2017年06月16日

共謀罪成立を受けて

【「共謀罪」法が成立 与党が参院本会議で採決強行】
 犯罪を計画段階から処罰できるようにする「共謀罪」の趣旨を含む改正組織的犯罪処罰法が15日朝、参院本会議で成立した。自民、公明両党が参院法務委員会での審議を打ち切り、15日未明に始まった参院本会議で直接採決する「中間報告」を強行。与党や日本維新の会の賛成多数で可決した。投票総数235票のうち、賛成が165票、反対が70票だった。
共謀罪法案は、犯罪を実行に移した段階から処罰する日本の刑事法の原則を大きく変える内容で、過去3回廃案になった経緯がある。政府は今回、「テロ対策」を強調し、国際組織犯罪防止条約の締結に不可欠だと説明したが、国連の特別報告者が「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」と懸念を表明。民進、共産両党などが廃案を求めていた。
 中間報告は、通常の委員会採決を省く国会法が定める手続き。民進など野党4党は「強行採決以上の強行採決。審議を一方的に打ち切って本会議で採決するのは異常だ」(民進の小川敏夫参院議員会長)と猛反発し、安倍内閣不信任決議案を提出したが、15日未明の衆院本会議で否決。与党はその後の参院本会議で、共謀罪法案を可決した。
 審議時間は衆院の30時間25分に対し、参院では17時間50分。一般人が捜査対象になるかどうかや、捜査機関の判断次第で解釈が拡大される懸念など、多くの疑問や対立点が解消されていなかった。参院本会議での改正組織的犯罪処罰法の採決、成立後、自民党の松山政司参院国会対策委員長は、18日までの通常国会の会期を延長しない考えを記者団に述べた。
(6月15日、朝日新聞)

共謀罪というのはつまるところこういうもの。

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民主党政権なら民主党のための、自公政権なら自公のためのものになるだけ。
国際テロなど組織犯罪を防止するため、政府が5月末までに「共謀罪」を創設する方針を国際機関などに伝達したことが3日、分かった。中国によるサイバー攻撃やアルカーイダなどテロリスト集団の重大犯罪の実行前に、共謀段階で処罰するのが狙い。
(2012年1月4日、産経新聞、野田政権−現民進党幹事長)

野党第一党民進党の野田幹事長は、民主党政権で共謀罪を推進した張本人だった。もともと過去の自民党政権でも検討されていたが、諸々の理由から先送りになり、民主党鳩山政権で一度は凍結されたはずだった。ところが、菅政権で解除され、野田政権で成立させる方針だった。だが、当時の民主党内には少なからず反対派もいて、優先順位的にも後回しにされたため、12年末の消費税自爆解散が先に来た。

今回、安倍政権が共謀罪法案を提出するに至って、民進党は反対する方針を出したものの、党内の半分以上は本音では賛成で、「野党である以上はやむを得ない」という理由による反対だった。それは当然で、自民党議員に「貴方が作ろうとした法案を作ったまでです」と言われれば、ぐうの音も出ないからだ。
これとよく似たことは、盧溝橋事件が起きた際に起きている。積極介入派の武藤章参謀本部作戦課長を説得しに来た石原莞爾は、「閣下が満州事変でやられたことを見習っているまでであります」と言われて沈黙している。

民進党の野田幹事長は、この間、共謀罪について表舞台では殆ど言及することがなく、記者会見などでは、
各種世論調査を見ても、国民は「共謀罪」法案の今国会での成立を求めてはおりません。政府・与党にはあらためて丁寧な審議を求めていきたいと思います。仮に政府・与党が強引に法案の採決を進めるようであれば、あらゆる手段を講じてこれを阻止していきたいと考えています。
(6月12日、民進党本部記者会見)

と微温的なことしか述べていない。事実、「あらゆる手段を講じてこれを阻止」と言いながら、その二日後にはロクな抵抗を見せずに参院通過、成立を許している。
私が耳にしたところでは、衆議院で審議されていた折、森友・加計疑獄で若手中心に組まれた疑惑追及チームが何度も審議拒否を国対に言上したものの、その都度国対から「今はそのタイミングでは無い」と押しとどめられ、どうやら野田幹事長の指示があったものとされている。少なくとも野田氏に抗戦意思が皆無だったことは間違いない。そうでなければ、会期延長にすら持ち込めなかった無策は説明できない。

もっとも、野田氏に限らず、議会外闘争を試みている市民団体(共謀罪の成立により反政府団体に認定される可能性大)が応援演説を要請しても、来るのはNK党の議員ばかりで、民進党からは来ても1人か2人、下手すると主催者や要請を受けた党本部職員が片端から議員事務所に電話して断られまくるという状況にあった。これらは、野田政権時に推進していた共謀罪について、野党になった途端に反対するのが躊躇われたためで、人としては当然の対応だった。むしろある意味では、野田内閣を総括すること無く、堂々と反対できる議員の方が不誠実かもしれない。

つまり、民進党、少なくとも蓮舫執行部はハナから戦う意思などなく、自民党に上手(うわて)を行かれて戦う素振りすら見せられずに「ターン・エンド」にされてしまった格好だった。ゲーム・プレイヤーとしても最低だったと言えよう。むしろ、無数のリベラル系市民に何の根拠も無しに期待させて、利用しようとしながら利用することもできずに終わったのである。

ケン先生は引き続き個人攻撃を避けつつ、共和国と社会主義に邁進します!
posted by ケン at 12:18| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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