2018年08月08日

デモクラシーを否定し始めた自民党

【<杉田氏寄稿>「自民は右から左まで…」二階氏は問題視せず】
 自民党の二階俊博幹事長は24日の記者会見で、同党の杉田水脈(みお)衆院議員が性的少数者(LGBTなど)を月刊誌への寄稿で「生産性がない」と評したことについて「右から左まで各方面の人が集まって自民党は成り立っている。別に大きな驚きを持っているわけではない」と述べ、党として問題視しない姿勢を示した。
 二階氏は、「杉田氏から直接、話を聞く機会を設けるか」との質問に「今のところ特別そういう考えは持っていない」と答えた。杉田氏の発言に関しては「そういう発言だと理解をしていく」と述べた。一方で「多様性を受け入れていく社会の実現を図ることが大事だ」とも語った。
(7月24日、毎日新聞)

デモクラシーは様々な効率性よりも合意と共同体の形成を重視する政治体制であり、「オレら色々な考え方の人がいるけど、同じ市民だよね!」という共同体幻想が前提となっている。そこで、「こいつは市民じゃ無いから排除しようぜ!」という話になると、途端に政治体制の強度が下がってゆくことになる。

かつてナチスがヴァイマール体制を破壊したのは、経済や分配の効率化をうたって、ユダヤ人や障がい者などの差別を煽動したことにも起因している。
戦後の西ドイツが「戦う民主主義」を標榜したのは、政治的多様性を重視するあまり、共産党やナチスなどの全体主義政党の存在を容認した結果、人種、民族、階級、性別などをめぐる対立を先鋭化させてしまい、デモクラシーの維持に失敗、独裁と全体主義を成立させてしまった悔恨に由来している。

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「遺伝性疾患のこの患者はその生涯にわたって国に6万ライヒスマルクの負担をかけることになる。 ドイツ市民よ、これは皆さんが払う金なのだ」

戦後日本は、あらゆる差別や権利侵害に対して寛容だった。それでも曲がりなりにもデモクラシーが成立していたのは、アメリカの管理下にあったことと、経済的な豊かさが社会的対立の先鋭化を防いでいたためだったと考えられる。ところが、アメリカがアジアからの撤退を画策すると同時に、国内では急速に窮乏化が進む中、あらゆる差別や対立が先鋭化しつつある。

その対立を抑止、是正する意思を持たない自民党を、国民が支持する以上、デモクラシーが瓦解する日は遠からず訪れることになるだろう。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 政治、社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近はトランスジェンダーへの差別が、杉田某のようなネトウヨの専売特許でなくなってきているところに、いよいよ末期的な事態になってきていますね。

https://togetter.com/li/1306444

去年お茶の水女子大がトランス女性の入学受入を始めたあたりから、所謂ミサンドリストが上記のような差別発言を繰り返しているのがネットで目立っているようです。
イギリスでもレズビアン団体による「男根の付いた女はいない」をスローガンにトランスジェンダー排除運動があるようで、マイノリティ同士の連帯感が薄れつつあるというところからも、国民国家の終焉のきざしがあるのかもしれません。
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2019年01月09日 16:45
国民国家は一国の近代化と工業化を実現する上で、資本と労働力を効率よく動員するためのシステムですし、近代議会制民主主義は階級対立を抑制するシステムだったわけですが、工業化・近代化が終焉を迎え、利潤が悪化して階級対立が加速する中で、国民国家も議会制民主主義も機能不全となりつつあります。東欧の現状が非常に先鋭的で勉強になります。
欧州ではまず移民排除が先決なのでしょうが、日本では外国人問題がさほど深刻でないため、マイノリティや外国に矛先が向くのでしょう。

こういう状況になるとマイノリティ同士の連帯は成立しづらいです。ワイマール末期にナチスに対抗できなかったのと同じで、自分が生き残るために多数派と妥協するのが当座の利益となるからです。そして、なかなかそれは否定できないものなのです。
私がまっさきに外国に出たのも、そこが見えたからです。
Posted by ケン at 2019年01月09日 17:25
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