2018年05月02日

チキンレース化する国会

【働き方改革法案、衆院で審議入り 野党6党は欠席方針】
 安倍政権が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案が27日午後、衆院本会議で審議入りした。野党6党は審議拒否を続け、主要野党が欠席する中で目玉法案の審議が始まる異例の事態となった。審議日程は限られてきていて、今国会での成立には不透明感が増している。
 衆院本会議には安倍晋三首相も出席。趣旨説明や質疑の後、衆院厚生労働委員会に審議の場を移す。立憲民主党や希望の党など野党6党は、森友・加計(かけ)学園問題や自衛隊活動報告(日報)の隠蔽(いんぺい)、前財務次官のセクハラ報道などを受け、麻生太郎財務相の辞任などの要求が認められなければ審議拒否を続ける構えだ。
 野党は、法案を所管する厚生労働省や法案そのものにも反発を強めている。裁量労働制を違法適用していた野村不動産への昨年12月の特別指導について、加藤勝信厚労相が今年2月に裁量労働制の乱用を取り締まった例として国会答弁で言及。だが、指導のきっかけが男性社員の過労自殺だったことが3月に発覚した。野党は「都合の悪い過労自殺を隠していたのでは」とみて詳しい経緯の説明を求めているが、厚労省側は拒んでいる。
 法案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」の導入にも反対する。年収約1千万円超の一部の専門職を労働時間の規制から外す制度だが、「残業代ゼロ制度」と批判して削除を求めている。
 働き方法案は、高プロ新設という規制緩和と、残業時間の罰則付き上限規制などの規制強化の抱き合わせで、労働基準法など8本の改正法案を束ねる。非正社員の待遇改善を目指す「同一労働同一賃金」も柱だ。当初は裁量労働制の対象拡大も含まれていたが、根拠となる労働時間データが不適切だった問題を受けて削除された。
(4月27日、朝日新聞)

90年代までであれば、与野党の国対幹部がこっそり料亭で杯を交わしながら、「落としどころ」をさぐって、与党は野党に花を持たせて審議再開に持ち込む流れがあった。だが、「出来レースは許されない」とガチンコが要求された結果、国会が一度紛糾した場合、これを止める手段がなくなってしまった。これはプロレスと似ていて、「筋書きは認めない」「格闘技はガチに限る」とやったところ、衰退に歯止めがかからなくなってしまったようなものだ。

野党がどれだけ息巻いたところで衆議院で100議席ほどしか有しておらず、政党支持率でも自民党にはるかに及ばない。
審議拒否は、「オレらの要求を聞いてくれなきゃ、お前の話なんて聞いてやらない」という、本質的に子どもじみた戦術であるだけに、よほどの正当性と有権者からの強い支持が無い限り、長くは続けられない。
自公は衆参両院で過半数を持っているだけに、淡々と審議を続け、「単に野党が勝手に欠席してるだけ」という形さえ見せてやれば、いずれ非難の声は「国政を審議しない野党はケシカラン」となるだろう。
だからこそ、90年代までの野党は審議拒否して、国対幹部が「ボス交」を行って、「手打ち」の演出を行ってきた。だが、現代ではこのボス交が行われないため、与野党幹部はともに「本音と建前」の使い分けができなくなっており、互いに主張を引っ込めることができなくなってしまっている。

野党幹部は、与党幹部に「解散カード」をちらつかされて、いきり立っているが、与党側はわざわざ解散に打って出るまでもなく、野党不在の議会で淡々と法案を通してゆけば良いだけで、何の問題も無い。真に受けている野党幹部は、自意識過剰というものだ。

とはいえ、与党は与党で、野党不在のまま法案を通すことは可能なものの、与野党の関係をますます悪化させるだけで、次の国会にまで影響してしまうだけに、好ましくはない。やり過ぎると、いつ批判の矛先が与党に向けられるかも分からない。同時に、野党不在で、審議の無いまま成立した法律に、どこまで正統性が求められるのかという問題も生じる。

また、自民党は自民党で、より分権的だった小選挙区導入以前に比べて、総理・総裁に権限が集中しており、国対の一存で勝手に野党と妥協することができなくなっているため、圧倒的に有利な立場にある総理・総裁が妥協するはずもなく、解決の糸口をなくしている。

国会の停滞は、日本社会において旧来の合意形成システムが機能不全に陥っていることの一つの象徴なのかもしれない。

【追記】
野党が国会を欠席したまま、議員会館の大会議室に官僚を呼び出して叩きまくる手法も、非常に評判が悪く、自己満足に終わっている。何らの戦略も持たないまま、小さな戦術的勝利にこだわる野党の無能ぶりが見て取れよう。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 政局ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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