2017年09月26日

マクロン節はどこまで通じるか

【フランスの小学校で少人数学級制スタート、マクロン大統領が公約】
 フランス各地で4日、貧困地域の小学校における教育水準を高める目的で1学級の人数を12人に縮小する制度が始まった。少人数学級制度は、エマニュエル・マクロン大統領が大統領選で公約の目玉の一つとして掲げていた。
 少人数学級制度が「優先的」に導入されたのは、古くから学業成績が低く貧困率の高い地域の小学校で、5〜6歳児の学級が対象。フランス全土の計2500の学級で、児童数が現行の25人から最小で12人まで縮小された。
 マクロン氏は大統領選で教育制度の不平等に取り組むと約束していた。小学校で夏休みが終わり新年度初日を迎えたこの日、同氏は東部フォルバックの小学校を視察に訪れた。
 パリに本部を置く経済協力開発機構(OECD)の学力調査では、フランスの順位は加盟国中27位。調査は15歳を対象に読解力や数学などをテストするもので、フランスの教育制度についてOECDは、優秀な生徒には有効である一方で基礎学力の低い生徒に対応できておらず、学力格差が生じていると分析している。
(9月5日、AFP)

フランスのマクロン大統領の支持率は就任から4カ月で半分以下の24%にまで低下している。提唱した労働改革に対しては、パリなどで大規模デモが発生、国内不穏が高まっている。

貧困地域を中心に超少人数学級への移行を進めるというのは英断ではあるが、「いま優先的にやるべきことか」と考えると、疑問を禁じ得ない。少人数学級の教育的効果は認めるが、そもそも貧困を放置し、むしろ新自由主義政策で貧困を加速させる方向に進めながら、「教育の均等」だけを優先するというのはちぐはぐに思えるからだ。こうしたエリート主義的発想は、今後ますます国民大衆の意思と乖離してゆきそうだ。

もっとも、いまだ一学級40人制(小学1年生だけ35人)を堅持している日本からすると羨ましい限りなのだが、日本ではいまだ大学級制に対する信仰が根強く、少人数学級に対する忌避感(社会性が育たないとか行事に支障がでるなど)も強く、何よりも財政上の都合(OECD諸国で最低の公費負担)から、その実現性は限りなくゼロに近い。
【フランスで改正労働法に反対する初の大規模抗議行動、労組発表で40万人】
フランス各地で12日、エマニュエル・マクロン大統領(39)の経済改革の目玉である改正労働法に反対する抗議行動が行われた。マクロン大統領による企業寄りの経済政策に対する初の大規模な抗議行動となった。
 仏内務省は約22万3000人がデモ行進に参加し、13人が逮捕されたと発表。一方、鉄道労働者、学生、公務員らに約4000のストライキと180の抗議行動への参加を呼びかけていたフランス最大の労組連合組織、フランス労働総同盟(CGT)は計約40万人が参加したとしている。
 抗議行動は、パリで無政府主義者と警察が単発的に衝突し催涙ガスが使用されたほかは極めて平穏に行われた。CGTのフィリップ・マルティネス委員長はパリで記者団に対し「これは最初の抗議行動で、成功だったようだ」と語ったが、鉄道網や航空管制、公共サービスへの影響は限定的だった。
 高止まりする失業率の引き下げを目指している今回の改正労働法が施行されれば、企業は雇用条件について従業員とより柔軟に交渉できるようになるほか、従業員を解雇する際に必要となる費用も減少する。
 企業や投資家らはフランスの制約の多い労働法や強い力を持つ労働組合について以前から不満を訴えていた。マクロン大統領は、フランスを地元企業や外国人投資家にとってより魅力的な場所にしたいと考えている。
 ストライキやデモが行われたこの日は、停滞する経済の立て直しに賭ける若き大統領、マクロン氏にとって試練となった。マクロン大統領は先週、批判勢力を「怠け者や皮肉屋、過激派」と呼び反感を買っていた。
 抗議行動の参加者数はマクロン大統領の経済政策に対する抵抗の尺度となるため精査されている。速報によると参加者はフランスで最近行われたほかの抗議行動よりも少なかった。
 調査・コンサルティング企業ポリングボックスの政治アナリスト、ジェローム・サントマリー氏はAFPに「今日の参加者はあまり多くはなかった」と述べ、労働法改正はマクロン氏が選挙公約で訴えていたことであり、この問題ではマクロン氏が優位に立っていると指摘した。映像は、首都パリで行われた改正労働法に反対する抗議行動。
(9月13日、AFP)

この規模のデモやストライキはフランスでは珍しいことでは無いので、今すぐどうかなるわけではないが、今後の不穏を予測させるには十分であろう。

マクロン氏の新自由主義路線は、さらなる移民や外国人労働者を呼び込んで、国内の労働条件を悪化させ、経済格差や地方の疲弊を加速させる可能性が高く、同時にフランスのドイツ従属(欧州銀行への従属)を強める結果にしかならず、「反EU」「排外主義」「保護貿易」支持層を増やすのは間違いない。EUというのは、域内での経済的自由を保障する一方で、地域の経済的自立を保障せず、かといって日本の地方交付金のような域内の格差を是正するシステムも無いだけに、圧倒的に「強い者が勝つ」システムで、敗者を救済する術を持たない。
オランド政権下で実施された富裕税も、同じ社会党政権下でマクロン氏らの主導によって廃止してしまっており、所得再分配機能も大きく低下している。また、マクロン氏はシリアに対する武力介入を支持、ロシアに対する制裁強化を主張するなど、対外タカ派(介入主義)でもあり、この点でも国内対立を促進させる恐れがある。
マクロン氏の「自由」に特化したリベラリズムは、地域コミュニティや国民統合を破壊する方向に働く可能性が高く、今後フランス国内は混沌化が進むものと見られる。
posted by ケン at 12:39| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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