2017年06月07日

英労働党が保守党を猛追

<英総選挙>あと1週間、労働党支持が急伸>
 8日に投開票される英総選挙まであと1週間となった。当初は与党・保守党の圧勝と予想されたが、選挙終盤に最大野党・労働党が急伸。保守党にどこまで迫ることができるかが焦点となっている。
 世論調査会社「YouGov」が5月31日に公表した調査結果によると、労働党は4月21日時点の23ポイント差から3ポイント差まで保守党に肉薄。保守党のマニフェストが、中流以上の高齢者の介護費用負担を重くしたことが響いたとみられている。ただ、「YouGov」以外の調査では、依然として保守党の議席が増えるとの予測もあり、情勢は流動的だ。
 労働党が1974年以降、議席を維持する英中部ウルバーハンプトンの南東選挙区で、地元誌のサイモン編集長は「貧しい労働者には保守党のマニフェストに盛り込まれた高齢者の負担増は影響しない。むしろ、政治への不信感から棄権が多くなる」と話す。
 実際にこの選挙区を歩くと、労働党の苦戦ぶりが感じられる。労働党支持者だったパン工場で働くスーさん(52)は「党は福祉に頼る人や移民を保護することしか考えていない」と語った。今回は保守党に投票する。昨年の国民投票では欧州連合(EU)離脱に投票。離脱交渉では保守党を率いるメイ首相のような強い指導者が必要だと考えている。
 この地域は鉄鋼業で栄えたが、保守党のサッチャー政権が誕生した79年以降、多くの企業が倒産。当時の恨みから、労働党支持者が多いとされる。
 外国生まれの住民の割合は16%と、イングランドとウェールズ地方の平均13%を上回る。大学卒業者の割合は23%と全国平均の38%を下回り、失業率は英国平均の倍近い8.4%。貧困層が多く、国民投票では移民の制限を求めて62%が離脱を支持した。
 労働党は、国民投票では保守党と共に残留を支持。投票後は「民意を尊重する」として保守党と同様に離脱を進める。しかし、交渉を巡り、両党の姿勢は異なる。メイ氏は移民の制限を打ち出し、交渉に強い姿勢で臨むことを強調。労働党のコービン党首は移民の制限を明確に示さず、残留派に配慮してEUの単一市場と無関税貿易を続けるとしている。
 インドからの移民で、自動車部品工場で働くダーナムさん(56)の目にも、EUとの交渉はコービン氏では頼りなく見える。保守党支持に回った同僚もいる。大学生の長女は緑の党に変えた。それでも「移民に寛容な労働党の方が、まだまし」と言う。労働党の牙城で、両党のつばぜり合いが続いている。
(6月1日、毎日新聞)

当初英保守党の圧勝が伝えられたものの、ここに来て労働党が猛追しているという。保守党を「油断させない」ためのプロパガンダかと思わなくも無いが、世論調査結果に満足した保守党がいささか不用意な政策を打ち出してしまった面は否めない。
とはいえ、労働党は現在もなお古典的社会主義派とブレアに象徴される市場重視の「第三の道」派が激しく相克しており、コービン党首もかろうじて党首の座を維持しているに過ぎず、広い支持を集められるだけの状況には無い。つまり、保守党の敵失や二大政党制に助けられているだけで、展望が見えているわけではない。だが、その主張は確認しておこう。

【税制】8万ポンド(約1200万円)を超える高所得者に対する増税。法人税の引き上げ。民間の健康保険に課税してNHS(国営健保)の財源にする。

【積極財政】大学無償化。公営住宅の整備促進。民間住宅の賃料抑制策。郵便、鉄道などの再国営化。

【安全保障】対テロ戦争に消極的、外交対話重視。地域の治安、社会プログラムの強化。

【労働経済】最低賃金の引き上げ。最高賃金の設定。民間住宅の家賃規制。

【移民】移民規制に反対。公正なルールに基づく管理。不当な待遇をなす企業に対する監視強化。
posted by ケン at 09:14| Comment(0) | ロシア、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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