2018年06月26日

日本は人権外交で攻勢にさらされる?

【河野太郎外相「日韓合意の精神に反する」 韓国の「慰安婦問題を人権問題に位置づける」計画準備に不快感】
 河野太郎外相は19日午前の記者会見で、韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相が慰安婦問題を国際社会で人権問題として位置づける計画を準備していると公表したことについて「日韓合意の精神に反するものだ」と不快感を示した。そのうえで「先方の真意をしっかり確認したい」と語った。
 河野氏は、康氏や文在寅大統領と14日に会談し、未来志向の関係構築を確認したばかりだったことに触れ「いぶかしく思っている。このようなことが続けば、せっかくの日韓パートナーシップ20周年を前向きに祝い、未来志向の関係を作っていくことが難しくなるのは先方も分かっているはずだ」と語った。
(6月19日、産経新聞)

これまで韓国政府が、戦後補償問題で国内の反発を抑えて日本側に妥協してきたのは、南北対立の最前線にあって、米韓日の軍事同盟が不可欠かつ最優先事項であったためだ。しかし、南北板門店会談と米朝会談を経て、朝鮮戦争の終結が現実性を帯び、中長期的には中華帝国の成立が視野に入りつつある今となっては、韓国政府が国内世論を抑えつけて日本側に妥協する必要が失われつつある。

逆に日本側を見た場合、北朝鮮による拉致問題の交渉を進めるに当たり、戦後補償問題の解決は避けて通れない課題であり、日本は戦後補償問題で非難される立場にある。国際的にも、日本における女性の人権状況は「イスラム諸国と同レベル」という評価にある上、戦後補償問題に対する後ろ向きの姿勢や、にもかかわらず国連大使が「世界一の人権大国」と叫んでしまう夜郎自大ぶりが、日本に対する評価を著しく低下させており、この分野で日本に味方する国は殆ど無い。
この点でも、韓国政府としては反転攻勢に出る良い機会となっている。

日本側はただでさえ財政難の上、明治帝政や昭和ミリタリズムを推奨することで支持を集めた安倍政権であるだけに、今さら戦後補償問題で妥協することはできず、妥協すれば組閣の正統性を失うだけのことである。
また、戦後補償問題で日本が後ろ向きの姿勢を続けた場合、中朝韓に「共通の敵」と見なされ、下手をすれば「人権外交」で対日包囲網が形成される可能性がある。問題が問題であるだけに、日本の肩を持つ国はまず無いと見て良い。

ここで安倍政権が「中朝韓何するものぞ!」と突っぱねた場合、いよいよ日本海が冷戦の最前線となり、国内のタカ派世論も同調、軍拡・核武装論が浮上、東アジアの緊張が急上昇するかもしれない。
そう考えた場合、やはり安倍政権はそろそろ「賞味期限切れ」だと思われるのだが、自民党内にも人がおらず、9月の自民党総裁選で安倍氏が三選した場合は、厳しい展開を覚悟しておく必要がある。
posted by ケン at 12:23| Comment(5) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここで、中立的立場のはずのオーストラリアやニュージーランドは日本政府の国際司法裁判所の判決に違反した調査捕鯨の実施に頭に来てますし、米加は福島原発事故の海洋汚染放置に不信感を持っているので、日本は孤立気味。

数年後の日韓一人当たりGDP の逆転を契機に、日本への過大評価も霧消して袋叩きになるかも。

Posted by はなはな at 2018年06月26日 12:41
日本は貧困が進めば進むほど他者に対して威圧的、暴力的に振る舞うようになっていますが、それは政府も大衆社会も同じように見えます。昔は「金持ちケンカせず」だけでなく、戦争犯罪に対する反省も少しはあったのですが、今はどちらも失って、失われつつある大国意識だけが残って最悪の人格になってしまっています。過去の栄光が忘れられないダメ社長の典型ですね。
Posted by ケン at 2018年06月26日 12:52
いつもご意見を拝聴しておりはじめてここにコメントを寄せることをお許し願いたく思います
おおむね貴方様のご意見に賛同いたしとります

ただ強硬論台頭による彼等の早期の破滅を願っておられるようですが
現実の彼等はもっとひどい奴等でもっと狡猾ですよ
相手が中国だろうと米露やイスラム国だろうと
明治復古より根源的なところでは自分たちの利権と体制保障が第一の連中なので
平気で土下座も服従もするでしょう
近視眼で愚かだが同時に他はどうなろうが自分達だけは助かるようにする狡猾さだけは持っているそういう連中です

ちなみに自分は現政権は必ず遠からぬうちに戦後賠償に応じると思っております
なぜなら慰安婦問題や冬季五輪の通りに
彼等の支持層とは現政権が何をしても怒らないし
また声をあげることにより、あげた自分がたちまち
自らの基盤たる利権の連合体から追いやられることを極度に恐れているからです
彼等の狡猾さとは、つまりそういうものなのだとだけ思っております
Posted by 太田ワ at 2018年06月26日 16:06
防衛大の下級生しごき問題を記事にされるのかなと思っていましたが、こちらでしたか。

個人的にも慰安婦や徴用工問題ではそもそも国際世論が味方になってもらえることが望めない以上、全面譲歩以外ないとは思います(ただ韓国側に一つ不満を言えば、「帝国の慰安婦」問題でかの著者に対する司法のあの判決は酷すぎないかと。もっとも学問の自由が形骸化してる本邦も人のことは言えないか)。
あと以前、ある左翼の人が「日韓和解には両陛下が訪韓して韓国民に直接謝罪をするしかない、右翼もそれなら口をつぐむ」旨のことを言っておられて(二人が退位前に最後の事業と訪韓→歴史問題謝罪をされる可能性は十分あるかなと)、私的にも国内の強硬論が一時的にでも沈静化するならアリかと思う反面、「結局また左翼は何もできなかった」と本邦の左翼の一層の弱体化にも繋がりかねないとも思い、頭を抱える次第です。
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2018年06月26日 18:18
たとえ悪辣な連中でも、戦争になるよりはマシなので、アジア諸国と関係改善してくれるのであれば、それで良いと思っています。ただ、ただでさえアジア蔑視観の強い、ニッポン万歳な連中が、そう易々と謝罪して賠償金を出すとは思えないだけです。
確かにおっしゃる通り、自民党は手のひらを返したかのように、朝鮮総連詣でをしているので、それくらいのことはするかもしれません。

天皇に国民統合と国際協調の役割を求めるなら、朝鮮半島を訪問して謝罪行脚するのは非常に有効な手段だと思いますし、今上帝は喜んで引き受けるでしょう。西欧的な立憲君主国であれば、その可能性は十分にあったと思いますが、アジア蔑視がますます強まっている今の日本では、あまり現実的に思えません。今上帝は、そのことに強い危機感を覚えているように見えます。
Posted by ケン at 2018年06月27日 12:45
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