2017年04月26日

2017フランス大統領選1次投票

【仏大統領選、決選投票はマクロン氏圧勝の見通し 最新調査】
 23日に公表されたフランス大統領に関する最新の世論調査によると、決選投票では中道系独立候補のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)前経済相(39)が極右政党「国民戦線(FN)」のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首(48)に圧勝する見通しだ。調査会社のイプソス・ソプラ・ステリア(Ipsos Sopra Steria)とハリス・インタラクティブ(Harris Interactive)がそれぞれ実施した世論調査によると、決選投票が23日に行われたとすれば、親欧州連合(EU)のマクロン氏の得票率は62〜64%と、ルペン氏の36〜38%を大幅に上回るという結果が出た。決選投票は5月7日に実施される。
(4月24日、AFP)

左右二大政党の候補がともに一次予選すら通過できない事態に。既存政党に対する有権者の不信が良く表れている。世論調査では「マクロン氏圧勝」となっているが、マスコミの「反ルペン」補正を考えると、そのまま信じるのは危険だろう。例えば、単純に「EUに対するスタンス」で考えれば、ルペン氏とメランション氏が「反EU」、その他が「親EU」ということで、後者がやや勝っている程度になる。

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年齢別の出口調査の結果もあるので見てみよう。これを見る限り、高齢層のフィヨン、中高年のルペン、若年層のメランション、満遍なく得票しているマクロンという感じに分類できる。この点、ネトウヨの中心層が40〜50歳代にある日本と似ているところがあるし、若年層の左翼好きという点ではアメリカに共通する。米国大統領選において、サンダース支持層がクリントン氏では無くトランプ氏に流れたことを考えれば、今後のルペン氏の主張次第では、マクロン氏に肉薄する可能性は十分にある。
地域で大別すると、都市部のマクロン、地方のルペンと振り分けられ、「EUの恩恵を受けず、発展から取り残された地方」とその逆の都市部との断絶ぶりが見て取れる。

決選投票に進む二候補の政策で考えてみよう。マクロン氏は社会党出身ながら今回は単独で立候補しているが、その掲げる政策は専ら新自由主義で、EUの中で民営化と規制緩和を進めることで経済成長を実現するとしている。優遇されている公務員を始め、既得権益層が大きいフランスで、民営化と規制緩和を行えば、激しい抵抗が起こると見られ、国内の不穏がますます高まるだろう。仮に若干の経済成長が実現できたとしても、ドイツとの競争に勝てない限り、国民の不満は高まる一方かもしれない。
そして、親EUと新自由主義路線は経済格差をさらに拡大するため、国内における排外主義を助長し、脱EU論者をさらに増やすものと見られる。今回はマクロン氏が勝つとしても、その施策は近い将来、国民戦線を大きく飛躍させることになるだろう。基本的には、サルコジとオランド路線の焼き直しに過ぎず、反ロシア・反アサド・対外積極策という点でも、従来の政策に懐疑的な層を説得できる可能性は低い。

ルペン氏の場合、脱EUによって自由貿易から保護貿易に転じ、国内の産業育成に努めると同時に雇用を確保する方向になるだろう。だが、これと言って優位な産業があるわけでもなく、独占的な市場を持つわけでもなく、国内には雑多な規制と劣位産業を抱えている中で、経済成長に必要な改革を実行できるのか不安は大きい。この場合、自前で超規模財政出動を行い、需要を創設する必要があるが、それができるかどうか。それができたとしても、EUの代わりとなる供給先が必要となるが、どこに求めるのか(仏露同盟の可能性)、課題は多い。また、自国人優先のため移民排斥が始まった場合、国内不穏が高まるだろう。ただ、欧州における「ドイツの一人勝ち」の中で、外交方針を転換し、仏露同盟によってドイツを抑え込むというのは、ロシア市場を開拓するという点でも歴史的裏付けを持つ合理的判断と言える。不要な対外政策から手を引くという点でも、国内の支持が得られるだろう。

EUが半ば「ドイツ帝国」となっている中で、「比較二位」のフランスは難しい立場に立たされており、「引くも地獄、進むも地獄」という面があり、デモクラシーそのものの危機にも繋がっている。
また、マクロン氏にしてもルペン氏にしても、議会に全く支持基盤を持っておらず、どうしても「弱い大統領」にならざるを得ず、自分が望む改革を実行できるだけの政治的基盤が無い。結果、政治不信と社会不安が助長される恐れがある。この点でもフランスは厳しい時代を迎えるだろう。
posted by ケン at 12:18| Comment(2) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
EUが「誰得」のシステムかと言えば、ドイツでしょ
というのが多くの人にバレてしまってますね。

英国のEU離脱に続いておフランスが離脱したら、
英仏2国主体の経済圏の構築という方向か
というのは結構言われていますね。
Posted by 第2EU? at 2017年04月26日 13:32
EUが破綻した場合は、またぞろ英仏圏、ドイツ圏、ロシア圏に分かれるのかとも思いますが、元に戻るだけかと思うと色々考えてしまいますね。

まぁ日本もいずれアジア経済圏に戻ると思うので、他人のことは言えませんが。
Posted by ケン at 2017年04月27日 12:41
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