2019年05月30日

中国製品排除は成功するか

【中国排除、もろ刃の剣=米先端産業に影−ファーウェイ問題】
 先端技術分野で中国排除を狙うトランプ政権の姿勢は米企業にも影を落としている。
 華為技術(ファーウェイ)への禁輸措置は、同社との取引額が大きい企業の業績を直撃。資金調達や技術者確保にも影響が及んでおり、米国にとって「もろ刃の剣」でもある。
 スマートフォン用部品を手掛けるルメンタム・ホールディングスとコルボは、ファーウェイへの禁輸措置を受けて、それぞれ業績予想を下方修正。両社ともファーウェイ向けの出荷が直近で売上高の15%程度に上り、「いつ再開できるか予測できない」と口をそろえる。
 文書を高速スキャンして保存する技術を持つベンチャー企業リップコードは、米政府が対米投資審査を厳格化したことを受けて外国からの出資割合を制限した。フィールディング最高経営責任者(CEO)は「何倍ものペナルティーとして跳ね返ってくるリスクがある」と語る。
 同社は既に百度(バイドゥ)など中国企業から出資を受けている。ただ、どの投資家であれば問題がないか事前に知るすべはなく、「とても恐ろしい」と警戒する。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、輸出規制の対象となる技術を扱う職に外国人を雇う際に必要な米当局の許可について、中国人への承認が停滞していると報じた。「高度技術職の人材層が薄い半導体業界には特に痛手」とする業界関係者の声を伝えている。
(5月26日、時事通信) 

どのマスゴミも「ファーウェイ製品に重大な疑義」などと報じているが、何が問題なのかについては何も報じていない。アメリカの「ロシア疑惑」についてもいまだに決定的な証拠が提示されておらず、「永遠の疑義」となってしまっている。つまり疑義を生じさせること自体が目的で、実態や真実は重要ではないという話だ。

これは戦前期における合法左派の弾圧に際して使われた手口だった。
例えば、1937年に起きた人民戦線事件では、本来共産党と同党員をターゲットにしてきたはずの治安維持法によって、社会民主主義者、労働運動家、マルクス経済学者などが一斉検挙され、一次、二次含めて480名以上が逮捕された。ところが、法廷で有罪判決が下されたのはわずか数人に過ぎず、圧倒的多数は無罪に終わった。数件の有罪判決についても、判決が出る前に容疑者は保釈され、かつ控訴審は延期され続けたまま終戦を迎え、結審に至らずに終わった。このことは、当局(特高=秘密警察)が対象を必ずしも有罪にしなくとも、強制捜査や検挙、拘束することだけで、対象の動き(運動)を抑止することが可能であることを示している。

逆に中国では、欧米日における中国製品排除運動を受けて、再びナショナリズムが加熱しつつある。
また、一党独裁や権力集中の正当性が強調され、支持が強まっている。
これはアメリカにとっては「どうでもいい」ことかもしれないが、隣国である日本にとっては脅威でしか無い。

現状でも日本の技術者の多くが中国企業や大学に流れているが、中国の研究開発費はいまやアメリカと同レベルで、日本の3倍近くに達している。量子分野における中国の優位が確立した場合、技術力バランスは一気に傾いてしまうかもしれない。

マーケットの点でもいまや中国とインドで世界人口の3分の1を占めており、内需拡大に成功すれば、米欧の市場などすぐに取るに足らないものになるだろう。実際、中国の大都市部の生活水準は日本のそれと殆ど変わらないし、私が教えている学生の中には「日本の学生より金持ちだろう」と思える者が少なからずいる。

ファーウェイ排除はしょせん応急処置的な効果しか無く、そこを盲信して対中関係を悪化させることは避けるべきだ。
posted by ケン at 12:00| Comment(0) | 外交、安全保障 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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