2018年11月27日

対米従属強化を望む立憲の陋習

【立憲・枝野氏「4島の主権、絶対に譲ってはいけない」】
 (ロシアとの北方領土交渉について)大事なことは、これは国家主権の問題だ。4島が歴史的にも法的にも日本固有の領土であるという主張は、どういう取引がもちかけられても変えてはいけない基本だ。不当に占拠していても時間が経てば取引に応じて半分くらいよこすんだ、なんていう前例をつくってしまったらとんでもないことになる。国を売るような話だ。
 4島の主権が我が国にあるということだけは絶対に譲ってはいけない。このことだけは厳しく言い続けながら、そのプロセスの中で2島先行ならいいが、2島ぽっきりではいけない。あくまでも4島とも主権は我が国にあるということを確認するのが、平和条約を締結する前提だ。(さいたま市での支援者集会で)
(11月18日、朝日新聞)

凄まじく「いまさら」観があるし、本件については二年前の記事「二島返還で決着??」で殆ど説明しているので、殆ど繰り返しになってしまうが、容赦されたい。

もともと1956年まで日本政府も国会も二島返還の線で考えており、「四島返還」など想定しなかった。これは、当時のパワーバランスから言って当然のことであり、二島返還は北海道の漁業にとって死活問題だっただけに、「何でもいいから早く妥結してくれ」という話だった。
ところが、「ダレスの恫喝」に象徴されるアメリカから横やりが入って、日ソ平和条約は断念された上、巧妙な形で「四島返還論」が偽装された。これは、政府からすれば、外交上の失敗を糊塗するためであり、対米的には「ソ連とは交渉しない」スタンスを示す意味があった。結果、日本が四島返還論を掲げている限り、日ソ・日ロ関係が良好になることはあり得ないところとなった。
しかし、アメリカのアジアからの撤退が時間の問題となり、日本にとっては対中外交の比重が高くなった結果、ロシアとの連携は日本の安全保障にとって重要な一部をなすに至っている。

安倍首相による「対米従属を基軸としつつも、対中対ロともバランスを取る」外交は、確かに「都合良すぎ」な面はあるものの、対米従属を絶対視する勢力の強さや在日米軍基地(実質占領軍)の存在を考えれば、現実的にやむを得ないところもあるのだ。

にもかかわず、対ロ交渉を全面拒否する立憲民主党のスタンスは、むしろ20世紀の冷戦思考に囚われた陋習でしかない。対ロ協調なしでは、中国と対峙することは不可能であり、それはさらなる対米従属しか生まないからだ。
アメリカはすでに、「対米従属を続けるつもりなら、アメリカの世界戦略に対する貢献度を高めろ」とあからさまな要求をするようになっており、今後はさらにその要求コストを上げてゆくだろう。立憲民主党は、一方で自衛隊の海外派兵に反対しておきながら、対米従属を強化せざるを得ない外交路線を提唱しており、そこにはいかなる現実味も無いのである。

立憲民主党あるいは枝野代表が掲げる「保守」がどこににあるのか、良くわかる話である。
同時に20世紀型のリベラリズムは、すでにオワコンと化しつつあるのに、そこにこだわるスタンスも、いかにも古くささしか感じられず、この点でもまるで魅力を感じない。
まぁどうでも良いことなのだが、投票に値する政党が存在しない時点で、日本の議会制民主主義は終焉を迎えつつあると言えよう。
posted by ケン at 12:00| Comment(5) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
NK党ですらまずは2島返還なのに4島に固執するのはなぜなのか不思議ですよね。

>アメリカはすでに、「対米従属を続けるつもりなら、アメリカの世界戦略に対する貢献度を高めろ」とあからさまな要求をするようになっており、今後はさらにその要求コストを上げてゆくだろう。

その通りで、政府は算出方法を見直す方向です。

NHKニュース 防衛費 軍人恩給など算入し対GDP比引き上げ検討
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181127/k10011724601000.html

>日本の防衛費を、NATO加盟国に準じて関連費も計上する新たな計算方法に変えて対GDP比を引き上げることを検討しています。
Posted by TI at 2018年11月27日 18:24
仰る通りですが、枝野氏は対米従属強化を望むなんて上等な話ですらなく、条件反射的に大衆に迎合しているようにしか見えません。アベとネトウヨを離間させる戦術として短期的、政局的には有効なのかもしれませんけど。
本来は2島だけでも返還されれば御の字、共同開発や漁業権で「おまけ」が付けば万々歳ですから、その意味で今回の方向は間違っていないと思うのですが、詰めを誤れば2島だって怪しいわけで、現政権がそこの詰めを本当にうまくできるのか、一定の期待はしつつも不安は拭えません。
日朝ストックホルム合意みたいに、合意そのものは良く出来てたのに後から変な意地を張ってパーになった例もありますし。
Posted by am43 at 2018年11月27日 18:37
歯舞色丹の2島返還の見返りに、平和条約とサハリンからの天然ガスパイプラインの敷設、ロシア製兵器の購入ならばプーチンも納得させられるし、日本のエネルギー源の多様化にもなるので一石二鳥でしょう。

安倍官邸の真意はともかく、むしろ積極的に2島決着に乗った上、さらにロシアの存在感をアメリカへの一方的従属を緩和するものとして利用していく知恵が立憲民主党には必要。

まかり間違っても、今現在の情勢で4島返還や共産党のように全千島列島返還等荒唐無稽な要求を出す余裕は日本にはないはず。

Posted by はなはな at 2018年11月27日 20:00
恐らく同志が言われるように、大衆迎合的な脊髄反射なのだと思います。枝野氏や立憲の人たちで外交や歴史に詳しい人がいるようには思えません。

ロシア側は例の如く強面で交渉に当たっていますが、現実にはノモンハン事件の処理や日ソ共同宣言、あるいは日露戦争前の交渉を見ても分かるとおり、柔軟な対応をします。ロシアはロシアで、欧州方面が過熱する一方ですし、中国も強大化する一途なので、何とか対日関係の安定を図りたいのが本音です。また、これはプーチン大統領と安倍総理の関係でしかできないので、あちらも尻に火がついているのです。

問題は、外務省が一切協力しない中で、官邸と経産省でどこまでできるのか、アメリカの介入は本当に無いのか、厳しい要素が多いことも確かです。
が、日露双方とも「千載一遇のチャンス」であることは間違いないのです。
Posted by ケン at 2018年11月28日 15:59
こういう実務的な議論に資さないオピニオンには眩暈がしますね。
Posted by mashimo.koichi at 2018年11月28日 23:30
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