2018年06月12日

自民党の高等教育一部無償化案は有効か

【年収380万円まで軽減方針 高等教育の負担で最終調整】
 政府は消費増税分を使った高等教育の負担軽減について、無償化する住民税の非課税世帯だけでなく、年収380万円未満の世帯も2段階に分けて支援する最終調整に入った。年収が多い世帯ほど支援額を減らす形で、2020年4月から導入する方針だ。
 支援の対象は大学や高専、短大、専門学校。住民税の非課税世帯については、国立大の場合は授業料を全額免除し、生活費は返還の必要がない給付型奨学金で賄えるようにすることをすでに決めており、これに準じて年収380万円未満の世帯も支援する。
 夫婦2人と子ども2人の家庭で子ども1人が大学生の場合、年収300万円未満の世帯だと非課税世帯への支援額の3分の2、年収300万円から380万円未満の世帯だと3分の1を支給する方向だ。マイナンバーで世帯の所得や資産を把握し、多額の資産があれば支援しない。学生の成績や単位取得状況を毎年確認し、状況次第では支援の打ち切りも検討する。
 幼児教育・保育とあわせた教育無償化制度の骨格として、近く「人生100年時代構想会議」の最終報告に盛り込み、6月の骨太の方針にも反映させる。
(5月28日、朝日新聞)

いかにも財源をケチる財務省と政治的アピールをしたい自民党の妥協の産物。
住民税非課税世帯というのは、夫婦二人子二人の世帯で概ね年収250万円ほどで、「児童のいる世帯」で考えると9.4%になる(2016年国民生活基礎調査)。この数字は年収400万円以下で20.4%になるので、380万円以下だと18%ほどになると推測される。

こちらは2009年のデータ(文部科学白書)になるが、年収400万円以下世帯における大学進学率が31.4%に対し、年収800〜1000万円世帯の同進学率は54.8%に至っている。
さらに世帯別年収と全国学力調査の正答率(算数B)を見た場合、年収300万円世帯の約49%に対して、年収800万円世帯が約60%になっている。これは、貧困家庭の子どもの学力の低さと進学の困難さを示している。
なお、高卒者と大卒・大学院卒者の生涯賃金格差は約4000万円あるが、この数字は今後さらに拡大して行くものと思われるだけに、階層の固定化が懸念される。
また、子ども二人世帯で長子が大学生の世帯では、2014年の貯蓄率でマイナス6.1%となっており、長子が高校生の世帯だと8.6%であることを鑑みても、いかに貯蓄を取り崩して、さらに借金して子どもを大学に行かせているか分かるだろう。

上記を総合的に鑑みると、自民党案は「やらないよりはマシ」だが、期待される政策的効果は非常に薄く、せいぜいのところ「三流大学に入った貧困家庭の子を支援する」くらいにしかならないと見られる。いわゆる「焼け石に水」であろう。
posted by ケン at 12:47| Comment(0) | 教育、法務、司法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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