2018年11月22日

相次ぐ統計改竄とデータ操作が意味するもの

【政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感】
 日本の現状を映す統計を巡り、内閣府と日銀が綱引きしている。国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているのだ。内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているが、統計の精度をどう高めるかは、日本経済の行く末にも響きかねない大きな問題をはらんでいる。
(11月13日、日本経済新聞から抜粋)

【雇用と企業収益の指標に「水膨れ」疑惑、揺らぐGDPの信認】
 個人消費に影響を与える「雇用者報酬」と設備投資に関連のある「企業収益」に関し、データ水膨れの疑念が民間エコノミストから浮上している。統計データが実態と乖離したまま「一人歩き」すれば、合理的な政策判断ができず、誤った方向に対策が実行されかねないとの危惧も出ている。
 消費と設備投資という国内総生産(GDP)を構成する大きな要素について、関連性の高い「雇用者報酬」と「企業収益」がともに過大積算されているということになれば、安倍晋三首相が目指すGDP600兆円へと近づいても、その信ぴょう性に「疑義」が生じかねない。
(9月26日、ロイターから抜粋)


ここに来て政府統計の改竄疑惑が次々と表面化している。
特に内閣府による雇用者報酬の大幅水増し問題については、大手マスコミが一度報道した後、早々にネット上の記事を削除しており、「誤報のお詫び」もないことから、政府による情報統制が掛けられていると見るのが妥当だろう。

経済統計というのは、殆どの場合、元となるデータが有る上、いくつもの指標があるので、一つの統計値だけが突出している場合、他の統計から「その数字はおかしいんじゃね?」という判断が容易に下せる。例えば、雇用者報酬について、内閣府の出した数字だけ突出して高い場合、その数値が明らかに異常であることは、研究者からすれば一目瞭然なのだ。
これがある企業が持つ特殊な研究データであれば、内部の限られたものにしか分からないかもしれないが、政府が出す統計の多くは、他から類推できるものが多く、統計数字の大幅な改ざんなどはすぐに明らかになってしまうものなのだ。

にもかかわらず、統計の改竄(一回だけならともかく、これだけ複数箇所で「ミス」は起こらない)が行われるのは、通常の方法で正当な統計値を出してその数字が「望ましくないもの」である場合、「政治・政権党側から圧力がかかる」「国家の威信と責任問題に関わることなので、官僚が自主的に隠蔽する」のどちらかになる。
例えば、戦時中の戦果や経済統計が隠蔽され、虚偽発表がなされたのは、後者が理由だった。

現在、ドイツのフォルクスワーゲンを始め、自動車業界でも数値の改竄が横行しているが、これらは経営側(政治)の要求に対して、技術者が正当な方法では応じられないため、数字を改ざんする他なくなったことに起因しているケースが多いようだ。

つまり、政治側からは「政権を維持するための数字」が要求され、官僚内部にあっては「敗戦の責任を隠蔽する」意図から、「特段の命令なき数値改竄」が横行しているものと推測される。

かつてゴルバチョフがソ連共産党書記長に就任した際、それまで農業関係以外の統計を見たことがなかったことに加え、彼のイメージでは国防費・国防関連費がどう見ても過剰だったことから、国家予算全体のレクチャーを受けたところ、18〜20%との説明だった。しかし、ミーシャはこれに満足すること無く、ごく一部の側近を集めて政府統計を自ら精査したところ、30〜35%にも達することが判明、「ソ連には一日の猶予もない」ことを悟ったという。
もはや日本は末期状態に陥りつつあると見てよいだろう。

【追記】
ちょうど思い出したので補足しておきたい。日米開戦の直前、日本海軍では対米戦で利用される輸送船舶の損害をシミュレートした。すると、予想外に大きな損害を蒙り、開戦後数年で継戦能力が途絶する恐れがあることが判明したため、上層部から「これでは陛下に説明できない」「決定事項である開戦に支障が生じる」と現場チームに圧力がかかり、数字(シミュレート)の恣意的操作が行われた。その結果、「開戦後三年間は毎年約80万トン前後の損失が予想される」という報告になった。現実には開戦二年目には160万トン、三年目には380万トンが失われ、四年目には継戦能力が完全に途絶する事態となった。

posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
親の介護が終わったらインドに転職しようかなぁ
Posted by o-tsuka at 2018年11月23日 01:52
インドで暮らすのは無理なのでは?
インドの会社ならOK??
いや〜辛いと思うよ。
Posted by ケン at 2018年11月24日 18:23
ひょっとして税収が過去最高、っていうのも……

陸軍でも、欧州大戦の分析で「1944年にルーマニアが降伏して連合国側に立って参戦」って記述を見た東條首相が

「ルーマニアの油田がパァになってドイツ敗北コースじゃねーか、こんなん持ってくんじゃねー!」

って逆ギレした話を聞いたことがあります。ソースどこだっただろう。
Posted by スパルヴィエロ大公 at 2018年11月26日 13:25
憂国騎士団がヤンの家にやってきて騒動が終わったあとに

今晩の話は笑い話で済むかもしれないが近い将来そうじゃなくなるだろう世の中悪い方向に向いているらしい。。。

今は今晩の話も笑い話ではないようですね
Posted by 石田博 at 2018年11月26日 13:28
さすがに税収額の数字操作は無いと思いますが、手法としては国が年金で株を買って株価の上昇を誘導しているわけですから、別の操作は行っていると言えます。

悪い方向に動いているとしても、「ではどうしたらそれを避けられるか」「どうすれば良くなるか」が見えてこないところが、いっそう苦しいんだと思います。
もっとも、その苦しみから目をそらして、お祭りで憂さ晴らしすると同時に、それに便乗して「逃げ切れるだけの財産を作ろう」という連中がいるところが、救いの無いところです。
Posted by ケン at 2018年11月27日 14:18
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