2017年05月18日

ドイツ連邦軍でも極右汚染

【ドイツ軍兵舎2カ所でナチス関連物 全施設を検査へ】
 ドイツの国防省は7日、同国軍の兵舎2カ所でナチスに関連した物品が見つかったことから、連邦軍の監察官が全兵舎の検査を命令したと発表した。フランス北東部のイルキルシュにある仏独合同旅団の駐屯地で、ナチス・ドイツ時代のドイツ国防軍に関連した物品が共有スペースに置かれていたのが見つかったほか、ドイツ南西部ドナウエッシンゲンのフュルステンベルクでは、ナチス時代のヘルメットが陳列キャビネットに置かれていたことが6日に判明した。独誌シュピーゲルによると、壁にはドイツ国防軍の兵士の写真が壁に掲げられており、ナチス時代の銃やヘルメット、軍の装飾品が置かれていたという。国防省広報官がロイター通信に語ったところによると、国内法が禁じるカギ十字などのナチスのシンボルがあしらわれた物品は見つかっていない。
 これに先立ち、28歳の陸軍将校がシリア難民を装った攻撃を計画していたとされており、ドイツ軍内の極右思想が問題になっている。フランクフルトの検察は、同将校には「外国人排斥思想の背景」があると指摘した。ドイツのウルズラ・フォン・デア・ライエン国防相は計画されていた訪米を取りやめ、急遽(きゅうきょ)、将校が生活していたイルキルシュの兵舎を訪問。その際にドイツ国防軍に関連した物品が見つかったという。フォン・デア・ライエン国防相は今月3日に、現代の連邦軍の中で、ドイツ国防軍を崇拝するような行為は許されないと語っていた。国防相は今回の問題は単独の事例ではないと指摘。「団結心が何であるかを誤解した」軍幹部らが、「見て見ぬふり」をしていたと批判した。しかし反対勢力から、軍全体の名誉を傷つける発言だと批判された国防相は、調子が強すぎた謝罪している。
(5月8日、BBC)

西側自由主義国の中でも最もリベラルで、「軍隊の民主化」の手本とされたドイツ連邦軍で、難民政策を推進する政府枢要に対するテロ計画が発覚、さらに軍内でナチス時代への郷愁を思わせる傾向が発見されている。特に先のテロ計画では、軍の内外に武器、弾薬、情報を提供した協力者の存在が確認されており、事態の深刻さをうかがわせる。
特に今回の場合は、退役軍人ではなく、現職の士官が主導していたことで、連邦軍の存在意義や士官教育に対する疑義が生じている。また、「上層部が知っていて見て見ぬふりをしていた」辺りは、日本の5・15事件や2・26事件を彷彿させる。

日本でも航空幕僚長が、航空自衛隊がイラクで行っていた空輸活動の一部を違憲とした名古屋高裁判決について「そんなの関係ねぇ」と言ったり、同じく航空自衛隊内で皇国史観の学習会が開かれていたりしたことなどが発覚しているものの、自由民主主義体制に対して暴力行使する計画までは、少なくとも表向きは出ていない。

どのような体制であれ、暴力装置である以上は常に暴発するリスクがある、というだけの話であり、ドイツですら例外たり得ないということなのだが、やはりかつて最も民主的だったはずのワイマール体制がナチズムに支配された経験があるだけに、もともと帝政で軍部の発言が強かった日本とはショックの大きさが違うのだろう。

欧州の場合、国家主権の相当部分、特に経済と金融政策の自律性がEUに奪われているため、国内の貧困やEU内経済格差に対して民族国家としてできることが非常に限られており、国内の貧困解消を掲げて決起した2・26事件と似たような背景事情を抱えている。EUの中で最も裕福なはずのドイツで、これが起きたということは、政府や議会がリベラル過ぎると、逆に反乱の芽を育ててしまう可能性を示している。
今後の政権選択によるが、反露、反テロを掲げ続ける場合、軍拡は避けられないが、同時に軍の発言力と暴発リスクを増大させるという課題が生じる。

日本の場合、(欧米基準で言えば)最初から極右政権が成立して、対中・対北強硬策を打ち出しているだけに、自衛隊内部の不満は大きくないかもしれないが、強硬策に比して軍拡の度合いが小さいため、「言ってることとやってることが違うじゃねぇか」という不満は高まってゆくかもしれない。つまり、強硬策を採り続ける場合は、軍拡する必要があるわけだが、今度は暴力装置の肥大化を生み、それはそれで暴発リスクを大きくするという課題を抱えている。
posted by ケン at 12:19| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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