2017年07月04日

今後の政局を占う 2017.7

【内閣支持率49%、12ポイント減…読売調査】
 読売新聞社は17〜18日、全国世論調査を実施した。安倍内閣の支持率は49%で、前回調査(5月12〜14日)の61%から12ポイント下落した。不支持率は41%(前回28%)に上昇した。内閣支持率が50%を割ったのは、昨年6月17〜19日調査(49%)以来。下落幅は2012年12月の第2次安倍内閣発足以降で最も大きかった。ただ、最低を記録した安全保障関連法成立直後(15年9月調査)の41%は上回った。内閣を支持しない理由のトップは「首相が信頼できないから」48%で、第2次安倍内閣発足以降で最も高かった。一方、政党支持率は自民党41%(前回43%)、民進党7%(同6%)などの順で大きな変化はなかった。
(6月19日、読売新聞)

【都議選投開票 都民、民進離党の尾崎大介氏を公認】
 「都民ファーストの会」代表の小池百合子知事は都議選の投票終了後の2日夜、報道陣に、民進党を離党して都民推薦で出馬し当選を確実にした現職の尾崎大介氏(43)=北多摩第3=を都民公認に切り替えたと発表した。尾崎氏は都議会民進系会派の幹事長を務めるなどしていたが、「幅広い支持を求めていきたい」として民進を離党。無所属で選挙戦に挑んでいた。
(7月2日、産経新聞)

今回の通常国会、当初会期延長が噂されていたものが、突如延長無しで重要法案が強行採決された背景には、総理の健康問題もあるが、文科官僚の離反が深刻で加計疑獄が深刻化することが予測されたため、「国会延長の方が強行採決よりもリスクが大きい」と自民党国対が判断したことがある(と推察される)。
つまり、一時的な内閣支持率の低下は「折り込み済み」の話であって、会期延長して加計疑獄で国会が泥沼化する方が、被害が大きくなるという判断だった。そして、国会さえ閉じてしまえば、野党には追及する術が無いため、官邸としてはテキトーにカネをばらまいて世論が沈静するのを待てば良い。そのための東京五輪でもある。

ところが、会期末から閉会後にかけて自民党議員のスキャンダルが続発。トヨマユ事件については、恨みを持った元秘書が山ほどいるだけに意外には思わなかったが、下村元文科大臣の事件については、裏帳簿がそのまま表沙汰になってしまうという、政界の常識では考えられない事態に発展している。この連続スキャンダルに対して、官邸や自民党がマスゴミに情報操作を求めたものの、時すでに遅く、むしろ「水に落ちた犬を叩け」とばかりに攻撃されるところとなった。これまでマスゴミなどを力で押さえつけていただけに、溜まっていた不満が噴出したものと思われる。

現在の小選挙区制度では、公認権を独占する政権党総裁が圧倒的な権力を有するため、都議選の敗北によってすぐに安倍政権がどうかなることは無いだろう。しかし、都議選の大敗によって少なくとも当分の間は「解散カード」を封印せざるを得なくなっており、早々に内閣改造を行って、秋の臨時国会を開いて大型バラマキか、さらなる株価操作を行って支持率を回復させなければならなくなっている。
安倍氏の予定表では、来年までに憲法改正を行うことになっているようだが、「支持率回復」と「改憲」の二兎を追う必要に駆られている。つまり、スケジュール的に厳しくなりつつあるだけに、今後はさらに強引な手法を採ることも出てきそうだ。

本来は、臨時国会を開かないで、来年早々に通常国会を開いて改憲案を提示したかったのかもしれないが、臨時国会を開いて「パンとサーカス」を提示しなければならなくなっている。
だが、安倍・自民党を頂点とする政官業報の腐敗構造はそのまま維持されているだけに、何かあれば不満が露呈、内情暴露が続出するリスクにさらされている。80年代までと異なるのは、自民党の分配する利権にあぶれる層が増え、多数で腐敗構造を維持するシステムが保てなくなっている点にある。

そう考えると、稲田防衛大臣が「党軍一体」を強調するのも頷けよう。自民党は、「他の野党が支持されないから」支持を集めているだけで、決して強固な支持を得ているわけではないため、軍や警察のような実力装置に強固な支持基盤を築きたいのだろう。

