2017年07月07日

瓦解に向かう民進党

【松原・民進都連会長が辞表 都議選「受け皿になれず」】
 民進党東京都連会長の松原仁衆院議員は3日、2日に投開票された東京都議選で、同党公認の当選者が5人にとどまった結果を受けて、都連に辞表を提出した。松原氏は記者会見で「敗北と認識するところから党勢を立て直したい」と述べた。松原氏は、自民党が過去最低の23人当選にとどまったことにふれ、「我々は躍進しなければならないにもかかわらず、受け皿にならずこの状態(に終わった)」と述べ、政権批判層から支持を受けられなかったとの認識を示した。また、敗因について「離党ドミノが一番大きかった」と話した。民進は、当初18人いた都議が3月以降に離党の動きが相次ぎ、都議選の告示前に7人まで減少。都議選では23人を擁立したが、現有議席を維持できなかった。
(7月3日、朝日新聞)

【代表・幹事長の続投表明=民進・野田氏】
 民進党の野田佳彦幹事長は3日の記者会見で、東京都議選を受けた自身の責任について「結果は謙虚に受け止めなければいけないが、野党第1党としてここまで自民党を追い込んだ」と述べ、続投する考えを表明した。蓮舫氏に関しても続投するとの見方を示した。
(7月3日、時事通信)

民進党の野田幹事長は、今回の都議選における「大敗」を認めず、辞任はおろか敗戦責任すら認めなかった。幹事長の認識は「改選前7議席が5議席になったのだから大敗とまでは言えない。57議席が23議席になった自民党こそが負けたのだ」というものらしいが、ノモンハン事件で「ソ連側の方が死傷者は多かったのだから、実は日本軍が勝っていたのだ」類の妄言である。
しかも民進党の改選議席は、前回選挙で当選した民主党が15、維新等からの合流組が3の計18議席で、それが選挙前に離党者が続出して7人しか残っていなかっただけの話なのだ。

確かに「地方選挙の結果に国政政党の執行部が責任を負う必要は無い」というのは正論である。だが、民進党執行部は本都議選を「国政に次ぐ重要選挙」と位置づけ、全国会議員に支援を義務づけ、秘書の動員まで強制した。国政選挙並みの全力動員を行った以上、結果責任を負うのは必然なのだ。逆に、「地方選挙だから」と放置すれば、「執行部が軽視したから負けた」という批判は浴びるかもしれないが、「地方選挙であり、責任は都連が負うべきもの」と一蹴できたはずだった。
つまり、野田氏は2012年の「消費税解散」と同様、やる必要の無い選挙に自ら首を突っ込んで大敗したと言える。どこまでも無能なのだが、無能者を幹事長に据えるほか無いくらい、民進党は人材が枯渇している。

今回の都議選で民進党が大敗した理由は簡単だ。小池知事を支持するものは「都民ファースト」に投票し、批判的な者は自民かNK党に投票しただけの話で、民進党は誰からも相手にされなかった。民進の候補者は皆「小池改革には是々非々で対応します」と主張したが、これは党や候補者がよほど信頼されていない限り成立しない。小池氏の何に賛成して、何に反対するかは党に任せてくれという話だからだ。
そもそも民主党・民進党都議団は、舛添前知事に難癖をつけて引きずり下ろし、にもかかわらずロクな候補者を立てられずに分裂選挙(知事)を行い、小池氏が圧勝したかと思えば、醜いまでに下手に出て媚びへつらい、挙げ句の果てには幹部が集団離党して小池氏に公認を願い出たのだから、このような連中を信用する方が「あり得ない」レベルにある。蓮舫代表も小池知事との連携・協力方針を打ち出していたのだから、戦略ミス(戦略自体が存在しなかったことが問題なのだが)という点では、民進党は都連も本部も同罪と言える。

にもかかわらず、本部執行部は敗戦の責任を認めなかった。本来は、続投するためには、敗戦責任を明確にするか、あるいは敗戦原因を検証し、挽回するための手筋を提示した上で、「それならばもう一回やらせてみよう」旨の同意を得る必要がある。だが、野田幹事長は全ての責任と検証を拒否した上で、ただ執行部に居座ることを宣言している。これでは、党の統制と士気はさらに低下してゆくばかりだろう。

今回の都議選では、連合東京が率先して都民ファーストの候補者を支援しており、少なくない数の民進党候補が全く労働組合の支援を得られなくなっていた。連合中央では、安倍政権と密接な関係が疑われている逢見事務局長(ゼンセン)が、神津会長(基幹労連)を引きずり下ろして会長に就任するとされており、その場合、連合の産業報国会が急速に進み、民進党から手を引く可能性が高い。恐らくは、都民フや維新などと手を組んで第二保守党の結成に向かってゆくものと思われる。

