2018年07月28日

CMJ111 常徳殲滅作戦

日中戦争ネタのゲームはそもそも非常に少ない。特に作戦級となるとさらに貴重で、日本でプレイできるのは、コマンドマガジンから出た日中戦争三部作がメインとなる。本作は中黒靖氏、あと二作(大陸打通作戦と止江作戦)が瀬戸利春氏のデザインとなる。
本「常徳殲滅作戦」は1943年11月に実施された日本陸軍による「ヨ号作戦」を、1ターン1週間、1ヘクス4.8kmのスケールで再現する。

1943年11月という時点で、すでに日中戦争の末期にあり、「常徳」と言ってもどこにあるかも分からない。そもそも日本軍は1939年の時点で攻勢限界に達しており、限界線を越えての作戦活動は厳しく戒められていた。本作戦は、また例のごとく、中国軍による反転攻勢が始まる前に、相手方の予備戦力を削ぎ、猶予期間を確保しようというもので、常徳を攻めると見せかけて、国府軍の主力を誘因、撃滅するというのが作戦目的だった。
史実では、日本軍が常徳を一時占領するも、中国軍の反撃で予想以上の損害を出して撤退、当初の作戦目的は達成したものの、受けた損害を考慮すると、評価が難しいレベルに終わった。

本作は、ルールこそシンプルながら、日本軍と中国軍では作戦シークエンスが異なる上、中国軍歩兵は司令部の指揮下に無いとZOCが無かったり、「計画的撤退」のような特別ルールがあるため、慣れないと全容が把握しづらい面はある。
全体で5ターンしかなく、フルマップ一枚ながらも、1時間半から2時間でプレイでき、プレイアビリティは高い。

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日本軍は1ターンに3回作戦フェイズがあるものの、各フェイズ移動もしくは戦闘しかできないため、敵を包囲したまま前に進むのか、撃破してから前に進むのか、判断が難しい。
逆に中国軍は1ターンに1回「計画的撤退」ができるので、日本軍が接敵してきたら、司令部を通じて「待避」、次ターンに増援として再配置が可能になっている。あまり無節操に撤退すると、日本軍が三回移動してあっという間に常徳に辿り着いてしまうので、「捨てがまり」要員をどれだけ残すかがポイントとなる。

この日は、O先輩が日本軍、ケン先生が中国軍を持ち、3回プレイするも、3度とも日本軍は豊縣を占領するに止まり、常徳に届きそうに無く断念した。
日本軍は1ターンに3度の作戦フェイズを移動もしくは戦闘するわけだが、基本は移動−戦闘−移動ないしは移動−移動−戦闘となる。だが、中国軍は計画的撤退ができるため、一度の攻撃は回避できる仕組みになっている。結果、たとえ薄くても二重戦線さえ張っていれば、日本側の最初の移動による接敵は計画的撤退で回避できる。この場合、日本軍は第二作戦フェイズで移動して、第三フェイズで攻撃という流れになるが、その次は中国軍フェイズなので、戦線を整理できる。

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(左の日本軍が占領しているのは豊懸、上は名高き洞庭湖、右が常徳)

戦闘結果表が常識的な上、歩兵しか無いため戦闘後前進も1ヘクスだけなので、非常に展開が読みやすく、中国側は戦線を敷く位置を間違えずに、上手く二重戦線を構築できれば、まず破断界を迎えるようなことは無いように思える。
後日、他のリプレイを覗いてみたところ、みな常徳に辿り着くところまでは行っている感じで、「どこかルール解釈を間違えているのか?」と思って、読み返したが、特に問題は無いように思えた。

「強い日本軍」と「逃げるが勝ちの中国軍」の「噛み合わなさ」が良く表現できているとは思うものの、どっちも「俺はやったぜ!」というカタルシスが得られない地味な作品とも言える。決して悪くは無いのだが・・・・・・
posted by ケン at 13:00| Comment(3) | ゲーム、囲碁 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「常徳」は中黒氏で、後2つが瀬戸氏デザインですね。3つとも持っていますが、相手がいなくてプレイしたことがありません。「大陸打通作戦」は日本戦車師団が出て来てダブルインパルスになっていますので、より動きがありそうで面白そうですが、リプレイ記事が余りありません。ソロでもいいから早くコマを切って自分で試せばよいのですが。
Posted by ノリエガ at 2018年07月28日 19:30
いつも楽しく拝見させて頂いております。
テストプレイヤーをさせていただいた者になります。

日本軍はいかに早く舟艇機動をするには、をメインに
作戦を組み立ててみてください。
また序盤の中国軍が薄い時期に移動→移動→移動の局面を作り、
包囲により敵戦力を拘束、増援にさせなくする局面を作る
という作戦思考も有効です。

基本ギリギリ常徳ワンチャンアタックできるかできないか、
中国軍やや有利のバランスになっておりますが
上記の作戦を取るともう少し白熱できるものと存じます。
Posted by DR at 2018年07月29日 09:18
ノリエガさん、ご指摘ありがとうございます。訂正いたします。
帝国戦車師団は、気づいたときには売り切れになっていて、三部作の中で唯一入手できませんでした。悔やまれます。

DRさん、ありがとうございます。
自分も舟艇機動すると見せかけて、中国軍の守りを分散させる必要があるのではと思ったのですが、いかんせん魚口自体は勝利得点に関係なく、陥落するかどうかはダイス目次第なので、戦力を割くのに躊躇するのも分かるのです。
次回は、それでやってみようと思います。
Posted by ケン at 2018年07月29日 09:33
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