2018年08月04日

破綻に向かう日本財政

【17年度の国民年金納付率、実質は40% 低年金課題に】
 厚生労働省が29日に発表した2017年度の国民年金の納付率は66.3%で、6年連続の改善となった。ただ保険料の全額免除者・納付猶予者を含めた実質的な納付率は40.3%にとどまり、ここ数年横ばいが続いている。免除者が低年金になる問題や、都道府県ごとの納付率格差など、国民年金はなお多くの課題を抱えている。
 国民年金は自営業者や農林水産業者などが加入する。17年度の納付率は前の年度と比べて1.3ポイント上昇。最低だった11年度の58.6%から改善傾向が続いている。
 ただこの納付率は低所得などの理由で保険料の納付を全額免除・猶予されている574万人を対象に含まずに算出している。その人数を含めて計算すると、国民年金の加入者のうち6割は保険料を納めていない。
 保険料の免除者は年金額が減る。そのため納付率が低くても年金財政への影響はほとんどないというのが厚労省の立場だ。しかし免除者の多くは低所得者で、老後も低い年金しかもらえない場合は生活保護の受給につながる可能性がある。
 都道府県ごとの納付率のばらつきも解消されていない。最低の沖縄は49.1%と半分に満たず、最高の島根の80.6%とは30ポイント超の開きがある。
(6月29日、日本経済新聞)

年金自体はマクロ経済スライドが導入されているので、給付額が調整されるだけとも言えるが、納付率の低下は納めない分、もらえる額が減ることになるため、結局生活保護の方が良いとなるか、生活保護が得られずに貧困死するか、いずれにしかならない。高齢化と貧困化の同時進行が、ダブルパンチとなって巨大な貧困層を形成する未来が予測される。

より危険なのは医療費で、2015年度の医療費を見た場合、全体の42.3兆円に対し、保険料が20.7兆円、国と地方を合わせた公費が16.5兆円に対し、患者の自己負担分は4.9兆円となっている。医療の高度化と高齢化に伴い、その自然増分は年ごとに1兆円を超えるだけに、制度そのものを見直さない限り、健康な若年層を収奪する結果にしかならない。だが、ただでさえ貧困化が進んでいる若年層からの収奪は、社会の連帯意識を下げ、共同体に対する憎悪を引き起こしかねない。それは、ファシズムの根源でもある。

ペレストロイカとは、つまるところ財政改革で、歳出の30%を占める国防費、20%を占める食糧価格調整金、20%を占める国営企業赤字補填を可能な限り減らして、政策経費を確保することが目的だった。だが、歳出改革に失敗(1990年でもほぼ同レベル)、資源価格の暴落と対東欧貿易の未払いが重なって歳入が急減、行政が機能不全に陥った。

翻って今の日本を見た場合、国債費と地方交付税交付金等を除いた政策経費である2017年度一般歳出58.4兆円に対して、社会保障関係費が32.4兆円で56%、公共事業費が6兆円で10%を占めている。社会保障費は、保険料と窓口負担で賄えない赤字分で、ソ連における食糧価格調整金と同じ類いのものだが、この10年で10兆円以上増えている。

安倍政権で税収が増えたのは、日銀が国債を引き受け、年金で民間株を買い占めたためで、対外的要因で株価が暴落した場合、いきなりサドンデスとなる可能性がある。ソ連学徒的には、2020年の東京五輪は1980年のモスクワ、84年のサラエボ五輪と被って見える。
posted by ケン at 09:11| Comment(2) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
申し遅れましたが、長年の政界勤務お疲れ様でした。

財政問題は、“りふれは”が以前盛んに言っていた「国の借金は国民から借りてるのだから大丈夫で実は健全」理論はもう通用しないのでしょうかね。
それでも人口増を前提とした過剰なインフラ投資は兎も角、医療費を削ってしまうと……彼方立てれば此方が立たぬ、ですね。

そういえば北欧では延命治療をやめて医療費を抑えていると聞きますが、日本ではもはや手遅れか。
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2018年08月05日 00:02
ありがとうございます。

「日本国債は大半を国民が持ってるから大丈夫」というのは、単に「自国民ならヤバくなったからって売り払わないよね」というだけの話であり、永遠に刷り続けて良いわけではありません。それも、自国民ではなく、日銀が買って、「お前たちは国債じゃなく株を買え」と言うのでは、もはや公共政策の範疇ではありません。

医療費は確かに「削る」しかないのですが、それは「適正な公的保険」を議論せずに、全てに保険を適用してしまっているからです。医療が高度化すればするほど、医療費も上がるのですから、高額療養費制度などいずれ破綻するに決まっているのです。

今からでも保険の適用範囲や高額療養制度を見直すことは可能でしょうが、検討している間に破綻してしまう気がします。
Posted by ケン at 2018年08月06日 12:54
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