2018年06月09日

働き過ぎたから賃金カットという地獄、そして資本主義の終焉・続

【福井市5.8%給与削減、労組と合意 5億円捻出】
 今年2月の大雪の影響により福井県福井市の本年度一般会計が約12億円の財源不足に陥る問題で、市は6月6日、職員給与の削減率について市職員労組と合意し、管理職を含む職員約2300人の給与を7月から来年3月まで9カ月間、平均5・8%、総額約5億円削減する方針を明らかにした。
 玉村公男市総務部長が同日、記者団の取材に応じた。組合員の平均削減率は4・5%。市は給与削減に関する条例改正案を、開会中の6月市議会に13日に提出する意向。市議会の各会派は給与削減について「労使合意が前提」としており、条例改正案は成立する見通し。
 財源不足の12億円の内訳は、昨年度の赤字約2億円と、扶助費や人件費など本年度補正見込みの10億円。市は、151事業の見直しで約5億円を捻出。職員給与の削減による約5億円を加えても不足する約2億円については、市税の収納率向上や歳出抑制など、財政運営のやりくりで賄い、解消したい考え。
 市や職員労組によると、給与は職員の等級に応じ2・5〜8%、管理職(副課長級以上)は10%削減。加えて管理職手当10%、特別職報酬20%も9カ月間削減する。
 5月8日に市側の「職員給与一律10%削減」提案で始まった職員労組との交渉は、約1カ月を経て終結。野田哲生委員長は6日会見を開き、4・5%で妥結した理由について「交渉が長引けば財政再建のスタートが遅れることも危惧しており、ある程度納得できる内容で早期に決着を図った」と述べた。
 玉村部長は市税収納率の向上策について「本年度の市税収入を上げ、昨年度までの滞納分の整理が必要になる」と説明。歳出についても厳格な予算執行で抑制したいとした。
 2016年度の市税収納率は、その年の課税分が98・7%、前年度までの滞納分を含めると93・9%で、11年度から毎年向上している。本年度一般会計予算の市税収入は446億2700万円を見込んでいる。収納率を0・5%上げると、約2億円市税収入が増える計算になる。玉村部長は「現年課税分(その年の課税分)を納めてもらうことが大事。やれることはしっかりとやっていきたい」とした。
 市議会も議員報酬削減案の6月市議会上程を検討しており、さらに財源を確保できる可能性がある。
(6月7日、福井新聞)

「働き過ぎたから賃金カットという地獄、そして資本主義の終焉」の続き。

「除雪費用が膨らんだので職員給与を減らす」という暴挙に出た福井市。予算編成をした首長含む市幹部や、予算審議をした市議会の責任は問わないまま、右翼を動員して市職労に圧力をかけるという、戦前や1950年代の日本を彷彿とさせる事態に陥っていた。
が、組合側がSNSやマスコミに呼びかけたことで、全国的に知られるところとなり、右翼は退去、市当局が組合との交渉に応じたという。
交渉の結果、当初要求の一律10%削減は撤回され、管理職は10%、職員平均で5.8%、組合員平均では4.5%の削減で合意が成立。組合側は勝てないまでも、負けない戦いを演じたと言える。原理主義的な組合だと、「一かゼロか」みたいな話になって、交渉そのものを破綻させてしまうケースが多い。また、下手に目標を高く掲げて交渉を伸ばしてしまった場合、「組合が抵抗して市予算が通らない(行政サービスが低下する)」などという宣伝が当局・資本側からなされ、組合が支持を失ってしまう恐れもある。
「組合員のダメージを最小限度に抑える」というダメージ・コントロールもまた、組織にとって非常に重要な要素であり、福井市職労・自治労県本部の優れた判断力が垣間見える。

ただ一方で、現地からの報告では、「組織内議員は殆ど役に立たなかった」ともいう。
狛江市で市長によるセクハラ事件が発覚した際には、NK党の議員が連日駅頭に立ってビラを配り、声を上げていたのに対し、民進・生活者ネット・社民などの議員(全員女性)は市長が辞任表明する直前まで見かけなかった。
「人間の進化は危機に際してこそ発揮される」と言う。戦後和解体制が機能していた頃は、組織内議員などは「一丁上がり」の名誉職みたいなもので、「数を満たしていれば十分」という側面があったが、労使協調が破綻して、資本の横暴が顕在化してきた今日にあっては、組織内議員は一種の命綱の役割を担うだけに、「出てくれるなら誰でも良い」ではなく、代議員としての実質が問われるところとなる。

以下は繰り返しになるが、福井市の事例は、資本と国家の暴虐がセンセーショナルな形で顕現しているだけであり、遠からぬ将来、日本全国で起こりうるものであることを覚悟しておくべきだろう。

「他の自治体に波及する恐れがある」として総動員を呼びかけた自治労福井県本部の見識は慧眼であり、短期間でギリギリのところで妥結した市職の決断も高く評価したい。率直に敬意を表し、エールを送るものである。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 労働、経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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