2017年07月22日

GMT A Distant Plain 初プレイ

アメリカによるアフガニスタン侵攻以後を扱うマルチプレイゲーム。見た目的には、ほのぼのとしたドイツゲームを思わせるが、とんでもなく「全員悪人」の「アブナイ」ゲームである。

各プレイヤーは、多国籍軍(連合諸国)、カブール政府、軍閥、タリバンを持ってアフガニスタンの覇権を争うが、通常のゲームと異なり、皆が領域や経済力の大小を競うわけでなく、各自が異なる勝利条件を有し、その勝利条件が微妙に他と被る構造になっている。

例えば、多国籍軍はタリバンや軍閥のゲリラを叩いているだけでは勝てず(勝利条件には直接関係ない)、民生支援して政府を支持(民意)するエリアを増やす必要がある。他方、政府軍は支配領域(支持とは別)を広げつつ、外国援助を懐に入れて私腹(パトロネージ)を肥やす(政府支持が失われる)ことが目的となっている。そのため、多国籍軍と政府軍は領域拡大では協力しても、他ではかみ合わないことが生じる。
特に巧妙なのは、カブール政府が「麻薬撲滅運動」を行うと、外国援助が増え、一部が懐に入るわけだが、同時にそのエリアは食い扶持を失って、「反政府」になった挙げ句、タリバン・ゲリラが増えてしまうところだ。
タリバンですら支配エリアの数ではなく、「反政府」を増やすことと、基地を増やすことが目的であるため、基本的にタリバンは戦闘しているようでは勝てないという不思議な構造になっている。結果、プレイスタイルにもよるだろうが、テロは起きても、戦闘はそうそう起きない感じだ。
また、「ターン終了」と同趣旨の「プロパガンダ・フェイズ」毎に、政府側の兵員(軍)と警察の3分の1が給料未払い等によって除去されてしまうというブラック度で、この他にも軍閥に買収されたり、タリバンに浸透されたりして、いくら動員しても、気づくと盤上に数えるほどしかいないというが起きる。凄まじい腐敗っぷりを見事に再現している。

ただ、いかんせんルールが独特すぎて、日本語ルールを読んでも一体何がどうなっているのかサッパリ分からない。同じデザイナーの「ラビリンス」を何度もプレイしている私でも、ルールを読んだだけでは全くイメージがつかめず、前日にマップを広げてプレイブックのリプレイを必死に見ながら再現して、ようやく他の3人にインストールできるようになった。インストーラーがいないと容易にプレイできない点で、なかなかハードルは高い。
プレイ自体も、慣れれば理解できるものの、できることが意外と多く、他の3人の得点状況やイベント動向を見極めながら、自分のオペレーションを考える必要があり、これもなかなか難易度が高い。

一回目は、K先輩が多国籍軍、O先輩がタリバン、T後輩が軍閥、ケン先生がカブール政府を担当。全員初プレイな上、全員ルールを読んでもイミフというレベルだったため、何をしたら良いのかサッパリ分からず、とにかく時間がかかった。
各々がとにかく自分の勝利目標を追求していた結果、私腹を貯め込む政府と、パキスタンの支援を受けたタリバンが順調に得点を重ねる。しかし、「もりかけ」に専念しすぎたため、カブールがタリバンに半包囲される事態に陥り、パキスタンからの支援がさらに強化されたタリバンが攻勢を強め、そのまま逃げ切った(実は後でもう一点必要だったことが判明)。3枚のプロパガンダまで4時間近くもかかってしまった。

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私腹肥やしに走りすぎて首都がタリバンに包囲される図

本作では、「プロパガンダ・フェイズ」に規定の勝利得点があれば勝利宣言できるが、途中で達成しても宣言できない。同フェイズは準ランダムに配されたイベントカードに含まれており、1ターン先のイベントまでオープンにされるため、「次来るぞ」というのが分かった途端に行動が変わり、足の引っ張り合いが強まる。そこを逃げ切るのは容易ではなさそうなのだが、どうなのだろうか。

二回目は、K先輩が多国籍軍、O先輩が軍閥、T後輩が政府、ケン先生がタリバンを担当。冒頭からパキスタン政府が反タリバンとなったため、タリバンは、トライバル・エリアでの活動が抑制され苦しい展開となる。このゲームほどパキスタンの重要性を教えてくれる作品は無いだろう。
序盤、多国籍軍による民政活動が上手く行き、得点を重ねるが、タリバンが攻勢に出て部隊は損害を出し、カブールでもテロが起き、さらに腐敗が蔓延して一気に失点してしまう。
ようやく全員ルールを理解してきたため、互いに足の引っ張り合いが続き、誰も勝利宣言できないまま、4枚目のプロパガンダ・カードが出たところで時間切れ終了となった。比較的優位に立っていたのは政府とタリバンだったが、ともに勝利を確信できるほどの状況には無かった。プレイ時間は同じく4時間ほど。

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米軍による結婚式誤爆はカンダハルの北にあるウルズガン州の村で起きた。

慣れればもう少し早くプレイできそうだが、とにかく考える要素が多いため、どうしても長考する機会が増えがちだ。私もこの日は非常に疲れた。だが、これほどテロ戦争、特殊戦の実相をシミュレートしている作品は同シリーズの他になく、名作と言って良いだろう。
恐らくは、日中戦争(日本、南京政府、国民党、共産党)や満州事変前の満州情勢(関東軍、奉天政府、国民党、馬賊)なども同システムでシミュレートすると面白いかもしれない。
間もなく同システムのアルジェリア戦争が発売されるようだが、できればベトナム戦争の「Fire in the Lake」をプレイしてみたい。
posted by ケン at 01:00| Comment(0) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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