自らの党員と党組織を持たない民進党は、選挙に際しては個人後援会と労働組合だけが頼りであり、個人後援会はいくつかの例外を除いて圧倒的に自民党に劣っている。結果、連合が手を引いた場合、民進党候補はまともに選挙を戦うことができなくなる。具体的には、街宣車を回すことも、電話がけをすることも十分にはできなくなるのだ。
しかも、現状で民進党は5〜9%程度の支持しか得られておらず、第二保守党の結成によって支持者が流れた場合、NK党以下の水準になってしまうだろう。
その場合、「民進党では勝てない」という空気が蔓延、一気に遠心力が働くだろう。まだ何も動いていない現在ですら、民進党内では「次の選挙は民進では戦えない」と能動的に第二保守党の結成に動く者が増えている(ようだ)。つまり、党の遠心力がすでに働き始めており、1990年代半ばの社会党の状態に近づきつつある。

言うまでも無いことだが、第二保守党は、かつての新進党と同様、まず失敗するだろう。貧困と社会不満が増大しつつある中、保守の地盤は90年代よりも脆弱になっているからだ。
にもかかわらず、保守新党が志向されるのは、市場の「パイ」自体が縮小して、自民党の利益分配能力も低下、利権からあぶれた中間層が積極的に支持すると見込まれるからだ。日本の場合、貧困層の増大は投票行動に繋がらず、投票率を低下させているだけで、「投票に行く」こと自体が中上流層の特権と化しているため、政治家は、社会主義政党よりも保守党を志向する傾向が強い。再分配や積極財政を唱えても当選できないからだ。連合が民進党を見捨てて、保守新党に走るのも同じ理由から説明できる。

結果、今後は自民党と第二保守党が小さくなった市場パイを奪い合い、労働搾取を競い合い、法人税の引き下げ合戦を行いつつ、互いに腐敗を極めるという、戦前期に似た情勢が生まれるかもしれない。そうなれば、国民は暴力的解決を望むようになるかもしれない。

民進党としては二つの選択肢がある。先を制して党内左派を切って、小池氏に降伏、都民フや維新と合流して自ら保守新党の一画を占めるパターン。二つ目は、党内右派を切って、社会主義政党化を宣言、積極財政、再分配、富裕層増税、労働者保護、保護貿易、親中露などを強力に進めてゆくパターンである。
もちろん、ケン先生としては後者が望ましいものの、核となる政治家がおらず、それを支持する層も非常に薄いため、およそ現実味がない。
かといって、では前者の選択肢を採れるかといえば、その決断が下せる政治家もいない。結果、ズルズルと問題解決を先送りにして、遠心力ばかりが働き、自然と空中分解してゆく可能性が高い。
posted by ケン at 12:44| Comment(5) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも拝見しております。
 社会主義政党化路線について、核となる政治家がいないのはそうなのかもしれませんが、支持層が非常に薄いという分析は何か判断理由があるでしょうか?
 貧困化した社会階層が左右に分裂して、ある程度のボリュームが見込めると思います。都議選でも共産党はある一定の支持を集めていますよね(組織票以外は足したことなかったのでしょうか)。政権を取れるほどでないので、民進党の国会議員さんたちには物足りないのでしょうね。小選挙区ですしね。
 1920年代後半のドイツでの右派と左派は両方支持を伸ばしていたわけで、同様の展開を個人的には予想するのですけど。まああのときも議会制度そのものは支持を失っていったわけで、日本もそういう道をたどるのかな。とりあえず誰もそういう旗を立てないのは、投票者側からすると不思議です。年輩左翼はそこそこのボリュームいて安倍ちゃんのおかげでかなり反自民として活性化してきているように感じますけどね。よほど支持が集まらないのでしょうかね?旧式でない左翼はダメなのかしらん。
 長ながとすいませんでした。
Posted by hakoniwa at 2017年07月07日 16:49
上記メール修正
組織票以外は足したことない→組織票以外大したことない
失礼いたしました。
Posted by hakoniwa at 2017年07月07日 23:23
この間の国政選挙を見る限り、NK党とSM党の得票は600〜800万票で有効投票の10〜15%程度、絶対得票率だとその半分近くになってしまいます。仮に民主党、民進党に投票している人のうち半分を社会主義票と見立てても、4、500万票が増える程度でして、全てを一つの党に糾合できれば十分な野党になれるでしょうが、分散したままでは各個撃破の対象にしかなりません。
確かに長期的には需要が見込めるとは思いますが、現状でも2000万人以上の貧困層がありながら、既存左翼は半分も支持されていないのが現状で、ここを起点としなければならないのは非常に辛いところです。
Posted by ケン at 2017年07月08日 09:01
都議会の議席だけで見れば、社会党どころか結党当時のSM党と同じですな…
Posted by o-tsuka at 2017年07月10日 10:29
甲州武田氏やソ連共産党の例を挙げるまでも無く、組織というのは「これではもう勝てない」という共通認識ができて、それに替わる対案が無い場合、あっという間に瓦解してしまうものなんです。
Posted by ケン at 2017年07月10日 12:39
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: