2018年07月10日

水道民営化促進法案が衆院通過

【水道法改正案が衆院通過 広域化で老朽化対策急ぐ】
 市町村などが手掛ける水道事業を広域化する水道法改正案が5日の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決、参院へ送付された。広域化や民間企業の参入を促すことで水道事業の経営を効率化し、水道管の老朽化対策などを急ぐ。大阪北部地震で老朽化対策の遅れが注目された。与党は22日に会期末を迎える今国会での成立をめざす。
 改正案は、複数の市町村で事業を広域化して経営の効率化をはかるため、都道府県が計画をつくる推進役を担う内容だ。市町村などが経営する原則は維持しながら、民間企業に運営権を売却できる仕組みも盛りこんだ。
 市町村などの水道事業者は人口減による収入減などで赤字体質のところが多く、老朽化した水道管の更新が遅れている。厚生労働省によると、40年の耐用年数を超えた水道管の割合は2016年度末に全国で平均14.8%だ。更新率は0.75%で、全て更新するのに130年以上かかるペースになっている。
(7月5日、日本経済新聞)

災害と死刑とワールドカップですっかり霞んでしまっているが、水道民営化促進法案(政府呼称は水道法改正案)が衆議院で成立した。
水道事業の民営化は、1990年代後半から2000年代前半にかけて一部の先進国で進められ、その後他国も追随するようになった。だが、民営化の一方で、一度民営化された水道事業の再公営化も進んでいる。

例えば、水道事業を民営化した米アトランタ市の場合、過剰なコストカットによって技術者が不足して修繕・補修が追いつかなくなり、配水管の破損や路上への水漏れ、汚水噴出などが相次いだ上、必要な技術者を確保できず、いつまで経っても直らないという事態が生じた。そのため、2003年に水道事業を再市営化するところとなっている。
フランスではパリの場合、民営化して14年で水道料金が2倍になった上、利権汚職が続発、2010年に再公営化している。

再公営化した世界の大都市は、パリ(仏)、ベルリン(独)、アトランタ、インディアナポリス(米)ブエノスアイレス(アルゼンチン)、ラパス(ボリビア)、ヨハネスブルク(南ア)、クアラルンプール(マレーシア)などが挙げられる。

これらの民営化事業から見えることは、必ずしもコストダウンに繋がらず、むしろコストカットから投資が滞り、整備不良から漏水などの事故が頻発、同じく人員削減や民間委託から対応の遅れが生じ、安定供給に支障が起きているということだ。
また、再公営化が急がれたのは、水道技術が国や自治体で失われる前に行う必要があったからだという。

日本の場合、現状でも1400近い水道事業者のうち33%が採算割れしており、政令指定都市などの大都市部を除いて倒産の危機にあるという。だからこその広域化・民営化というのがヤクニンの発想らしいが、実際には大都市部以外で民営化しても倒産が前倒しになるだけで事態が悪化するだけになる可能性が高い。
この点でも公共の優先順位を誤った戦後システムは倒壊しつつある。

【参考】
水道代は高騰の一途 
posted by ケン at 12:12| Comment(2) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
国鉄民営化と同じく赤字水道廃止のためなんでは?
Posted by o_tsuka at 2018年07月12日 01:52
赤字を避けるために民間に払い下げて、民間企業は倒産して供給停止という流れですね。地方に人が住めなくなる日も遠くないかもしれません。
Posted by ケン at 2018年07月12日 12:47
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