2018年04月27日

セクハラ事件の深刻度について

【財務次官セクハラ疑惑 福田次官の退、菅義偉官房長官「財務相が対応」】
 菅義偉官房長官は16日午前の記者会見で、複数の女性記者へのセクハラ疑惑を週刊誌で報じられた財務省の福田淳一事務次官の進退について「任命権者である財務相がきちんと対応していくべき話であり、財務省に聞いていただきたい」と述べた。安倍晋三首相は、福田氏の更迭は不可避と判断している。
(4月16日、産経新聞)

先に東京都狛江市の市長によるセクハラ事件を取り上げたが、官界に限らず政界でも表沙汰にならないだけでセクハラやパワハラは非常に多い。トヨマユ事件についても、「女性議員だから」表面化した面もあり、私が直接知る範囲でも、議員に性的関係を迫られた女性秘書は複数いる。少なくとも例外的なケースでは無い。

永田町に勤務するケン先生の感覚では、財務次官のセクハラも例外的なケースではなく、確かに「次官だから」槍玉に挙げられた可能性は否めないものの、それは直接的には「あのセクハラ野郎が次官とかあり得ない!」という義憤から起きたものと推察される。

訴えられた二人はともに「記憶に無い」を連発して、スルーしようとしているが、こうした対応がますます被害者を激高させると同時に、西欧諸国から「人権後進国」扱いされる原因となっている。

ただでさえ世界的に見ても女性の地位が「イスラム諸国並み」である日本では、女性が性犯罪の被害を申し出ることに非常に高いハードルがある。その最初のハードルを乗り越えて、被害を訴えているにもかかわらず、加害者側は「記憶に無い」「セクハラに相当することはしていない」などと弁解している。だがこれは、「オレ基準では、セクハラに相当しない」と言っているに過ぎない。

財務省「セクハラ被害者がいるなら名乗り出ろ!いなければオレ無罪」
自衛隊「(国会議員に向かって)この非国民が!」

セクハラやパワハラに対する国際基準は年々厳しくなっており、日本にも同様の水準が求められている。特に日本の場合、労働力不足から女性の動員が不可欠とされており、そのためには地位向上が必須と考えられる。これは、二つの世界大戦で国民の戦時動員が不可欠となった結果、政治的権利と社会保障制度の拡大が実現した経緯の延長線上にある。
にもかかわらず、中世並みの女性蔑視観を持った者が、省庁の次官や自治体の首長、あるいは国会議員を務め、その差別的感情を丸出しにした弁解が何の非難も無く報じられているのが、日本の現状なのだ。

必要な改革を実行できない国は滅びる原則から考えても、現行制度は遠からず敗滅する流れにある。

【追記】
「女性議員がひな壇に上って金切り声を上げるような抗議集会じゃ、広い支持は得られませんよ。普通に男性も参加して、ハラスメントの問題点を淡々と説く話にしないと、どこまでも自己満足の運動に終わってしまいますよ」と進言はしているのだが、こちらはこちらで深刻だ。
posted by ケン at 12:19| Comment(6) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ぜひその進言を実現してください。ぜったいそのほうが効果的です。
Posted by hakoniwa at 2018年04月27日 15:31
ありがとうございます。今後も主張し続けます。
Posted by ケン at 2018年04月29日 09:57
いつも拝見しております。該博な知識をもとに書かれているので勉強になります。

ただ「セクハラ」については別の考えで、このように「セクハラ」が公的な問題とされ、私的な男女の関係に権力が容喙するようになると、権力の肥大化と個人生活に対する管理強化にますます拍車がかかってしまうことは明らかだと思います。

ケン先生自身、先日

>また、リベラリズムは「Liberty」の本来の意味が「解放」であることから分かるとおり、「権威・権力からの自由」を志向する。

とお書きで、そのようなリベラリズムの立場から放送法4条撤廃に反対する「リベラル」を批判されたわけですが、「権力からの自由」というよりは「権力による自由」に力点を置き、結果として自由の根本を破壊して恐るべきピューリタン的管理社会を生み出してしまいかねない今日的「リベラル」の問題性は、今回の「セクハラ」問題にも通底していると思います。

なるほど欧米的基準からすれば「セクハラ」が強い非難の対象となるのは当然なのでしょうが、しかしことにアメリカは大分以前に記事にされていたように「収容所群島」で、これも「人権」の原理主義的徹底と無縁ではないと思いますし、欧米的基準に照らして日本より些か進んでいるように見える韓国では「Me Too運動」の攻撃を受けて「加害者」とされた人が自殺に追いやられており、そのような「国際基準」に合わせるのが果たして望ましいといえるのか疑問に堪えません。

Posted by senpu at 2018年05月01日 18:13
確かにおっしゃること、危惧されていることは理解できますが、それは「いきなり身分制度を破壊すると、どのようなカオスに陥るか分からない」と改革を否定する貴族主義、保守主義と紙一重のものと考えます。現状、欧米などで反セクハラに象徴されるジェンダー運動がいささか過激化するのは、一向に男性優位主義・思想が改善されないことが大きく影響していると推察します。フランス革命やロシア革命を負の歴史と考えるのであれば、なおさら差別主義を改善し、人権に配慮した社会をつくるよう心がけるべきなのでは無いでしょうか。
まぁ私の立場は、フランスにおけるダントン、ロシアにおけるマルトフあたりに相当するので、最終的には粛清されてしまいそうですがw

国際基準の是非はともかく、日本の人権状況はジェンダーや外国人差別に限らず、非常に深刻であるというのが私の認識です。
Posted by ケン at 2018年05月04日 23:03
記事を拝読しましたが、追記の部分は私も思うところがあります。
先日、某芸能人の女子高生強制淫行事件の報道にて、反安倍を自認し、福田某の事件にも「麻生辞めろ!」を連呼していた私の祖母が発した言葉。

祖母「(加害者は)嵌められたんだ」「(被害者は)示談金目当てなんだろう」

20代ぼく「(゜〇゜;)ポカーン」

……ブロガーの山本一郎という人が、これまた先日「日本のmetoo界隈は党派性強すぎ」と皮肉ってましたが、"女性代議士が金切り声を上げるだけ"の抗議集会とやらも、似たようなものなのでしょうね……
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2018年05月07日 23:22
日本のサヨクというのは、政権を担った経験が無いだけに、よくいえば理想的、悪く言えば非現実的で、すぐさま陰謀論に飛びついてしまうのです。同じ理由から党派性が強く、連携することを苦手としているため、毎回各個撃破されてしまいます。
また、理論基盤が脆弱であるため、個々人が原理原則を持たず、「どこまで妥協して何を得るか」という損得勘定ができないところも弱いです。

いつになったら「大人」になってくれるのか、私も知りたいですよ。
Posted by ケン at 2018年05月08日 12:49
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