2017年06月30日

稲田防衛大臣が党軍一体化を宣言

【稲田氏「自衛隊としてお願い」 都議選で、野党「私物化」批判】
 稲田朋美防衛相は27日、東京都板橋区で開かれた都議選の集会で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と訴えた。自衛隊を政治利用するもので、行政の中立性を逸脱したと受け取られる可能性がある。野党は「行政の完全な私物化だ」と批判。稲田氏は同日深夜、「誤解を招きかねず、撤回したい」と述べた。安倍晋三首相は加計学園問題に続き、7月2日の都議選投開票を前に政権批判の新たな火種を抱え込んだ格好だ。自衛隊法は、隊員の政治的行為を制限している。稲田氏の発言は、防衛省と自衛隊が組織を挙げて候補者を支援すると主張したようなもので、法に抵触する恐れもある。
(6月27日、共同通信)

自民党は、いよいよ党、国家、軍の一体化を打ち出した。ただ疑問は、明治大帝は「世論に惑はす政治に拘らす只々一途に己か本分の忠節を守り」(軍人勅諭)と仰せになっていたわけで、これにより戦前期には軍人には選挙権も被選挙権も付与されなかった経緯がある(衆議院選挙法第15条)。

当然ながら現代では、国家公務員法によって政治活動(政治的行為)の一部が禁じられているが、「現職のまま立候補できない」とか「政治団体の幹部役員になれない」程度に止まっており、選挙権は有している。ただし人事院規則は、今少し厳密に禁止事項を規定しているが、主に公職の権限や影響力を駆使して政治的影響を与えることを抑止することを主眼としている。

つまり、稲田大臣は防衛大臣として、行政機関と軍(自衛隊)と党(自民党)が一体となって一人の自民党候補に投票するよう呼びかけている。総理が罷免しないということは、安倍政権が彼女の発言を容認していることを意味しており、自民党による一党独裁と党、国家、軍の一体化の方針を宣言したと見て良い。
昭和よりも全体主義あるいはファッショを促進しようという、非常に意欲的かつ急進的な意志の表れなのだ。

ソヴィエト学を修めたものとしては、文民統制を図るために軍を党の支配下に置かなければならない必要性や原理は理解できる。例えば、ボリシェヴィキが党の下に労農赤軍を設立したのは、革命後の内戦や諸外国による介入戦争を戦うに際して、帝政ロシア軍の将校を始めとする多様な階層の出身者で軍隊を組織せざるを得なくなり、政治統制に不安を持ったためだった。具体的には政治将校=コミッサールを各部隊に配置して、政治統制を図った。だが、軍が巨大化し、複雑な作戦や戦術を駆使するようになると、多くの不具合が生じ、第二次世界大戦中にコミッサールの権限は縮小されていった。最終的には戦後、労農赤軍(党軍)から連邦軍(国軍)へと改変している。

にもかかわらず、現代の日本で自衛隊を自民党と一体化させる必要性がどこにあるのか、自民党の憲法草案にどのように規定するつもりなのか。自民党と自衛隊を一体化させないと政治統制が不十分だという認識はどこから来ているのか。もっとも、この点は共謀罪が無いと治安が維持できないと考える自民党や霞ヶ関なのだから、最初から既定路線だったのかもしれない。

いずれにせよ、ソ連学徒として、自民党が今後どのような全体主義を志向し、どのような国家観を提示するのか、非常に興味深く見守っている。同時に防衛省や自衛隊内にどこまで支持者がいるのか気になるところだ。
posted by ケン at 01:00| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
もう北朝鮮か中華人民共和国かというところですよね。
1984年のように対立している各国の体制がほぼ同じようになるという予言が的中しているのかなぁ?

というか北朝鮮の体制が大日本帝国の改良?版なので、安倍政権のお手本なんでしょうかね。
Posted by ケンケン at 2017年06月30日 15:34
北朝鮮型の全体主義というよりは、民主化前の韓国の開発独裁型に近い気がします。中朝に対抗すると同時に、国内の社会不満を抑圧、国家統制を維持するために独裁を志向するパターンですね。だからこそ戦前というよりは戦中型の統制を望んでいるのかもしれません。
Posted by ケン at 2017年07月02日 09:06
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