とはいえ、都議選で大敗したのは自民党だけではない。むしろ状況としては民進党の方が厳しいだろう。
自民党が都議選で敗北したのは、4年前の2013年の選挙で大勝したため、候補者調整ができず、共倒れが続出したことが大きい。KM党やNK党のような全体主義政党で無い限り、候補者を下ろすようなことは非常に難しいため、たとえ負けると分かっていても避けようのないことだった。確かに23議席は歴史的大敗だが、要は「自民党(仮)」に一時的に議席が移っただけの話であり、全体としては大きな問題とは言えない。

これに対し、民進党は09年の選挙で54議席を得たものが、前回15となり、今回5議席で壊滅一歩手前の状況にある。このこと自体が、90年代に言われた「中選挙区制では政権交替は起きない(から小選挙区制が必要だ)」という言説がウソだったことを証明している。
今回の選挙では、都議会民進党の幹部がこぞって都民ファーストに鞍替えして、地元の民進党の区議・市議が応援して当選を果たしているだけに、2年後の統一自治体選挙でも離党者が続出、壊滅する可能性は十分にある。永田町では、国会議員や候補者も、民進党に残るのは菅氏と長妻氏の二人だけだろうと噂されている。
そもそも民進党から立候補するのは、イデオロギーや政策の問題よりも「当選できるから」というインセンティブに基づいているケースが非常に多い。また、党員によるチェック機能も無いため、何の躊躇も無く離党できるシステムになっている。今後も、「より当選可能性の高い」ファーストなどへの人材流出が続くだろう。
いくら地方選挙とはいえ、首都決戦において直前に離党者を続出させた挙げ句、議席を前回比で3分の1にしてしまったにもかかわらず、党幹部が一切責任を取らず、責任を取らせようという気運すら上がらない状態はもはや末期的と言える。

英国労働党の場合、福祉国家路線が破綻するとネオリベラリズムに親和的なブレア氏が「第三の道」を掲げ、それが行き詰まると、ハード・ソーシャリズムのコービン氏が主導権を握ることで、党の統制と国民の支持を回復してきた。
これに対して、民主党・民進党は政党としていかなる骨格も持たない選挙互助会であるため、仮にレンホー氏のクビをマエハラ氏にすげ替えたところで何の意味も無い。つまり、もはや死に体にある。

【追記】
会期延長せずに国会を閉じることも、臨時国会を召集しないことも、政府と政権党に圧倒的に有利に働くルールとなっている。確かに政権側からすれば、ルールに則っているので、この点は追及しようがないものの、現実には腐敗を隠蔽する一助でしかない。世界的には、会期の無い通年国会や、議会の任期中を一つの会期とする「議会期」という概念が一般的になっているだけに、日本の国会会期制は前世紀の遺物になってしまっている。
この点でも憲法を改める必要が生じていると思われるが、これを追求すること無く、やみくもに改憲反対を言うだけの旧式左翼に未来は無いだろう。

【追記2】
今回の都議選で民進党は国会議員の秘書団を大動員して違法活動を行わせていたとの情報が上がっている。勝ち目の無い選挙で焦ったものと見られるが、摘発されるのは敗北者側であることを考えれば、「ムダな足掻き」だったとしか思えない。当局による適切な対応が望まれる。

【追記3】
大胆な(無責任な)予測を立てるなら、今後、都民フ、維新、減税などと連合(産業報国会)が統合に向かい、第二保守党が結成され、連合に見限られた民進党は空中分解して、大半が保守新党に合流。結果、保守Aと保守Bが議会の圧倒的多数を占め、労働者・貧困層に対する搾取が激化、社会不満が増大すると同時に、権力による暴力行使のハードルが引き下げられ、貧困と怨嗟と暴力が蔓延してゆくことになるだろう。
posted by ケン at 12:38| Comment(2) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国民の不満が代々木支持に向かって政権交代。共謀罪と特定秘密保護法を駆使して.....なんてシナリオが頭の片隅をよぎります
Posted by ケンケン at 2017年07月05日 09:57
現実にはそうさせないための共謀罪と秘密保護法なので、もっと早く発動されるのでしょうが、その頃にはどこまで荒んだ社会になっているのか、あまり想像したくないですね。
Posted by ケン at 2017年07月05日 13:04
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