2017年08月28日

水道代は高騰の一途

【水道代高騰の理由を検証、今秋35%値上げする自治体も!】
 いつのまにか高くなっている水道料金の請求書を見て、驚いた人も多いのでは。水道料金推移表(総務省統計局家計調査より)を見ると、'09年から上がり始めた水道料金。しかし、水道事業など地方公企業に詳しい作新学院大学名誉教授の太田正さんの話によると、今後ますます値上がりが加速する可能性があるという。
 「最大の原因は、水道管や下水道管の寿命が近いことです。これらの耐用年数は40年といわれています。高度成長期に急ピッチで設置が進んだ水道管の老朽化がピークを迎え、どこも綱渡り状態。それに加えて、工事や施工をする技術者も減ってきています。そのため、水道管が破裂して道路から水柱がバーッと上がったり、そこらじゅうから水が漏れるようなトラブルが急増しているんです。値上げがないのは“先送り”しているだけ。一気に跳ね上がるかもしれません」(太田さん)
日本政策投資銀行が今年4月に発表した「水道事業の将来予測と経営改革」によると、これまで同様に水道を使い続けるには、以降30年間で6割の水道料金の引き上げが避けられないと試算されている。
 水道料金は現在1立方メートルあたり平均172円。遅くとも'21年から毎年1.7〜2.1%ずつ値上げしていく必要があるという。一人暮らしの場合'16年は2145円だったのが、'46年には3432円、4人家族なら現状6044円から9670円まで高騰する計算に。
 ただし、より状況が悪化して、さらなる値上げが必要になることも。未曽有の値上げが予想される今後。知恵を尽くして節水に励まなければ、家計圧迫は免れないようだ。老朽化でコスト負担が増加する状況下で、さらに深刻化しているのが水道料金の地域格差だという。
「明治以降、水道事業は『市町村公営原則』が貫かれ、自治体ごとに運営される“独自採算性”をとっています。そのため、それぞれの地域の事情がダイレクトに影響するんです。過疎化地域は人口が少なく経営が非効率になるため、都会に比べて料金が高くなります。また、地理的に水源が乏しかったり、水源からの距離が遠かったりすると水道建設費がかさみますし、水質が悪ければ高度な浄水処理施設が必要です。さまざまな原因が複合的に重なって格差が生まれています」(太田さん)
 現行の料金を見てみると、月額平均が最も安いのは山梨県富士河口湖町の835円。その理由は、富士山の湧水を利用しているため水質がよく、飲料水にするコストが安くすむから。さらに標高が高い位置に貯水池があるため、配水の設備にも費用がかからないということもある。
一方で、最も高いのは北海道夕張市で6841円。その差は8.2倍! 年間換算での差額はなんと7万2072円にもなる。追い打ちをかけるのが人口減少による負担増。水道を提供するのにかかる総コストは、人口が少なくなればなるほど1人あたりの負担が重くなる。太田さんは「今後は10倍、20倍と差が広がっていくかもしれない」と懸念する。
(8月9日、女性自身)

週刊誌ながらなかなか核心を突いている。
古いデータだが、2003年時点における日本の社会資本ストックは約700兆円(道路234兆円、治水70兆円、海岸6兆円、下水道46兆円、港湾4兆円、空港43兆円、公共賃貸住宅29兆円等)に及び、今日では当時よりも増加、東京五輪の開催に向けてさらに肥大化しつつある。これは維持コストの上昇と、人口減による一人あたりの負担増加を示している。結果、老朽化したインフラの更新が進まず、事故が多くなっている。
今回の博多を始め、1990年の御徒町、2013年の麻布十番の事故のように、大きな陥没は報道されるが、その根底にあるのは深刻なインフラの老朽化。麻布十番の崩落事故では、川沿いの道路が30メートル以上崩落した。例えば、東京都区部の下水道の総延長は16,000qで、約1,500qが法定耐用年数の50年を超えている。また、今後20年間で、高度成長期以降に造られたもの約6,500qが新たに増加し、今まで以上のペースで老朽化が進んでくるという状況にある。東京五輪の影響もあり、下水の更新が遅れていることも、状況を厳しくしている。そして、年間700件以上の陥没事故が起きているが、今後はさらに増加すると見られる。なお、日本全体だと、道路陥没事故は年間4千件あまりで、東京への集中が際立っている。
(陥没事故が示すもの、2016.11.19)

自民党や政府の一部(大阪市など)ではコスト削減を理由に水道の民営化を検討しているが、電力民営化で起きた海外の大停電事故やフランスなどの水道民営化事例を見れば分かるとおり、ユニバーサル・サービスとして支障が無いか大いに疑問である。

例えば、水道事業を民営化した米アトランタ市の場合、過剰なコストカットによって技術者が不足して修繕・補修が追いつかなくなり、配水管の破損や路上への水漏れ、汚水噴出などが相次いだ上、必要な技術者を確保できず、いつまで経っても直らないという事態が生じた。そのため、2003年に水道事業を再市営化するところとなっている。
フランスではパリの場合、民営化して14年で水道料金が2倍になった上、利権汚職が続発、2010年に再公営化している。「民営化すれば万事OK」というのは机上の空論に過ぎない。

また、少子化と人口偏在の加速によって、地方ほど水道民営化のメリットが失われており、むしろ全国均一のユニバーサル・サービスの価値が高まっていると考えるべきで、この点我々社会主義者はさらに強調してゆく必要がある。

人口増や経済成長を前提としたインフラ整備が国民生活を圧迫しているのは間違いなく、五輪のような権力者の遊戯ではなく、庶民の生活に不可欠なインフラの整備に限りある資源を全力投入しなければならない。
posted by ケン at 12:34| Comment(2) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
水道屋への転職を検討します!
Posted by o-tsuka at 2017年08月29日 10:51
水道屋さんはいまや葬儀屋以上に食いっぱぐれないかもしれません。技術者も超不足してるらしいし。
Posted by ケン at 2017年08月29日 12:43
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