2018年01月29日

難民申請者の就労厳格化へ

【「偽装難民」の就労認めず=認定制度の運用厳格化―法務省】
 法務省は12日、出稼ぎを目的とした「偽装難民」の増加に対応するため、難民認定制度を厳格化すると発表した。
 従来は申請から6カ月後に一律に就労を認めていたが、15日以降の申請については書類を中心とした予備的審査の段階で、明らかに難民に該当しない場合は就労を認めない。
 2016年の難民申請者数は過去最高の1万901人に到達。一方、難民条約上の条件を満たす難民と認定されたのはわずか28人で、インドネシアやフィリピンなど申請数が上位の5カ国では1人もいなかった。法務省は申請者の多くが「偽装難民」とみている。
 申請から2カ月以内に行う予備的審査では、申請者を(1)難民の可能性が高い人(2)難民に該当するか、すぐに判断できない人(3)明らかに難民に該当しない人(4)申請が2回目以降の人―の四つに分類する。
 難民の可能性が高ければ、速やかに就労を許可する。即座に判断できなければ審査を継続し、就労の可否を個別に判断する。ただ、留学先を退学した学生や、出国準備期間中の人には就労を認めない。 
(1月12日、時事通信)

様々な理由から本制度が上手く利用されているのは否めないが、これは本来国家が支援すべき難民申請者の生活費を、「財政難だから自分で稼げ」という主旨から始まったもので、それを「都合よく利用されているから」と厳格化してしまっては、単に「一時的な滞在も認めない」という話になってしまう。

そもそも日本の難民認定は厳格すぎて、難民認定率が0.25%(400人に1人)と自由主義国家としては恥ずべき状況にある上、「難民申請者の生活を保障する」という国際的慣行を財政的理由から不履行にして「その代わり自分で稼げ」と一定の労働許可を出している。それを今度は「制度を悪用するものが増えている」として制限するのであれば、本来に立ち返って申請者の生活を国が保障する必要が生じる。

ちなみに難民申請と認定数は、2016年のドイツで74万5千人と26万4千人、フランスで12万6千人と2万4千人、イギリスで5万5千人と1万4千人。欧州の中では難民認定が厳しくなっているイタリアで、12万3千人と5千人。いわゆる先進国の中で、日本は圧倒的に難民受け入れを拒否しており、国際的義務を果たしていないと非難されている。

難問問題は、認定した後だけでなく、申請する権利を十分に保障し、申請者の基本的権利を守ることから始まっていると考えるべきであり、それは国際的義務である。
また、政治的迫害を受けて逃げてきて、日本を頼ってきた人に救いの手を伸ばすのは、道義的義務であり、「義を見てせざるは勇なきなり」(孔子)の文化的伝統でもある。
移民は単純に経済的便益を求めてやって来るだけだが、難民は帰りたくても帰れない事情を抱えて保護を求めてきているのだから、これに手を差し伸べて十分な待遇を与えれば、感謝して恩に報いようという気概を持つものも少なからず出てくると思われる。
経済目的の申請者が増えているのは確かだろうが、大局を見誤ることなく、あくまでも王道を追求すべきである。
posted by ケン at 12:08| Comment(0) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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