2019年04月21日

日露交渉は粘り強く

【日ロ与党交流、5月に第1弾=領土交渉を側面支援】
 自民党はロシアのプーチン政権与党「統一ロシア」との定期交流第1弾を5月中旬に東京で実施する方向で最終調整に入った。関係者が17日、明らかにした。信頼醸成を図ることで、安倍晋三首相が取り組む北方領土問題など平和条約締結交渉を側面から支援する狙いがある。
 来日する代表団は、統一ロシアの党首であるメドベージェフ首相の側近らで構成される見通し。日程は5月14〜18日が軸で、二階俊博幹事長ら自民党幹部と会談するほか、京都訪問も検討されている。二階氏は昨年4月にモスクワを訪れ、メドベージェフ氏と会談。その際、両党の定期交流について協定を交わし、日ロ2国間関係や国際情勢に関する「喫緊の問題」を協議したり、議員間の相互訪問を実施したりすることを決めた。
(4月18日、時事通信)

「6月中の日露合意は困難に」という報道ばかりが前面に出ているが、こういう地道な努力にも注目すべきだろう。
ロシア側が態度を硬化させている理由の一つは、対日強硬論が強い国内向けのアピールでもある。特に議会にその傾向が強いだけに、議員間交流を深めて理解を得て態度の軟化を促すのは有効な手段と言える。

自民党の凄いところはこうした嗅覚で、ちょっと前まで北朝鮮に対して強硬論ばかり吐いていた自民党議員が、いまや朝鮮総連に日参、あるいは総連幹部を招待して勉強会を開くなどしている。
これに対して野党は、対露、対北ともにいまだに強硬論を吐くばかりで、目の前にある外交課題にどう向き合うかという姿勢が全く見えない。この点でも、野党は全く現実味が無い。

日露交渉が難航している最大の理由は、恐らくは日本側が主権の明確化(要求)にこだわっていることにある。
つまり、択捉島と国後島について「主権は日本、施政権はロシア」という要求にこだわっていることが、ロシア側の態度を硬化させ、交渉を頓挫させている。
主権の有無について一切触れること無く、とりあえず施政権(行政権)の引き渡しで合意すれば、二島返還はすぐにも実現するはずだ。その他のことは些末だからだ。また、ロシア側が日本外務省を「古い価値観に基づいた交渉をしている」と非難するのも、ここに原因がある。

なぜこういうことになるかと言うと、日本側が「固有の領土」論を展開しているため、「今さら固有の領土じゃ無かったとは言えない」からだ。「固有の領土」だからこそ主権の有無を明確にする必要があるわけで、「固有の領土」でさえ無ければ、主権やら潜在主権の在り様など机上の空論に過ぎず、施政権の有無だけで十分なはずだからだ。
しかし、1945年9月2日の終戦前にソ連が占領した択捉、国後の両島については、日ソ共同宣言第6条にある、
日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。

によって、すでに日本側の請求権は放棄されている。これを同宣言に違背して主権を要求し続ける日本政府(外務省)は無理筋にも程がある。
ナゾなのは、一方で「クリミアやウクライナにおける現状変更行為を許すな」と主張するリベラル派が、こと北方領土問題に関しては「ロシアに妥協するな!」などと平気で四島の領土要求を行うことについて、何の矛盾も覚えていないことである。まぁ「力によらない現状変更はOK」ということなのだろうが、お粗末な話である。

逆に日本側はソ連が終戦後に占領した歯舞、色丹の両島については、「休戦協定後の軍事活動の違法性」をロシア側に対して追及できる立場にあるはずだが(これも厳密には日ソ共同宣言に抵触するものの)、「固有の領土」論があるために、こうしたテクニックが封じられてしまっている。

相も変わらず日ソ共同宣言すら読まず、下手すると終戦日すら知らない人間が記事を書いたり、論陣を張っていたりするので、全くバカバカしくなってくるが、ここは我慢して主張を続けたい。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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