基幹労連に限らない」とみており、次期衆院選で党勢回復を図りたい同党は危機感を強めている。
 アンケートでは「支持政党なし」が約53%で最も多く、自民支持約23%、民進支持約18%。安倍晋三首相が経済界に賃上げを直接要請する「官製春闘」が定着し、政府が働き方改革に着手していることなどが、組合員の自民支持につながったようだ。ある民進党衆院議員は「(経済政策)アベノミクスの恩恵で給料は上がっている。比例代表で組合が抱える候補に投票しても、選挙区では民進党の候補に投票しない組合員がどの組織でも少なくないだろう」と指摘する。基幹労連は鉄鋼、造船重機、非鉄、建設などの産別労組。連合の神津里季生会長は基幹労連出身だ。
(2月9日、毎日新聞)

「何を今さら」ではあるが、こうして数字が表になるのは良いこと。長くなるが、過去ログから再掲しておきたい。
連合は民進党に「安倍政権との違い」を求めるよりも、自民党支持に転じて政策要求した方が、はるかに自分たちの主張を実現させられる可能性が高いのだ。実際のところ、今回の新潟知事選にしても、鹿児島県知事選にしても、連合は与党候補を支援している。新潟知事選の場合、連合はまず民進党に原発推進の独自候補の擁立を要求、できないとなると、自民党の候補を支持した。最初から無理難題をふっかけて、民進党を封じて、与党候補の支持に回るというのが、連合のやり口なのだ。
連合はなぜ自民党を支持しないのか) 

連合は、ナショナルセンターの総評と同盟が合流してできたものだが、この二つのナショナルセンターは、戦後和解体制における最大の受益者でもあった。そして、戦後和解体制下で得た正規雇用労働者の「特権」の数々を維持するために、90年代以降の構造改革に積極的に協力していった。非正規雇用を容認する労働法制改悪を容認したのは、正規雇用者の待遇を守るためだった。最低賃金の引き上げに消極的なのも同じ理由から説明される。
電力総連や電機連合が原発を支持し、自動車総連がTPPを支持するのは、まさに「正社員の待遇を守るために経営側に積極的に協力する」という戦後和解体制の慣習そのものなのだ。だが現実には、原発の下請けや自動車工場の期間工や外国人労働者を見た場合、『蟹工船』同様の惨劇がまかり通っており、正社員の待遇は同じ労働者の搾取の上にしか成り立っていない。
つまり、戦後和解体制の残滓となっているのが連合であると解釈すると、分かりやすい。大企業の正社員互助会である連合としては、組合員の待遇を守るためには、今まで通り資本に協力するのが「合理的」であり、それは非正規雇用労働者を積極的に搾取することでしか成り立たない。そのスタンスは自然、野党では無く、自民党や政府に近いものにしかならない。
にもかかわらず、民進党を支持し続けているのは、hanamaru同志が指摘されているように「野党の最大支援組織」というポジションが、自民党に対しても政府に対しても最も有効な交渉材料(カード)であるためだと推測される。そして、その「ムリ」が表面化しているのが、昨今の惨状なのではなかろうか。
連合が自民党と合一的である理由について
 
連合の主な加盟員である、正規雇用労働者というのは、同じ工場で働く期間工や外国人労働者と同質の労働を担いながら、雇用が保障されると同時に、数倍の給与が支払われているものたちであり、それは言うまでも無く、期間工、外国人労働者、下請けに対する過酷な収奪の上に成り立っている。これは、ソ連型社会主義が、農民に対する過酷な収奪の上に成り立っていたことと相似形にある。大企業において、労働組合の役員を担うことが出世の条件になっていたり、縁故採用の核になっていたりするところは、ソ連における「ノーメンクラツーラ」を思い出させる。

その意味では、連合の中でも最右派と目される基幹労連において、自民支持が23%「しか」なかったことと、民進支持が18%「も」あったことは、むしろ驚くに値する。同時に、「支持政党なし」が過半数である事実こそが彼らの非階級性(社会のどの階層にも属している意識が無い)ことを表しているのかもしれない。つまり、根源的には自民党と利害を一致させていながらも、意識はされていない、ということなのだろう。
そして、連合幹部はこの無自覚を利用して、「野党の最大支援組織」の地位を、あるいは交渉カードとして、あるいは民進党の「行き過ぎ」を抑止するストッパーとしての役割を果たすよう、策謀を重ねていると見て良い。結果、連合は自民党・霞ヶ関から「赤い貴族」の地位を配慮されつつ、野党第一党が野党として最低限以上の機能を果たさないよう監視する地位に収まっている。政府による「働き方改革」や「同一労働同一賃金」が骨抜きにされた無内容のものになり、原発再稼働・再建設に舵が切られている事実がこれを裏付けている。

もっとも、上の状況は右派組合に限った話ではない。聞くところによれば、左派系組合の雄たる地方公務員の組合でも、2012年の総選挙では組合員の25%前後が自民党に投票、同14年の総選挙でも20%前後が自民党に投票しているというのだから、状況としては殆ど変わらないのかもしれない。
posted by ケン at 12:23| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うーん。労働組合も民進党も労働者の要望に応えていないことが一つの大きな原因かと。組合員に政治に求めるものや理由など丁寧に聞き、それを元に政策を決めるならともかく、多分そんな過程は一切なく、慣例と政局に流されての政治参加の結果だと思います。だから、あまりイデオロギーの問題ではないのだと思います。
Posted by 高橋良平 at 2017年02月16日 12:43
多数派という意味では無関心層なわけで、組合がどの党を支持しようが自分には関係ないというスタンスが増えて、組合としてもやりづらいものはあると思います。とはいえ、幹部としては組合の影響力を保持するためにも政党支持は明確にしたいところがあり、何かしようとすればするほど、民意から乖離してしまう悪循環にあるようです。
Posted by ケン at 2017年02月17日 13:11
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