2019年04月14日

迷走するふるさと納税

【ふるさと納税 都市部では税の“流出”深刻に】
 ふるさと納税制度をめぐっては、寄付者が住民税を控除され、都市部から地方へ税収が“流出”しているとの見方もある。都市部の自治体からは「このままでは行政サービスの低下につながる」との声が上がる。
 総務省によると、平成30年度にふるさと納税で控除される住民税は全国で約2448億円(前年度比約1・3倍増)。都道府県別では、東京都の約645億円を筆頭に、神奈川県(約250億円)、大阪府(約210億円)、愛知県(約180億円)が続き、都市部での減収が目立つ。
 住民税の控除額が急激に伸びる川崎市。27年度に2億円だったが減収分は、ふるさと納税などの影響で、29年度には30億円に。31年度は49億円に達する見込みだ。本来、減収分の75%は交付税で補(ほ)填(てん)されるが、同市は独自の税収で財政運営ができるとして、交付されない。減収分はそのまま歳入減につながり、市の危機感は強い。
 同じく不交付団体の東京都杉並区も、直近5年間の減収分は計約40億円に上り、学校1校分の改築費に相当するといい、同区は「この状態が長く続けば、行政サービスの低下につながりかねない」と危惧している。
 関西の都市部でも税の流出傾向が顕著。神戸市では26年度まで寄付額が控除額を上回る“黒字状態”だったが、27年度から逆転。29年度の差額は約26億円に及んだ。大阪市でも30年度、約8万人がふるさと納税を行い、約55億円が減収している。
(4月11日、産経新聞)

記事にもあるとおり、本来の住民がふるさと納税することによって減る税収分は、その75%が国庫から補填されるものの、地方交付税の対象外の自治体には交付されないため、そのまま減収となる。特に大都市部は不交付のところが少なくないため、多くの自治体で減収となっている。実のところ、これこそが国の狙いなのかもしれない。

しかし、ふるさと納税によって得られた増収分は、20〜30%が「返礼品」として消費されてしまうので、実際に地方自治体が得られるのは残り分ということになる。これは、本来受領するはずのない「税収」(寄付金)であるため、それ自体困ることはないわけだが、それだけに「返礼品競争するな!」という国側の主張は、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものだろう。

現実にふるさと納税によって地方が整備され、人口減の抑制や地方再生に効果が認められるのであれば、財政難の折、やむを得ないところもあるだろう。しかし、現状ではそれだけの効果は認められない。制度創設から10年以上経つのだから、検証すべきだ。

以前の主張の繰り返しになってしまうが、住民税は本来居住地における社会的インフラを負担するための税であり、非居住地に「住民税分を寄付する」するというのは、税本来の意味から外れてしまう。返礼品競争の本質的原因も、「非居住者からの寄付の奪い合い」にあると見るべきだ。
それだけに、一時的な起爆剤としては一考の余地があるとしても、ふるさと納税(実は税じゃない)を常態化させるのは、国家運営の本質を損なうところとなるだけに、もはや廃止を検討すべき時に来ていると考える。
posted by ケン at 12:00| Comment(2) | 財政、社会保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
雑誌が出たりもう通販ですからね、もともとおかしな事と思ってましたから
Posted by 石田博 at 2019年04月14日 18:39
税を納めると税金で購入された品が返ってくるとか、もう意味不明以外の何物でもありません。
Posted by ケン at 2019年04月15日 10:52
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