2018年03月29日

『PSYCHO-PASS サイコパス』化する中国

【China to bar people with bad 'social credit' from planes, trains】
China said it will begin applying its so-called social credit system to flights and trains and stop people who have committed misdeeds from taking such transport for up to a year.
People who would be put on the restricted lists included those found to have committed acts like spreading false information about terrorism and causing trouble on flights, as well as those who used expired tickets or smoked on trains, according to two statements issued on the National Development and Reform Commission’s website on Friday.
Those found to have committed financial wrongdoings, such as employers who failed to pay social insurance or people who have failed to pay fines, would also face these restrictions, said the statements which were dated March 2.
It added that the rules would come into effect on May 1.
The move is in line with President’s Xi Jinping’s plan to construct a social credit system based on the principle of “once untrustworthy, always restricted”, said one of the notices which was signed by eight ministries, including the country’s aviation regulator and the Supreme People’s Court.
China has flagged plans to roll out a system that will allow government bodies to share information on its citizens’ trustworthiness and issue penalties based on a so-called social credit score.
However, there are signs that the use of social credit scoring on domestic transport could have started years ago. In early 2017, the country’s Supreme People’s Court said during a press conference that 6.15 million Chinese citizens had been banned from taking flights for social misdeeds.
(3月16日、ロイター通信)

日本語のニュースが無いため、英語の記事から。こうした事態は今後も増えそうだ。
要は、中国は今年5月より、「社会的信用」の低い人物を特定、高速鉄道や航空便の利用を最大で一年間禁止する措置を科せるシステムを導入するというもの。中国では、飛行機や新幹線に乗る際にも身分証を提示する必要があり、このIDには「フライトにおいて迷惑行為を起こした」「誤ったテロ等の情報を拡散した」「電車や飛行機の中で喫煙した」「過去に科された罰金を納めていない」「社会保険料を納めていない(事業者)」などの情報が記録され、その程度によって処分が科される仕組みになっている。フライトの利用禁止処分については、すでに実施されており、その制度が拡充された格好だ。

【参考】PSYCHO-PASS サイコパス

中国政府は「社会的信用システム」の導入を決定、2020年までに実施するとして、現在30都市で実験運用されているという。「社会的信用」は、「慈善事業に参加した」「公共料金を延滞せずに納めている」「違反行為が無い」などのプラス評価と、「違反・犯罪履歴」「公共の場で迷惑行為を行った」「SNSで政府を批判した」などのマイナス評価が、全国民のIDに記録され、AIが総合的に評価、良い評価の場合は公共サービスに関する優遇措置が得られるようになり、逆に悪い評価の場合は、公務員になれない、公共事業を受注できない、公共交通の利用に制限が課される、銀行ローンが借りられなくなるなどの措置が課される。

これは確かに従来の西側自由主義の基準からすると、「あり得ない」くらいに野蛮な、自由を阻害するシステムである。
しかし、全体主義の側に立った場合、このシステムの導入により、「法規に反した行政権の行使」「不公正な司法判断」「商業上の詐欺行為(偽造品や有害物の販売を含む)」などを極小化する効果が見込まれ、腐敗と非効率の根源である人治主義から法治主義への脱却を図ることができる(かもしれない)。ある意味で、法家思想の究極型と言えよう。

中国にはもともと天賦人権論の考え方が薄弱で、あるのはいかにして「自由の蛮性」と利己主義を統御しつつ、一定程度の「文明の自由」を確保するか、という考え方で、「社会信用システム」もこの発想に基づいていると考えられる(中国でその理論的背景を教わる機会があると良いのだが)。商鞅、韓非、李斯が生きていたら、どう評価しただろうか。

実際のところ、日本のように権力に近いものの犯罪行為が放置され、司法や行政の不公正が蔓延する日本社会から見ると、国家レベルでAIが公正に判断し、一定の基準を問答無用に全適用するという、中国の手法は「自由よりも公正を選んでいるだけ」なのかもしれない。

そして、日米欧が中国を非難できるほど、プライバシーや人権を守り続けられるかはかなり微妙な情勢にある。アメリカで施行された「愛国法」に基づく全世界での盗聴活動や、最近暴露されたフェイスブックによる治安当局への情報提供・協力など市民から見えないところで監視活動を強めている日米欧に比べた場合、一定の基準を明確にした上で、個々の官僚の裁量を極小化してAIに丸投げしようという中国の手法の方が公平で分かりやすいだろう。
同時に、天賦人権論を否定する勢力が、日本の自民党内や保守派で広がりつつあるのも非常に興味深い現象と言える。

それにしても、実際に体験・観察したくなってしまうのは、全体主義学徒の性としか言い様が無いけどw
posted by ケン at 12:37| Comment(0) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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