2018年07月09日

コカインとアヘン生産が過去最高

【コカインとアヘン生産、過去最高=コロンビア、アフガンで急増―国連】
 国連薬物犯罪事務所(UNODC)が26日に公表した年次報告書によると、2016〜17年に世界のコカインとアヘンの生産量が急増し、過去最高を記録した。依然として麻薬組織の勢力が強いコロンビアや、政情不安により政府の統制が及びにくくなっているアフガニスタンでの生産量増加が背景という。コカインの生産量は、最新の統計である16年に前年比25%増の1410トン。このうちコロンビア産が3割超増え、866トンとなった。
 一方、アヘンの生産量は、17年に同65%増の1万500トンとなった。うちアフガン産が約9割増の約9000トンと大部分を占めた。UNODCのフェドトフ事務局長は声明で「麻薬の市場は拡大している。多方面で、多角的な対策が必要だ」と呼び掛けた。 
(6月27日、時事通信)

GMT『ラビリンス』のプレイヤーとしては、ジハーディスト側のカード「Opium(アヘン生産拡大)」を思い出す。ジハーディストの資金が増え、アフガニスタンにセル(テロリスト)が複数置かれるという、アメリカにとって悪夢のカードである上に、何度でも使い回しが可能という恐怖そのものである(普通は回ってきても2回くらいだが)。

対テロ戦争や麻薬戦争で「アメリカの勝利」を謳っていた官僚・政治家やリベラル派の知識人は、この事態をどう説明するのだろうか。欧米諸国が「平和構築」に勤しめば勤しむほど、傀儡政権の腐敗が進み、統治力を失って、暴力と犯罪が蔓延して行く構図。

他方、欧米諸国では社会の停滞と退廃が進み、麻薬の需要がさらに増えてゆく可能性がある。アメリカの場合、あれだけ麻薬摘発に注力しながら、国内の麻薬流通量は1970年代からずっと横ばいのままだという。
AFPの報道によれば、
ケシの実に傷をつけるとにじみ出てくる乳液が凝固した生アヘンは、1キロおよそ163ドル(約1万8000円)で農家から買い取られる。それを精製して最終的につくられたヘロインをタリバンは地域市場で、1キロ2300〜3500ドル(約25万〜38万円)で売っている。ある専門家によると、こうしたヘロインは欧米へたどり着くころには、卸売価格でおよそ4万5000ドル(約490万円)になっている。
(2017.8.27 AFP)

とのこと。GMT社の『A Distant Plain』では、政府軍が麻薬撲滅活動を行うと、麻薬畑=軍閥基地こそ撤去されて国際評価は上がるものの、政府の腐敗が進んだ上(入手した麻薬で私腹を肥やす)、反政府感情が広がるという仕組みがゲームで再現されている。軽々しく「平和」などと言う連中は一度プレイすることをお薦めしたい。
posted by ケン at 13:07| Comment(2) | ロシア、中国、国際関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「われわれは、南米のこの国(コロンビア)で、ニ十億ドル近い金をかけて罌粟畑と子どもたちに毒(枯葉材)を撒きながら、自国では、麻薬の毒から逃れたい人間を助けるだけの資金も持たないのだ」
(ドン・ウィンズロウ「犬の力」)

「北米人は決して教訓を学ばないのだから」「これは麻薬との戦争ではない。これは貧者との戦争だ」(ドン・ウィンズロウ「ザ・カルテル」)

ボードゲームは門外漢なのですが、正にこういうことなのだと思います。

<麻薬撲滅活動を行うと、麻薬畑=軍閥基地こそ撤去されて国際評価は上がるものの、政府の腐敗が進む〜
丁度制度的革命党(PRI)独裁時代のメキシコがそうで、70年代にアメリカ主導で麻薬撲滅作戦を行ったものの麻薬商人(ナルコ)の殆どは摘発されず、無実の農民と無関係の左翼運動家が弾圧され、オチはメキシコ当局側の責任者だった検事総長が数年後に麻薬不法所持で逮捕という笑えない結末だったと、ヨアン・グリロ「メキシコ麻薬戦争」にありました。

さらにもう一つ、前々回の記事のコメントでブログ主様から返信を頂いた時に教えて頂いた「富の不平等の暴力的解決」という側面も(ことに中南米では)麻薬ビジネスには多分にあります。かのパブロ・エスコバルは根拠地メデジンで福祉事業に投資し貧困層から熱狂的に支持され、メキシコでも有名な「シナロア・カルテル」「ロス・セタス」の幹部陣の多くは貧農出身でしたから。

トム・ウェインライト「ハッパノミクス」では解決策として麻薬合法化+国境のボーダーレス化(国境警備のコスト削減→麻薬密輸のコスト減及び米墨国境地域での麻薬カルテルの暴力抗争減)を挙げていましたが、これは保守層の支持が得にくいでしょうし……。
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2018年07月11日 11:30
まさにおっしゃる通りです。
近代日本を見ても、戊申政変ですら、開港地(幕府)と非開港地(諸藩)の間に生じた経済格差や、開港によって生じた大インフレが一因になっていますし、満州事変から5・15事件を経て日中戦争に向かう流れは昭和恐慌に始まります。

富者が安易に平和を唱えるのは、自分たちが繁栄を満喫しているからであって、その繁栄は根源的に貧者からの収奪によって成り立っています。だからこそ、米欧日のエリートが「積極的平和主義」を掲げて、「悪」に対する先制攻撃を指向する構図になっているのです。

であればこそ、我々社会主義者は、より積極的かつグローバルな富の再分配を主張しなければならないわけですが、日本の旧式左翼は「富者が唱える自由と平和」しか理解していないのが現状です。
Posted by ケン at 2018年07月11日 13:50
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